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統計物理学おさらい5の変更点

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!!!第5回おさらい
!!今日のおしながき
* 2 統計力学の基本的な考え方
** 2-3 カノニカル分布の導入
*** 2-3-0 カノニカル分布
*** 2-3-1 平衡の条件
*** 2-3-2 統計力学的エントロピー
*** 2-3-3 物理量の熱平均

!!今日のまとめと反省
今日のゴールはカノニカル分布を出すことである.前回にそのための状況設定は説明しておいた.しかし,エネルギーのやりとりが起こる弱い相互作用なるものへのイメージがどの程度あるのか不安だったので,最初に連成振り子の話をした.実際に持っていけばよかったが,事情で間に合わなかった.

その後で注目する系がエネルギー{{tex E_1}}をもつ確率を計算することで,あるミクロな状態が実現する確率を求めてみる.ここでやはり等重率の原理と,問題の自由度が多いことが大事であることがわかる.逆に言えば,それしかつかっていない.おはじき問題でやったことと同じようなことしかしていないので,よくわかったかな.その結果は,エネルギーに関して指数関数的であることが導かれた.ところが,上の事情,つまり物理的要素がまだ何も入っていないことに対応して,その意味するところはまだよくわからないままである.

そこで,物理的な性質を探るために,これまたおはじきでやったように,尤もらしい値を求めてみる.このことから,尤もらしい条件がひとつ出てくるが,これは指数部分の係数に関する情報を与えてくれる.つまり,熱浴の状態数のログの微分は注目する系のそれと同じであることがわかる.これは,初期条件が偏っていても,尤もらしい値(確率最大)が実現すれば,その値がつりあっていることがわかる.ちょっと温度っぽいというわけである.ここで巧妙なのは実際の動力学については,等重率の原理を使っているために全く分からなくなっていることである.

その温度っぽい量を陽に示すために,統計力学的エントロピーの導入が必要となる.ボルツマンによって導入されたこのエントロピーを熱力学のエントロピーと同一視することで,熱力学の関係を用いて'''その係数'''は温度の逆数であることがわかる.先にミクロの力学と分離させたものを,ここで改めて関係づけているのがボルツマンのエントロピーと思える.右辺と左辺の違いをいま一度驚いておいて欲しい.

最後に確率分布が与えられたので,期待値の計算,ここでは物理量の熱平均と呼べるものの計算例を示しておく.和の数がおそろしく多いので,実際に実行するのは嫌になるが,一度分配関数を計算しておけば,エネルギーに関する緒量は計算できる.比熱の計算をすることで,統計力学でたびたび現れる揺らぎと応答のもっと簡単な例が示される.ここでの計算はただの規格化定数を求めただけだが,実は大きな意味を持っている.その意味付けはまた次回に行いたい.

!!今日の宿題
特になし.ノートチェックして,練習問題を解いて...
*そうだ,連成振り子をつくってみよう.
これが見せるつもりだった連成振り子
{{ref_image furiko2a.jpg}}

!!配布するファイル
今回はなし.

!!今日の質問
!{{tex O(N)}} とは,{{tex N}}で割って定数になるということ?
そうです.力学の講義でも出てきているかなーと思って,油断して説明しませんでした.突っ込みを入れてもらおうと思って,わざとしゃべらなかったんですけどね.
!比熱の計算のところで,{{tex \frac{\sum_i E_i^2 \exp(-\beta E_i)}{Z^2} }}  の分母の二乗はいらない?
そうです.いらないです.勢いよく書いてしまったけど,完全に間違いです.消しておいてください.
!先週のプリントでの計算
そうそう,そこ私も悩んだんだ餘ねー,ということは思い出せても,ほれほれこうやればってとこまで思い出せない.うううう,頭が止まっている....ちょっとまって.
そうそう,そこ私も悩んだんだ餘ねー,ということは思い出せても,ほれほれこうやればってとこまで思い出せない.うううう,頭が止まっている....ちょqっとまって.
*{{colorsize red, 3, (2005.11.07) }}忘れないうちにノートをアップ!:PDFファイル{{ref note-20051104.pdf}}
*{{colorsize magenta, 4,(2005.11.09,追記)}}: 「エレガントな解答を求む」としたら,早速学生さん(TMさん)からメールを頂いた.許可をもらったので,ここにもアップすることにする({{ref tousiki1.pdf}}).結構スマートです.最初の等式なんか思い付かないなー.こういうのは高校生に近いみなさんの方が得意にちがいない.

