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今日の一言/2012-11-16

統合自然科学科のよいところ

この10月から新学科が動き出しました。本当は,その前に宣伝するのがよいのですが,やってみないとわからないこともあるもので,動き出したこのタイミングで「よいと思う」ところを言っておくのは、その意味でよいように思います。

それは,ずばり,統合自然科学なところです。

「えー、統合自然科学って何やるのかわからないー」。

はい,わかりません。自然科学を統合するようなカリキュラムが存在するわけではありません。我々スタッフが自然科学を統合しているプロばっかりではないです。でも,これから5年10年先を見たときにあるべき科学の姿は,例えば物理だっけとか,生物だっけをやっている場合ではないと思うので,それを作っていける人材を育てたい...というのがこの学科の理念です(きっと,おそらく。[1])。いろんな趣向の学生が集まって、彼らの間に相互作用が起こったときに新しいものが作られるのだと思います。レールはどこにもひかれていません。ここに集う学生さんの進む方向に道ができるはずです。だから,始まる前には何が起こるのか想像もつかないわけです[2]。相互作用しない独立粒子しかないなら,せいぜい理想気体くらいなことしか起こりません[3]

それで,はじまって一ヶ月以上たったのですが,これは面白い。今学期は4学期ゼミを担当しています。統合自然科学科では4学期から毎学期ゼミをやります。今回担当したのは4人です。この人数のゼミならばみっちりできます。これくらいの少人数ゼミを4学期からやる学科はそうそうないと思います。学生さんはキツいかもしれませんが,それはそれで楽しいのではないかと想像します[4]。4人はそれぞれ志望コースが違って,数理と物質と生命と認知と実に4つのコースからそれぞれ一人参加していて,内容は,情報理論の教科書を輪講しています。はっきり言って,興味の持ち方はバラバラなんだと思いますが,この本の元に集結して議論をしている感じです。私が用意したのはその本と教室だけ。よい本を選んだとは思いますが,別に自然科学を統合したものでも何でもないし,しかも教室は普通の教室。でも,とても楽しい空間になっています。少なくとも私は大変楽しんでいます。ゼミの間に隣から流体力学の講義の声が漏れ聞こえるのは,またちょっと面白かったりもします。

  • [1]ここに書いていることは私見ですよ。
  • [2]ものすごい無責任な学科に聞こえるかも知れないけどそうではないです。箱が学科の内容を決めているのではなくて,そこにいる人が雰囲気を作っていることはあります。私は東大を外から見ていた時に,駒場に独特の雰囲気を感じていました。駒場学派ともいうような感じです。あそこに行って研究してみたいと思えるところでした。それは研究の立場から見えていたことかもしれませんが,それが学部教育にしみ出ているものでしょう。だから我々は学生にもっと魅力的でなくてはならないです。
  • [3]えーと,今日の統計力学Iの講義で理想気体の話をするので,頭の中が理想気体で一杯になっています
  • [4]学科の説明会で,4学期からゼミがあるようなことを言うと,キツい学科だと思われるから人気出ないよって指摘されたことがありました。そんなこと言ったってそれが面白いんだからしょうがないじゃないのね。これがキツいと思うならそれはそれでよいです。

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最終更新時間:2012年11月16日 09時18分12秒