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今日の一言/2010-2-1

統計物理学の期末試験終了

期末試験が始まりました.ご苦労様でした.できはどうだったでしょうか.今からチェックします.その前に,いつも試験の最後の問題に感想を書いてもらっているのですが,ちょっと気になったコメントがありました.ながーい文章だったんだけど、一つ目のポイントは,

「。。。。果たして理科生のどのくらいの人が電子レンジでものが温まる原理をしっているだろうか?電子レンジでは。。。。そういうことが私は知りたかった」

とある.私も大学生のころは電子レンジの原理はよく知らなかった.もっとも,そこにかかれているような認識はあったのだが、それは正しくはない.その程度の「知識」は高校の物理でも習うんだろうと思うが、本人は決して「分かって」ないと思われる.大学生になったんだから,どのようにエネルギーの吸収が行われるかとか、マイクロウェーブの波長がいくらとか、そもそも水分子の大きさがどの程度かが分かっていれば、決して「わからない」はずである.そして、その程度の知識はむしろ大きな謎に変わるはずである.大学生になればある時期に自分の認識がすっかり変わってしまう「相転移現象」に遭遇するものであるが、いろんな中途半端な知識とそれを鵜呑みにしている感覚が相転移を阻害してしまいます.そうしない方法は簡単で、もう一歩先に進めばいいのです.今もっている知識が正しいとして、その先にどんなことがわかるのかを考えてみればよいです.そうすればその知識は正しい方向にどんどん変わっていくはずです.

もう一つは、統計力学から学んだこととして、

「結構いいかげんな近似でも自然を理解するには十分であること. (中略)物理と数学のちがい。。。」

これは私にも半分問題があるかもしれない.講義ではいろんなところで近似が登場しました.物理と数学のちがいも部分的に強調しました.でも、近似をやっているからいい加減なのではありませんね.どのような状況で正しいのか,近似はどのような意味で正当化されるのかが大事です.「平均場近似でも結構いけているのですよ」とかいった記憶がありますが、「いけている」意味が大事です.これも上と同じで、与えられた知識を理解する必要があります.ましてや中途半端な知識はいいことなしです.

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最終更新時間:2010年02月04日 08時32分36秒