!温度は変動するのか?
最後にエネルギーの揺らぎを計算したので,その結果と,ボルツマンエントロピーと熱力学関係式を使うと,温度が揺らいでいるじゃないか?というわけである.目を白黒させて質問してくれた.驚くところかもしれないが,どの程度温度が揺れるのかを考えてみるとよい.
!練習問題解いたら,見てくれるか?
もちろんです.最初に言ったように,練習問題の提出は自主的とします.持ってきてくれれば,{{colorsize red,3,赤}}を入れてお返しをします.特に,コイン実際に投げてみた人がいたら是非そのレポートを聞かせてください.よいレポートはここで公開します(っていうと余計に出しにくいか?).
!!今日の投票用紙の裏より
!答え待ちというか時間がとれないのと難しそうでしりごみします.(先週今週とレポートが多かったので)
一年生は講義が多くて,しかもレポートも多くて大変ですね.本当はもっと悠然と勉学できればよいはずなんでしょうけどね.レポートも各教官が意図をもって(しかしお互いに協調的でなく)出されているのでしょうから,しっかりとやった方がいいと思います.少しくらいの遊び心をもって,レポートの少し奥を考えてみると,ただのレポートじゃなくてたのしめるかも知れません.
!すみません.まだです.(すみません:もう一件)
この状況を超素人心理学的に推論してみると,「先生が問題つくってくれたのに,その期待に答えないで悪いなー」って感じでしょうか.だとすれば,それは{{colorsize  blue,4,大きな間違い}}です.冷たいようだけど,私はみなさんにそれほど期待はしていません.勉強するかしないかはみなさんが勝手に判断することであって,こっち側からどうこうするもんではないでしょう.ただし,勉強したい学生には付き合う覚悟はできています.練習問題は講義の内容の理解を助けたり,もうちょっと突っ込んでみたい問題を出したいと思っています.でも,これは解けたとしても単位の担保になるのではないので,解いたから単位がどうなるものでもありません.それでももし解答が配られる前に解いてみたくなるとしたら,それはどんな状況でしょうか?後悔すべきはその状況を潰してしまうことでしょう.なので,誤るべきは私ではなくて...
!一学期の熱力学の時に出てきたんですが,エルゴード定理って何ですか?
どういう文脈ででてきたかな.この講義でも等重率の原理を説明するところで,エルゴート仮説との接点はありました.陽にはいいませんでしたけど.
!!今日の雑談
*今日の投票数は,{{colorsize red,  6, 95}}でした.連休の谷間で心配したが,かえって出席者は増えているくらいだ.結構です.これが固定メンバーになるようにがんばりましょう, ->自分へ.
今日は実によい天気でした.季節も良い時期ですね.こんな日はぷーとどこかへ行きたくなるもの.私が学生のころは決まって筑波山にドライブ行ってました.でも,みなさんはちゃんと講義に出ているわけで,'''よいものを見せないといけない'''と気合いが入ります.
*今日のアンケートは{{colorsize green, 4, 「練習問題解いてみた?」}}でした.結果は,
, YES!!, NO!!(解答待ち状態も含む)
,8, 55
でした.NO組の圧勝!まあ,これは予想通りだ.来週あたりには解答を配ることにするか.
*年を==とってくると==重ねて来ると,段々自分の年は気にしないようにするもので,私もほとんど28才で意識は止まっている.それでも,しかし,認識せざるを得ないのが,体力の低下と若者とのジェネレーションギャップである.前回,電卓の性能は階乗計算で見積もるもので,実験に使うポケコンの性能を学生間で自慢しあっていたという話をした.一部学生には,結構受けていたようだった.と同時に,おじさん世代爆発だなーと少々ブルーでもあった.それに追い撃ちをかけたのが,先日近所の学園祭でのできごとであった.工学部の展示に「電気博物館」なるものがあって,覗きにいったところ,大小様々な真空管が展示してあり,実家のステレオを思い出させてくれたまではよかったが,その脇に,しっかりと「ポケコン」コーナーがあったのであった.もう今では使われなくなった携帯型コンピューターといった感じ.「えー,今の学生は実験でポケコン使わないのか?」...「使いません」.

*上に講義で話したことを思い出しながら,パラパラと並べてみたけど,うーん,結構喋っている感じがする.しかも,休憩も入れずに淡々としゃべってしまっていたなー.これは反省点.

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