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大質問大会2008夏

大質問大会実施

日時:2008年8月25日,10:00-13:00(過ぎまで)

場所:駒場キャンパス 3号館 108号室

参加人数:10名くらい

今日のまとめ

といっても,特にまとめるようなことはありません.みなさんから質問してもらって,適当に答えました.いろいろ突っ込まれて,答えに窮することもありましたが,個人的にはとても楽しかったです.なんというか,こう,突っ込まれ好きなのか???人数も10人程度で,ちょうどよいくらいだったです.

この大質問大会も,ほぼ定例行事になっていて,それなりに意味はある活動かなーと思っているのですが,今年は少し別な気分になりました.こうやって一年生とまったり過ごしてみるのも悪くないかなーということです.

よし!来年はゼミやろう!!

という気分です.ちょっと意味不明ですね.

要望にお答えして

そうそう,過去問をアップしてということだったので,上げておきます.この程度の問題ではかなりよいできであったと記憶しています.もちろん,ぜーんぜんできていない人もいましたが,この問題を見ればわかるように,ぜーんぜんできていない人はぜーんぜん勉強していない人です.今年は傾向はすっかり変わってしまうかもしれませんので,過去問をみる人はそのつもりでいてください.

おまけ

質問大会の終りころに,講義の最後に示したクラウジウス・クラペイロンの式の導出として,ファインマンの本では全然違うやりかたで出していることを教えてもらった.どういうこと?というのが質問でした.講義でやったのは,Fermiの教科書に近いやり方でした.その学生から導出のアウトラインを聞いたので,確かにポイントはわかったが,右辺のこの式がどうやってでてくるかわからない...しかも,どうも第一法則とサイクル過程であることしか使っていない...不思議だ.というところで,当日は終了しました.その後に研究室のセミナーもあったのでね.

それで,いろいろ仕事が終わって,居室に戻ってきたのは夜になっていたが,とにかく気になっていたので,ファインマン本を探す.しかし,その巻だけ家じゃないか.まわりの電気のついている部屋をめぐるもその本はなく,もやもやしたまま家に帰る.そして,読む.なるほど,第二法則も使っています...というよりも,そうやって出すのか,ファインマン.かっこいい.ここでも説明したくらい.黒板で書くのは簡単だけど,ここで説明するのは面倒だ.

でも,質問してくれた学生さんにわかるくらいならばできるかな.まず,液相ー気相に相転移する物質をもってきて,温度一定にして,体積を増やして相転移させます.そのときの温度Tの等温条件でのPV曲線をかく.相転移するので,ある体積V_lからV_gまでは圧力が一定になっている.今度は,温度をちょっとだけ下げる.T-ΔTで同じくPV曲線を書く.このときに,圧力が一定になっている領域はほぼ平行になってるが,その平行の領域の両端を断熱過程で結んで,サイクル過程をさせてみる.ここがかっこよい.温度T一定で体積をV_gまで増やし,系に熱を与えて仕事をさせて,断熱で温度を下げて,T-ΔTにして,温度をキープ.熱をうばって体積を小さくし,V_lになったところで,断熱過程でTにもどす.おお,これはカルノーサイクルではないか?カルノーサイクルなので,換算熱は等しい.\frac{Q_{in} }{T} =\frac{Q_{out} }{T-\Delta T.ここが当日わかっていなかったところ.さて,このサイクル過程で系のした仕事は,TでしてT-ΔTでされて,結局,微小な圧力差を使って,ΔP(V_g-V_l)である.一方で,これはもらった正味の熱,Q_{in}-Q_{out }に等しい.先の換算熱の等式から,Q_{out} = Q_{in} (1-\frac{\Delta T}{T})なので,仕事の等式を書くと,\Delta P(V_g-V_l)= Q_{in} \frac{\Delta T}{T}となり,これがクラウジウスの式になっている.というわけです.

  • (2008.8.30追記):あまりに気持ちがよかったので,同僚の先生にファインマン流クラウジウスクラペイロンの式の説明をする.と,その先生は,「私は講義でそうやって教えています」とな.おおお,そうであったか.私も来年はこれを使おう.さらにコメントを頂いた.この実験的検証を考えると,第二法則の定量的測定になるという意味もあるとのことでした.そうですね.永久機関不能則という否定法則から,肯定的法則への意味付けができています.もちろん,エントロピーはここから出てきたのですが,エントロピーにいく前に温度計と熱量測定でそれがわかるというのがポイントです.ということを教えてもらった.

それでは,試験がんばってください.

みなさんの健闘を祈っています.

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最終更新時間:2008年08月26日 21時50分33秒