第5回のおさらい

今日のおしながき
  1. 確率過程
    1. 「 Kramers-Moyal展開」のつづき
    2. ガウス過程
    3. Fokker-Planck方程式
今日のまとめ

先週の続きで,今日はLangevin方程式に対して,Kramers-Moyal展開の展開係数を求めることによって,マスター方程式をあからさまに書き下してみることを考える.今日は計算をダラダラ示そうと思ったので,道を見失わないようにやりたいことを最初にまとめた(つもり,先週人数が少なかったので,キーワードとして何が先週の情報かを明らかにする目的でもあった.どっちにしても「つもり」だったか.).当面の目標は展開係数を求めることだが,それは速度差のn次のモーメントを求めることであった.そのためには母関数を求めるのがよい.Langevin方程式について,ちょっと積分してから母関数を書いてみると,結構ややこしい形をしている.指数関数の平均(いろんな分野で出てくる計算)をやるわけだが,これはランダム力がすぐ後でみるみるようにガウス過程の場合は,パパーンと簡単な形になる.そのためには多変数ガウス分布の母関数を計算する必要がある.まずは,1変数から復習.

1変数のガウス分布は何でも知っているとは思うが,ゆっくりとキュムラント展開を説明して,キュムラントが二次で止まることを見る.そのまま多変数ガウス分布に行く.多変数の場合のキュムラント展開とキュムラント定理はお話だけする(余談).さて,それで多変数ガウス積分を実行して,母関数を求めたい.もうここはすっとばした.手順は示したので,そのまま追っかければ良い.この手の計算はいずれ一度はやることになるだろうから,もしやったことないならばよっておこう.母関数が計算できれば,相関関数は簡単に計算できる.ソース項をいれて微分して計算する方法はアチコチで出てくる.最後に出てきた式をみれば,上で言った「パパーンと簡単な形」がでてきたわけである.

母関数が計算できれば,モーメントは計算できるというわけで,Kramers-Moyal展開の係数が求まった.ランダム力がホワイトであることと,以前に求めた揺動散逸定理を使えば,なんだ2次までしか要らなかったんだ.ということで,係数を元の式にはめこんで,マスター方程式のできあがり.これがフォッカープランク方程式である.この定常状態を確認しておくと,マクスウェル分布が出てくる.揺動散逸定理を導くときにエネルギー等分配を使ったとは言え,ちゃんと分布としてマクスウェル分布が出てくるのは気持ちが良い.来週はこれを拡張変形しながら,応用問題を紹介したい.

今日の宿題:
  1. ガウス過程の積分を実行せよ.
  2. 相関関数を求めよ.
今日の質問:
キュムラント定理は何乗でもOK?
今日の雑談と反省:

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