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統計物理学2006おさらい7

統計熱力学 第7回おさらい

今日のおしながき

今日のまとめと反省

前回までに統計力学の基本的な原理のお話をしました.そして,最後に統計力学のプログラムの説明をしました.今回から,具体的な例題を考えて,そのプログラムを実行することにします.

今日の例は,「理想気体」です.高校のときに学んだPV=nRTを統計力学の観点から見てみようというのが,ここでの目的です.まずは,ミクロな状態とエネルギー関数を決めます.ここは我々が行うモデル化であり,プログラムのインプットです.ここから熱期待値の計算のために分配関数を計算したいところですが,その瞬間に手が止まります.連続変数である位置・運動量をどうすればいいのかを,実はこれまで説明して無かったからです.とりあえず,位相空間を分割しておいて,その分割メッシュを細かくして連続極限をとることにします.そうすれば,「ミクロ状態の和」は積分で置き換えることが出来ます.メッシュのスケールは後で考えることにして,計算を先に進めます.この多重積分は一見複雑そうですが,良く見ると全部個別にバラバラに計算できることがわかり,位置からは体積Vが,運動量はガウス積分すればよいです.この計算から分配関数が求まります.それがわかると,エネルギーの期待値,比熱,圧力が計算できて,晴れてPV=nRTが導くことができます.エネルギーや比熱の思量性も確認できます.はい,おしまい.というわけではもちろんありません.この簡単な例を通しては我々は何をやってきたのか?それからなにが分るのか?を議論できます.統計力学を用いてこの状態方程式を導くことの意味を考えることができます.こういうことをやらないと,計算バカになってしまいます.

最後に残った時間で,メッシュのスケールと自由エネルギーの示量性について議論しました.前者は量子力学の不確定性原理と関連した話題をしました.この講義でも,位相空間のメッシュにはプランク定数を用いることにします.もっとも,これが最後の期待値に出てくることはありません.それから,自由エネルギーの示量性を回復するために,分配関数をN!で割ることを説明しました.時間があまりなくて,ワワーと話したので次回の前半でコメントするかもしれません.

今日の宿題

  • ヘルムホルツ自由エネルギーの示量性を議論せよ.
  • 分配関数の定義にN!をいれても,理想気体の状態方程式は変更されないことを示し,その意味を説明せよ.
  • 今日の例題を復習して,重力中の理想気体の統計力学を考察せよ(練習問題3ー2).

配布するファイル

  • 練習問題の解答例を配りました:note-ans-sm2006-v2.pdf(950).なんか途中から調子よく話してしまって,講義の最後の方でもう一枚プリントを配る予定がすっかり忘れていました.すぐに見たい人はここから持っていって下さい.また残り部分は来週配ります.

今日の質問

今日はあれこれ悩んでいるような学生がいたので,もうちょっと突っ込んでやればよかったですね.そんなときは質問してくれればいいんだけどね.

世間話

確率論の歴史の話から,進級の話まで,まあいろいろと脈絡無く(きっと彼には脈絡があったにちがいない)質問を受けました.すぐに解答できなかったり,私見を述べたりと,あまりバイアスの掛からないように説明したつもりです.そんな話でもいろいろ楽しいものです.なんちゅーか,もうちょっと敷居を感じること無く,話ができると,学生諸君にとっても私にとってもいいことがあると思うのですが...おかげで,昼ごはん食べてる時間がなくなってしまった.きっと彼も.

今日の投票用紙の裏より

気をとりなおして(?)がんばります.宿題のために平日睡眠時間を削ってみたら,休日の睡眠が12時間こえました.むーむずかしい.

今日から応用編に入るので,「気を取り直して行こう!」と最初に言ったのですね.本当にそうです.応用を見ながら,基本に戻ってもいいので,よい動機付けになればいいです.それから,講義の時にも話しましたが,「取捨選択」は大事です.全てを同じように対応すると体が持ちません.メリハリをつけることが大事だし,自分はこれをがんばりたいという部分を見付けることは幸せなことです.

エッセンスの集められたものが欲しいです.

ははー.そんなに都合のよいものを求めてどうする.それは自分で苦しんでつくるもんですよ.がんばってください.最近特に感じるんだけど,「これは本質的ですよ」という誰か声の大きい火の言葉をそのまま飲み込んでしまう人が多い気がします.そんなことしなくてもいいのですよ.自分で飲み込んでいいかどうかは自分で判断するんです.本質的だと思うことは自分で考えるものです.そして,ひとりよがりにならないように,人と議論するんです.やってますか?みなさん.

髮切りました?

はい.ばっさりと.

冬休みにまとめて復習解く作戦です.

なかなか思い切った作戦だな.でも,その作戦を邪魔するものが冬休みには沢山あるぞー.こたつとかみかんとか...

銀杏が散っています.果して伝説の真偽やいかに...

何?何?これ.

毎回の授業の最初の復習は重宝しています.授業中は式を追うのと写すのでいっぱいいっぱいなので,その復習で何が重要だったかが分ります.

うーん,喜んでいいのかちょっと困惑.これって,復習家でやってませんって,宣言してます?そんなことないですよね.何が重要だったかは,復習のときに気付いているんだよね.そうそう.その確認を講義の最初でできてるってことだよね.そうそう,きっと.

なんか長い文章

省略.

今日の雑談

  • 今日の投票数は, 51でした.

めっきり減ってしまって残念です.初期状態の人数の少なさはシラバスの文章が魅力的でなかったということだろうから,そこはそこで反省.でも,最初の80人が50人になったのは,講義が面白くなかったということだろうから,それはそれで反省です.

  • 今日のアンケート:
 配った練習問題は解いたか?
  • で,結果は,
全くやっていない解答は見た一問以上解いた全部解いた
254130
  • でした.うーむ.まあ,予想通りです.本当の目的はこれをネタにみなさんに注意を喚起しようということです.がんばってください.
  • 今回の講義ではじめてあることをしました.私の4年(短いけど)の講義生活で培ってきた伝統を覆す出来事です(おおげさです).黒板の移動方法を斜めにしました.うーん,大したこと無いとお思いかも知れないけど,講義のリズムってのがあって,私は途中で腕時計はずしたりつけたり,黒板の右に行ったり左に行ったり,どうしても欠かせない一連の動きがリズムを作っているのです(ほとんど気付かずにやってるんだけど).その一つが黒板の移動.前回の投票用紙に,縦移動だと黒板の上段に新しい面がいる滞在時間が短いとの指摘を受けました.同時に横移動だ(うーん言葉で書くのは難しい)と縦移動よりも一枚分の時間が延びるという理屈です.きみらの板書をとるのが遅いんだよーと思いながらも,その意見をさっそく採用してみました.思ったよりも簡単に変更できたぞ.この適応能力の高さ!すごいぞ自分.と悦に入っていました.まあ,簡単だったと言うことです.

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最終更新時間:2006年12月06日 20時38分15秒