統計熱力学2006おさらい5

第5回おさらい

今日のおしながき

• 統計力学の基本的な考え方
  • カノニカル分布
    • 熱平衡の条件
    • 統計力学的エントロピー
    • 熱期待値

今日のまとめと反省

前回の最後はカノニカル分布の形を導出するところまででした．まだ，完全では無かったです．今回は普段はけっしてすることのない復習を黒板一枚分でざーとレビューしました．どうだったでしょうか．復習しながら，どこが問題だったのかと，今日はどこに向かおうとしているのかを説明した．まず，カノニカル分布の指数の肩の係数の意味を考えてみたい．まだ，熱力学は登場していない．この段階で確率最大化の条件から，熱浴と系の間の関係を見付ける．この条件から，もう熱浴の詳細によらないことがわかる．さらに，このつりあう条件は熱力学第ゼロ則っぽいなんて言ってみる．個人的にはここが限界かなと思う．ここからその条件の物理的な意味を考えるために，少し熱力学の知識をつかう．まず，一番大胆なのは統計力学的エントロピーとして，ボルツマンのエントロピーを導入する．そうすると，さっきの条件は熱力学でいう逆温度のつりあう条件になっている．その状況を少し議論する．

これで，カノニカル分布の意味が与えられたことになった．確率分布が分ったので，期待値を計算しようというわけである．まだ，具体的な計算はできないが，形式論で何が言えるかを考えてみた．まず，エネルギーを計算して，それが分配関数を微分して得られることをしめす．これでエネルギーという量に関する予言を形式的に与えたことになった．それではその予言はどのくらい正しいのかを調べるために，ゆらぎを計算してみる．あれこれと計算すると比熱と関係していて，示量性を課すと，ゆらぎはし量的でないことが示された．ここから1自由度あたりのエネルギーの予言がほぼ確実になることを説明する．以前に説明した論理とまったく同じことがここで出てきたと言うわけである．今日はここまで．

今日の宿題

• 練習問題の解答例を配ったので，復習を是非してください．
• 2ー8の答えが中途半端で止まっています．エントロピーが増えることをしめす問題です．ぜひ，答えを完結させてください．

配布するファイル

• 練習問題の続きを配ったです：note-sm2006-p2.pdf(514)
  • (2006.11.19)追記 問題番号が単調増加関数になっていなくて，一部(2-10,11)重複していました．そこだけ修正しまいした．
• 解答例を3枚配りました．:note-ans-sm2006-v1.pdf(122)

今日の質問

どうして確実になるのか??

最後にエネルギーのゆらぎの期待値を計算して，これが示量的でないことを説明したが，ちょっと駆け足だったようで，もう少しゆっくり説明しました．

今日の投票用紙の裏より

今日はアンケートのインパクトが強くて?，コメントはなし．

今日の雑談

• 今日の投票数は， 16でした．段々減ってます．
• 今日のアンケート:

駒祭の時は講義は休みにするか?それとも．．

• 11/24の金曜日は駒祭に重なるので休みたいですか?というのが問いでした．今週の最初の方に後期課程は駒祭とは関係ないから休講にしなくてもよいよと事務からお手紙が来ました．これは知らなかったので，あらためてスケジュールを見ると，何と講義数がそれで15回になってしまうことが判明．あわてて事務に電話をして，いつ休んでもいいのか?と問い合わせる．解答は，先生の都合で好きにして下さいということでした．結局学生さんに聞いてみようと思って，今日のアンケートになった．それとも，，の続きは「15回やるか?」でした．ところが，今朝来てみるとまた一通手紙がやってきて，「先生の授業は４学期開講分ですので，駒祭休みになります」とな．うーん，もうアンケート書いちゃったので，そのままみなさんに回してみる．
• アンケート結果：

• でした．休講派のみなさんの多くは駒祭に参加されるようでした．意外だったのは，15回派が多かったことです．その他は，番外編的な講義をやるということでした．
• 今日は本当にこれを回してよかったと思いました．なんと，半数の人が15回目やってもよいということでした．わしがヘロヘロになることなど全く気にせずに，とにかく講義が聞きたいと意志表明してくれたことはちょっと感動ものでした．わしは16人の参加人数の少なさに少々気が滅入っておったのだが，そんなことは何の問題でもない．こうしてやる気満々で話を聞いてくれる人が一人でもいる限り，えーいワシが面白いところに連れてってやるわい！ と，まあ，どんなモードか全く意味不明ですが，元気だけは確実に増えています．来週の講義を乞御期待．

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