今日は前回のつづきとして,第二法則の説明からはじめる.第二法則は運動方程式であるが,その運動方程式の見方をゆっくりと説明する.前回は運動がわかっているときに,その背後にある力の存在を見抜く見方を話した(つもり)であったが,今回は逆に「力がわかっている」ときに運動の予測をしてみようと考えた.
一番簡単な例として,一様な重力中での質点の運動を解いてみた.ここでは一様な重力が知っている力である.運動方程式は二階の微分方程式なので,ここでは2回積分して解いてみた.運動方程式を解く感じがわかっただろうか.積分することにともなって2この積分定数を決める初期条件が必要なこともわかっただろう.(初期)条件の与え方は好きに決められるが,ここではやはり簡単に時刻0での位置と初速度を与えてみた.最後の表式は中学校のときにも見たことがあったかもしれない.今日でその「公式」は忘れて良いですね.
さて,最後の式はかっちり決まった格好をしています.つまり,初期条件を「上に投げ上げよう」が,「下に投げ降ろそう」がおかまいなしな式です.これはちょっとだけすごいですよね.一様な重力中での質点の運動が完全にその式に書かれているということです.逆に言えば,最初に「わかっている」ことにした力の妥当性に厳しい注文をつけています.力学の問題では,力の定数gは観測によって決められます.そのgが「上に投げ上げる」ときも「下に投げ降ろす」ときも同じでなくてはいけません.さらに,ボールを投げるときも,紙屑を投げるときも同じでなくてはいけません.もしも違うならば,何かしら別の力が必要ななってきます.力を足して,予測して,実験検証する.うまくいったら,付け加えた力の起源を考えたり,適用範囲を考えて,うまくいかなかったら,また別の力を探す.そうやって,理解が少しづつ進んでいくのだと思います.というようなことをウダウダしゃべっているうちに時間が経過してしまう.
運動方程式に質量や力が出てきたので,ここでは質量の次元をMとして新たに導入する.力の次元はMとLとTを使って表すことにする.
最後に,第三の法則,すなわち作用・反作用の法則について説明する. この法則がニュートンの3つの法則の中で唯一力について言及している. ちょっと話しながら,混乱しそうになる.一度落ち着いて考えてみて欲しい.いずれ練習問題を配ることにする.さて,この第三法則の帰結として,運動量の保存則を導く.ある量が保存するということはこの後でいくつかでてきますが,かならずこのような表現になります. ここで,もう10分前になってしまった.またもや時間配分ミスです.しかたがないが,ここで今日の小道具を登場させて,くっちゃべっておしまいにする.来週はこの続きをもう少し話すことにする.
予備校のCM(mother⇔other)で御存じの方も多いかも知れませんが,今日は5球の振子を持っていきました.写真は来週にアップ.これは中村理科さんの製作です.
配ったプリントの間違いを探してください.既に,間違いがあって,修正版をつくりました.
- 運動量の次元は?
- 重力中の運動について,適当な初期条件を与えて,位置を時間の関数としてグラフに描け.
- 5球振り子で,3つ持ち上げて離すと3つ飛び出しますが,その理由は?
- 最終的には軸の部分の摩擦で静止しますが,静止前にある運動状態に至ります.それはどんな状態で,なぜそうなるかを考えてみましょう.
- 二階の「階」って?回?
rankの和訳が階です.最高で二回微分項を含むので,二階の微分方程式といいます.これは数学での慣例です.
- 力ベクトルFの引数
運動方程式は二階の微分方程式になると説明しましたが,それは力が位置の二回以上微分項を含まないことが仮定されています.一般に,力は何の関数であっても構わないとすれば,例えば,位置の時間に関する10回微分が含まれていてもよいわけです.でも,ここではそれは考えません.理由は講義のときに喋りましたが,積極的な理由は「物理の問題として必要ないから」であろうと思います.
- 漢字が読めない.
あいたった...原器の「器」の字を適当に書いたら読めないと言われてしまった.縄文時代の文字を書いてしまったような気持ちに陥ってしまう...丁寧にかかんといけませんね.
- 何故2つがはじき飛ばないのか?
3つの球を投げ上げたときに,どうして残っていた2つだけがはじき飛ばされないのか?そう思いますよね.しかし,
これがハンドパワーです,いやこれが「運動量保存則」です.
というところまではネタとして仕込んでおいたのに,実際には披露するタイミングを逃した....
今日は,「運動量が保存する」ことを説明しましたが,それだけではまだまだいろんな可能性がありうるわけです.例えば,運動量が保存するように2つだけはじき飛ばすことはできます.しかしそれは自然界では許されないです.その理由はもう少しあとでまた説明します.でも,いろいろ考えると面白いですね.理由は講義でお話しますが,それまで考えてみてください.
お互いさまです.
まだ明けてませんが,気分はすっかりあけています.講義の前日には休日モード止めてますからね.
わしも
これはまた来週話すことにしましょう.疑問の真意がまだちゃんとわかっていないかもしれません.dtの書く位置でしょうか.
うんうん.そうですね.
そろそろ春も終わりですから
この状況は講義でも話しましたが,レポートは難しめにしたいです.ギブアップしてもいいですよ(悪魔のささやき).でも,一生懸命考えて,格闘することはきっと無駄にならないと思いし,やみくもな力わざ問題でなくて,考えて面白げな問題を出すようにこころがけたいですわ.
こういう指摘が大変ありがたい.調子にのって喋っていると,すっとんでしまっていることが多々あると思います.
これも上と同種の指摘ですね.[A]は物理量Aの次元を表す記号です.
気を付けます.
いやーすまんすまん.前にも指摘されていました.自分でも声は大きいつもりなんですが,「つもりになってんじゃないわよー」(柴田理恵風)という感じか. 今日は連休明けで,立上りが悪かったです.これは自覚あり.次回は気合いを入れ直したいです.
運動量は出てきましたが,仕事量はまだ出てきていませんね.そのうちに解説することになるでしょう.
チョン大事です.そこは理解して欲しいです.今思い返してみると,きちんとつけていたかどうか不安になってきた.これは次回にお話します.
うーん,ここではどうすることもできんな.今日は見えたかなー.
講義も気合いいれていますが,返事にも気合いが入っています.ホントか?
福島孝治で行けます(断言).ちなみに5番目くらいにでてくる弓道の名人は私ではありません.それからGoogleイメージで出てくるのはほとんどがその弓道名人さんです.
だから,先生って呼ばないってば.