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統計物理学2006おさらい13

第13回(最終回)おさらい

今日のおしながき

  • 4 グランドカノニカル分布
    •  表面吸着
  • 5 量子統計へ
    •  5-1 固体の比熱
    • 5-2 古典的取扱い
    • 5-3 アインシュタイン模型

今日のまとめと反省

先週の最後は表面吸着の問題設定だけお話したところで終ったので,その続きを計算して,答えの説明をする.いろいろと話したいことがあったが,一方で今日の残りのスケジュールを考えるとゆっくりしていられないので,どどーと話をする.化学ポテンシャルを調整することや統計力学的に考えるメリットとか.

さて,急いで次の話題に展開する.この講義では量子統計は含ま無いので,そこは裂けて来ました.ただ,古典統計力学をやっているとちょっと困ったことが出てくる問題もあり,量子統計へいきたくなることもあります.ちょうど100年くらい前の時代がそうだったと想像します.今日はそんな話題である,固体の比熱の簡単な話をしました.表題は「量子統計へ」としましたが,それほど量子統計の話ではありません.

まず,問題として固体の比熱の温度依存性の実験事実から始めました.統計力学の問題としてどこをつつけばよいのかという考え方を示しながら実験事実を確認しました.現代的には原子分子の存在は知っているのですが,おそるおそる固体内部で起こっていることのモデル化をしました.調和振動子が出てくる一般的な話から,統計力学モデルを考え,最初に古典統計での取扱いをします.もちろん,エネルギー等分配則が出てきます.それは高温での比熱の3Rであるデューロンープティ則です.古典的には比熱は温度依存性は無くて,実験事実とはあいません.さらに,エントロピーを計算すると,絶対零度にむけて負に発散します.低温での振舞は明らかに何かおかしいわけです.でも,どこがおかしいかは自明ではありません.モデル化の設定が悪い可能性も十分あります.計算の便宜上,振動子は互いに独立なんてしてますし...

ところで,低温で悪いとはいっても,低温ってどのくらい低温なんだろうかと考えてみます.エントロピーが負になるとこらはちょうどk_BTが\hbar\omega辺りです.つまり,低温を判断するのがその位のエネルギースケールだということです.しかし,hって糧に導入したメッシュの大きさだったわけで,これは表舞台に出てきてもらっては困る野であって...と,この問題に部分的な答えを出したのが,アインシュタインでした.彼は調和振動子は量子力学的に取り扱うべきだと提案しました.

ここで数行,量子力学のおまじないをします.ここでは兆話振動子系のエネルギー固有値をだしておいて,量子統計の考え方を3行で説明しました.後は,ミクロ状態の指定と全エネルギーを確認して,計算はすっかりサボって答えだけ示しました.実はこの計算はおはじき問題とまったく同じです.詳細は練習問題とその回答例に配ってあるので参考にしてください.計算できた比熱はとっても調和振動子のような気がしませんが,高温での振舞は古典系と全く同じです.そこで起こっていることのは絵で説明してみました.さて,重要なのは低温で,うまいこと絶対零度で比熱はゼロに下がってくれています.しかも,低温の度合を決める大きさがやはりエッチバーωで,エッチバーとωがはいっているところがいい感じです.それぞれの意味を説明しました.

ここまで大急ぎでやって,アンケートまでお願いしました.いやー,すまんかった.走りすぎた.

今日の宿題

  • 調和振動子の計算をフォローせよ.
  • やはり振動子を独立とするのは良くなくて,そのままでは低温でのT^3則は出てきません.そこでデバイ模型が出てくるわけです.自分でデバイ模型を勉強せよ.

配布するファイル

  • なし

今日の質問

化学反応の問題をちょっと考えてみたんだけど...

尾おお.すごいじゃないの.こういうのはすごいですね.なんかできそうかもしれないと思ってやってみるのはとても大事です.きっと,こんなことができるようになると,止められないですね.さて,結果はというと途中で計算が出来なくなったとのこと.時間がなくて背景の議論に終始してしまったけど,ほんとはゆっくりその詳細を聞いてみたいですね.

いろいろ

その後にもいろいろ質問に来てくれまいた.みなさんもわかると思うですが,ちょっと真剣に取り組むとどどーって疑問が湧きますね.疑問が湧かないのは,ものすごく天才か,何も考えていないのかどちらです.湧いてきた疑問には真摯につき合って欲しいと思います.疑問は自分で解消できることもありますが,本を読んだり,人と議論したりして解消することもあります.そうやって,少しずつ前に進んでいくものだと思います.

今日の投票用紙の裏より

今日はアンケートをお願いしたので,投票用紙は回しませんでした.その代わりにアンケート用紙の裏へのコメントを書いてもらうようにお願いしました.下にそのコメントと返答をまとめておきます.

今日の雑談

  • 今日の出席数は, 50でした.これはアンケート用紙の枚数から数えました.履修学生数は79なので,最終回出席者率は,64%です.目標の8割どころか,7割も切ってしまいました.みなさんの温度に比べて,吸着エネルギーが小さくて,教室の被覆比は小さかったです.
  • アンケートをお願いしている間に,簡単に挨拶をさせてもらいました.みなさんの進学される専攻はばらばらでしょうが,それぞれのところに対しても何かしらの寄与があればうれしく思います.これからもがんばってください.とりあえずは,来週の試験ですね.
  • アンケートに寄せられたコメントたち

不可だったら来年も受けるんでよろしく。

残念ながら,私は来年はこの講義をやりません.上にも書いたように,講義への出席率が7割を切ってしまって,来季続投の契約が取れませんでした.というのはウソですが,諸般の事情で来年はやりません.あしからず.ですから,是非,ふからないでください.

