統計熱力学2006おさらい6
統計熱力学第6回おさらい
今日のおしながき
今日のまとめと反省
最近意識して前回までの講義の復習を最初の5分を使ってするようにしている.全体の流れがこれで掴めればよい.これまでにカノニカル分布の導出をやって,"温度"がどのように関係するのかを明らかにしてきた.この式をゆっくりながめてくると,改めて何だか遠くにきたもんだという気がする.もう力学系の性質は全くはいっていない.どこで失ったかは講義で話したが,みなさんの中でゆっくりと納得しておいて欲しい.前回の最後にはエネルギーのゆらぎが小さいこと,比熱が正であることを一般的にしめした.これらのことから,エネルギーの温度依存性について現状で言えることをまとめてみた.
さて,今日はもう少し熱力学との関係を議論してみたい.具体的には分配関数と熱力学関数の関係をはっきりさせてみたい.まず,そのために,熱力学でたびたび出てくる量を統計力学で表しておきたい.マクロな観測量を統計力学で表現するには何をする必要があるか? 物理量の熱期待値を計算する際の基本的な思想である.ここでは圧力について考えてみた.ミクロな表現で圧力はどう書けるかを議論し,熱期待値を計算した量をマクロな量とみなすのがここでの作戦である.講義では具体的にさらさら計算して示す.結果はlog Zをvで偏微分して,kTかけた量であることがわかった.前回のエネルギーの期待値と同様に,log Zが大事そうである.ここで,熱力学の関係式を思い出してみて,そのlog Zが何なのかを考えてみる.熱力学との対応関係を見ると,それはヘルムホルツの自由エネルギーに関係していることがわかる.
次に,分配関数から出発して,今の議論を後から?見てみる.規格化定数である分配関数の意味について考えることになると思ったので,少々冗長な気もしたが,この説明をした.クロネッカーのデルタ関数の説明をして,ほれほれ計算してみると,確かに尤もらしい条件から,熱力学の関係式が出てきて,さらにエネルギー分布が尤もらしいエネルギーのまわりに急峻だとすると,分配関数が,E-TSを用いて表すことが出来る.確かにヘルムホルツの自由エネルギーっぽく見えると言うわけである.あくまでも,これは熱力学の関係式の導出や自由エネルギーとの関係を導出したわけではない.最初に分配関数の定義で温度が"正しく"導入されている.まさに,議論を逆さまに見ているだけなのである.統計力学と熱力学の関係はこういう関係なのである.最後におまけとして,エントロピーを自由エネルギーで書いて,そこに分配関数の式を代入してみる.そうすると,シャノンのエントロピーが出てくる.情報理論で出てくるエントロピーだが,確かに物理の言葉でエントロピーと呼びたくなる理由が分るだろう.
これで統計力学の基礎編について前半で話すことは終わった.ここから基本的な応用にすすんでいきたい.もう残り時間が十分を切ったので,統計力学の応用でやりたいプログラムを説明した.ステップ1,2,3である.次回からその具体的な例を紹介したい.
今日の宿題
- 圧力の熱期待値の式をチェック!
- 熱力学復習.ヘルムホルツの自由エネルギーとエントロピーの関係式をチェック!
- シャノンのエントロピーはlog pの熱期待値の形で書かれています.つまり,和で書かれています.えーと,ボルツマンのエントロピーとはどういう関係かな?
配布するファイル
なし.先週配った問題の番号が少々変でした.
今日の質問
なんか無かったような...さびしい...
今日の投票用紙の裏より
あれこれ
今日の雑談
- 今日の投票数は, 18でした.でも,今日はちょっと人数が多くなったようだったので,終わりに目で数えたら,21人.
- 今日のアンケート:ちゃんと説明しなかったのだが,講義の難しさを聞いてみたら,有効投票数4票で,みなちょうどよいということでした.もうちょっと難しい方がいいか?
- 来週の講義をどうするのかを,先週のアンケートで聞きました.結果は先週のページを見てください.やはり,駒祭に参加する学生さんがいるようなので,通常の講義はできないと判断しました.エキストラに何か話題を提供できればよいのですが,今まででならったことを使って...というのはちょっと個人的には厳しいので,今回はそれもなし.いっそのこと休講にしようかとも思いました.が,せっかくなので,
質問受け付けコーナー
- にします.ですから,講義は基本的に休講です.ただし,私は教室にいて,質問に答えたり,雑談したり,..という会にしたいと思います.誰も来なければ,私はそこで仕事をするので,気にしなくてもよいです.
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最終更新時間:2006年11月20日 21時43分41秒