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統計熱力学おさらい4

第四回おさらい

今日のおしながき

  • 2.統計力学の基本的な考え方
    • 2-2等重率の原理
    • 2-3カノニカル分布の導入

今日のまとめと反省

今日から真面目に物理の話に突入する.まず,大自由度の力学系の性質を極々簡単に説明して,等エネルギー面上の軌跡について考えてみる.そこで軌道についての時間平均と位相空間での統計平均との違いについて説明し,ここではこれらが一致することを仮定する.ただし,ここで統計平均の重みを軌道についての事後経験確率だとすると,実は問題はほとんど簡単になっていないことがわかったと思う.このままでは相変わらず,最初に想定した「アボガドロ数ほどのニュートン方程式を解くことは困難」だという事情は変わらない.なんとか,統計平均の重みを決めたいわけだが,そのために先の位相空間の軌道についての事前の知識が何もないということをあからさまな原理として採用する.それが等重率の原理である.つまり,エネルギー一定で取り得る全てのミクロな状態は全て等しい確率を持つとするわけである.さて,ここからそれぞれのミクロな状態が出現する確率がどのように決められるかが次の問いになる.これは来週示すことにする.

  • 今回はなんだかこのページを書く時間がほとんどなかった.

今日の宿題

特になし.練習問題解いておいて.

配布するファイル

先週のおさらいページにあったファイルを若干更新して,コピーを配りました.そのPDFファイルはこれ(note-20051021-v2.pdf(115)).

今日の質問

幾つか講義中に大事な質問を受ける.

等重率の原理は,先の時間平均と統計平均が一致する仮定のときの初期条件の問題を仮定として含んでいるか?

一致しない場合としてありうる状況を説明して,それがエルゴード仮説と呼ばれる大事な問題であることを捕捉する.等重率の原理はそれとは別に原理として置かれていると考えてよいでしょう.

位相空間の分割するスケールは物理量で決められるのか?

軌道を追っかけることができたとして,その結果の経験確率を説明するところで,便宜上位相空間を離散の箱に分割したわけだが,そのときに「観測量がほぼ同一の値を返して来るくらいの粗さでメッシュを切る」と説明したことについての突っ込みであった.もっともな突っ込みである.物理量でメッシュの大きさが変わるのではどうも気持ちが悪い.正しい分割の仕方は実は古典力学の範囲では決められない.このことは後でまた議論したいと思う.ここでは,おはじき問題のようにあらかじめ離散的にミクロな状態が指定されると考えて欲しい.

今日の投票用紙の裏より

講義に関係しないコメントには気分で反応します.

過去問や演習問題欲しいです.

そうですね.

今日の雑談

  • 今日の投票数は, 27でした.でも,投票用紙を回すのが遅くなって,全部に回っていなかったですね.二列目までしかいかなかったとして,3/2倍すると40人なので,感じとしてはそんなに外れていない推定値だと思います.ちょっと少なくなったような気もしますが,まずまずですね.
  • あまり時間がなかったので,全然説明できなかったんだけど,今日のアンケートは「講義のWEBページを見ているかどうか?」でした.結果は,
YesNo
76

微妙な感じですね.

  • 今日は最初に「計算ができること」の大事さとあやうさについてちょっとだけお話しました.計算だけできてもいけませんが,計算もできないのはもっと悪いです.なので,今回はせめて計算はできるようになってほしいと思っています.上にもコメントもらいましたが,少し練習問題を配ろうと思います.

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最終更新時間:2005年11月02日 02時31分00秒