統計熱力学2006おさらい8
統計熱力学第8回おさらい
今日のおしながき
- 3 本的な応用例
- 二順位系
今日のまとめと反省
今日は先週に引き続き,一回読みきりで統計力学の適用例を紹介することにします.その例題は二順位系と呼ばれる問題です.最初の,その問題の背景を簡単にまとめて,つまり,これが何の物理的な問題に関係しているかをお話してから,具体的な問題設定の説明をしました.それが終われば,後は機械的に計算するだけなので,その前の状況をゆっくりと説明しました.磁場中の磁気モーメントの問題の簡単版であることはその一例として挙げましたが,地磁気中の方位磁石の問題ではなぜいけないのかも触れました.そんなことを意識すると,我々が何を考えようとしていたのかを改めて思い出されます.
問題設定の後に,まず計算しなくても予想できることを考えます.温度を挙げると,どんな問題でもミクロに一体何が起こっているのかを考えてみることは大事です.その後は計算をして,熱力学量まで示します.分配関数を計算して,エネルギーや比熱まで求めます.ここまでは算数の問題ですが,そこで改めて,得られた結果を見てみることにします.まず自由エネルギーや他の熱力学量が正常に示量的であることはすぐにわかります.それから,エネルギーは温度の関数として,単調増加関数であることもわかります.温度ゼロでのエネルギーは計算しなくても予想がつきます.無限大温度ではどうでしょうか?全体の粒子が高エネルギー状態にいるわけではありませんね.これも考えてみれば当り前のエネルギーゼロ状態です.これが当り前に思えて下さい.途中はというと,なだらかに変わっていますが,その様子を詳しく見るのが比熱です.比熱はある温度でピークをもって,高温側と低温側で特徴的な温度依存性を示します.特に,低温側はショットキー型と呼ばれる典型的な温度依存性です.そのからくりは見ぶり手ぶりで説明しました.そんなことが大事だと思います.ここで,ミクロとマクロを繋いでいるメリットを感じられますね.マクロな比熱がショットキーを示すと,ミクロには今回のようなことが起こっていると,想像できるということです.何か見えた気がしませんか?
最後に,幾つかの具体的な問題の例を示して終わりました.キューリー則と,ゴム弾性のフックの法則です.どちらも同じような性質に思えてきます.ただ,講義ではこの辺はドワーといってしまって,いけませんでした.盛りこみすぎて,クリアな説明になっていなかったですね.わからなかったら,また質問して下さい.
今日の宿題
- 二順位系のエントロピーの温度依存性を求めよ.それは直感的に理解できるか?
- 練習問題に三準位問題があるが,それを解いて違いを考察せよ.
配布するファイル
- 特になし.
今日の質問
今日はなかったような...
今日の投票用紙の裏より
あれこれ
今日の雑談
- 今日の投票数は, 11でした.少なーい.最後の方に来ている人数はもう少し多かったような気がしますが,とにかく最初の時点では確かに10人強でした.どうしてこんなに人数が少ないのか?とぼやいたら,講義の開始時間が定刻どおりだからじゃないかと指摘されました.「先生熱心だから?」ええええ.定刻に始まっちゃいかんのか?いかんわけないですね.私は決して熱心ではありません.
「私はやる気のない学生のやる気をださせるほどやる気のある先生ではありません.」by 谷岡先生@のだめ
- 同感です.ただ,講義を定刻どおり始めない程落ちぶれちゃーいませんぜ.
- そうしたこととは全く無関係に今日の講義はちょっとまずった感じ.構成は悪くなかったし,一こま分のトークとしては無理の無い程度だったと思っていたのだが,最初の与太話が長かったのか,後半の時間が押しまくって,最後はドドーって感じになってしまった.もうちょっと余裕をもって話したかった.最初の復習モード分(+ヨタ話)が圧迫の原因と見た.
- 今日のアンケート
Q: この講義のためにどのくらい復習しているか?
0 | 10分 | 30 | 1時間 | 2時間以上 |
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0 | 3 | 3 | 1 | 1 |
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最終更新時間:2006年12月14日 09時09分51秒