IDimelo!

何語?

本当におもしろかったが、内容の量は少し多かった.内容量を減らし、もっとゆっくりくわしく説明した方がいいかもしれません。

そうですか.何かノートを配って,ゆっくり話を聞いてもらえば良かったかも知れませんね.話題をこれ以上減らすのは講義の迫力の問題もあって,減らしたくないですね.みなさんにはお腹一杯になってもらう必要があります.

難しすぎる

やはり沿うでしたか.でも,元来学問は難しいものです.先人たちも「ほいほいのほーい」って感じ作ったわけでは無くて,悩みぬいて作り上げてきたものです.現代的には彼らの知見をコンパクトにまとめて話すことは出来ますが,それでもそれを飲み込むのは容易では無いでしょう.難しく当り前です.簡単に食べられるものにうまいものはないです.なんていうと,講義改善を拒否しているようですね.それとこれは別ですね.

ごくろーさまでした

みなさんもね.

実験の前だったのであまり出れませんでしたが,面白かったです。

レポートにおわれていたということですかね.

今学期受けた20こくらいの授業の中で二番目くらいにおもしろかったです。これからもいい授業を続けて下さい.

うーん,二番か.微妙です.ちょっと悔しいですね.なんで一番で無いんだろうね.だれですか一番は...しかし,一方で「二番」というのは妙にリアルだったりします.私が学生のころ,近所のコンビニは夜中まで学生でにぎわっていましたが,その店が「観客動員数全国2位」だと噂が出ました.なんとか我々の手で一位にしてやらねばと思ったものです.妙にリアルなのが2番です.

とても難しかったのですが、練習問題を解いて授業にのぞめば大変分かりやすいものだと思いました.

練習問題はでも復習のために利用してくれればいいです.講義も話しましたが,練習問題が講義ノートの役割を果たしている部分があります.しかし,上のコメントは,練習問題を解いたのでしょうか,解いていないのでしょうか.

おもしろかったです。

こういう単純なコメントが嬉しかったりします.「おもしろかった」と言われるのが,究極の目標です.そして,いろんな意味,レベルでの「面白さ」が伝わればうれしいです.

練習問題を充実させるとさらにいい。簡単ー難関まで幅広くつくってほしい。

学生の要望は高くなるもんですよね.確かにこれは売りにさせる代物ではありません.もうちょっと整備したいと思います.

出席とっているらしいが、紙がこなかった。一部理解出来なかったのは集中力が足りなかったからか何かを知らなかったのか。理解を助けるための本が見付からず、役に立たない本を買った人もいたとか。

投票用紙は回していますが,出席は取ってませんよ.確かに途中で一服が必要ですね.話している方はテンションあがりまくっていて,気付かないのですが,聞いている方は付かれますね.息の抜き方も今後の課題です.本の話は第一回目に説明しました.

楽しかったです。

楽しくない講義は最低ですからね.

福島先生の授業のスタンスは好きです。数式の計算が複雑でかなり苦労しました。。。こればっかりは努力あるのみですね。僕は生命科学を専攻するつもりですが、物理は好きです。

これくらいは難しい計算ではないと思ってください.飛び道具は何一つ使ってません.微分積分,等比級数の和くらいですっていうと,ちょっと言い過ぎか.ぼちぼちがんばってください.それからグラフを描く癖も付けてください.

先生の授業は面白い。特に雑談が。ほんとに示唆に富んでいると思います.

雑談にきたか.雑談は雑談なので,示唆に富んでるかどうか...

先生の熱意は感じます!!が正直説明はあまり上手ではないかもしれません。。。扱っている内容が難しいせいかもしれませんが。。。もう少し数学的な内容の捕捉もしていただきたかったような気がします。(ガウス積分など)半年の間ありがとうございました。

がーん.大事なコメントありがとうございます.ちょっと自覚はあります.「自分,口べたですから..」,ちゅーか何いってるかよくわからないよーって自分にツッコミいれたくなることがたまにあります.しかし,ここは舞台上なので,なんとか..なんとかせねばならんと思って,また喋りつづけているのです.もうちょっと修行が必要ですね.

積分で、この。。。を書くのが面倒臭いです。テストではある程度省略させていただきます。

わかるように書いてくれればいいです.

秋休み中チンプンかんぷんだった若き久保亮吾著「ゴム弾性」をもう一回読もうと思います.

いいですね.読めない本が読めるようになるってすごいです.それに講義の寄与があるとすれば,望外の喜びです.

他の教官より大分良かったです

まあまあ,他の教官はどうでもいいです...上では二番目だとかいってひがんでたんちゃうん?!>自分

満点とって世界にはばたきたいと思います.ヘルムホルツの辺りから面白くなってきました。

講義の最後に,「講義は踏台である.この踏台から,先に広がっている世界に飛び出してほしい」というようなことを言いました.それを受けてのコメントだと思います.みなさん,是非,それぞれの心が響く分野で本当にがんばってください.

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最終更新時間:2007年02月01日 19時46分47秒