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今日の一言/2009-3-8

物理帝国主義

気づけば3月になり、期末試験も終了し、採点も終了し、新しい年度に向かう時期になってしまっている。

表題の「物理帝国主義」とは、おおざっぱにいえば、物理さえ理解できれば自然現象はすべて理解できるとする偏った宗教的な思想を表すが、我々が学生のころ、むしろもうちょっと昔には普通にはびこって、他の自然科学の分野から煙たがられた時代の標語である。今日とある会議で久々にそんな言葉を耳にした…

「私は物理帝国主義である」と言うことに抵抗感がある。現実を見ると、物理が自然科学の中心的存在であると,そんな暢気なことは言っていられないわけである。それでも、教養として、学生のみなさんには物理の素養は身につけて欲しいと思うし、私が積極的にBコースを担当するのも、これまで物理とつき合うことが薄かった学生さんに物理の面白さを伝えることが大事だと思うからこそです.

こっからは半分オフレコですね.そりゃ、物理をわかってもらおうと、そして何よりも楽しんでもらおうと心底思っています.

私、これでもプロですから.

ただ、無理して物理が面白いと思ってもらおうとまでは思っていませんよ.講義で展開している内容に共感できない人のことは知りません.できるだけの説得交渉は講義でやっているつもりです.それでも「面白くない」と思う人のことまではあずかりしらんことです.私にとっても(今の)生物なんてちょっともおもしろいとは思わえないので、逆のことも十分に起こるのだと思います.そんなときには、最低限のマナーを習得して、単位をとって忘れてほしいと思います.決して、万物を支配する法則が人間に理解できるとは思っていませんよ.でも、それを目指した人類の英知がここには書かれていて、そしてそれはそんな簡単には理解できないかもしれませんよ.でもね、確かな研究者の営みがここに刻まれているんです.それに興奮しないで、興味も惹かないのだとしたら、それはそっち側の問題でしょう...と思ってしまいます.これは教育放棄でしょうか.

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最終更新時間:2009年03月08日 21時08分27秒