統計物理学2006おさらい9
統計物理学第9回おさらい
今日のおしながき
- 3 基本的な応用
- 3ー3 相互作用のある系
- 3-3-0相互作用系
- 3-3-1 スピン模型
- 3-3-2 平均場近似
- 3ー3 相互作用のある系
今日のまとめと反省
最近はすっかり恒例になっている一枚復習からはじめる.前回の二準位系の概要をお話して,宿題の答えであったエントロピーを示しておく.このエントロピーの温度依存性だけから何が起きているかをまた考えてみる.計算しなくてもだいたいわかることだが,式を見てグラフを描いてみせるとわかる次元が違った気がしないだろうか?前半は中学生でもわかるレベルで,後半は高校生レベルである.どのレベルでも説明できるようになるのは,大事なことかもしれない.
さて,今日はその二準位系に相互作用を導入すると,相転移がおきるという話をする.まず,相互作用が分配関数の計算を著しく難しくしている様子を確認する.相互作用のある例をみて,それらの系の性質を知るための戦略をまとめておいた.大きく3つある.他にもあるかもしれない.講義では第二の方法である近似法を考える.具体的な計算を示す前にその例題であるスピン模型について説明する.ここはどこまで説明すればいいのは迷うところ.迷いながら話していたので,よくなかったかも.次元や格子の形が変わると,諸性質は大きく変わる.ここでは一般の近接数zを持つイジングスピンの模型の平均場近似を考える.
一口に平均場近似といっても,その導出にはいろいろある.ここでは平均場という感じがわかることと,どこでどんな近似をしているのかがよくわかる説明を試みた.スピン変数をその平均値とそこからのずれに分けて書いて,ハミルトニアンを変形して,ずれの二乗を無視するのが平均場近似の一つの説明の仕方である.計算自体は足したり引いたりするだけである.最終的には,知らない変数mを含んだ,変な二準位問題になっている.このけいの″分配関数"や″自由エネルギー"は先週と同じように計算できる.後は,そのmをどの陽に決めるかであるが,それは最初に平均値だと思ったので,やはり平均値でしたという条件を課して決める.その条件式を自己無撞着方程式と呼ぶ.最後に,磁場がない場合のmを求めておく.その温度依存性はある温度を堺に,ゼロから非ゼロに急激に変化する.この現象が相転移である.こんな簡単な模型と計算から相転移が出てきたわけである.次回は,今回の計算の詰めていたいところをしっかりと説明してみたい.
今日の宿題
- 磁場があるときには今日の意味での相転移はおきないことを示せ.
配布するファイル
- なし.練習問題の続きと解答例を近いうちにここに貼りつけます.
- 今度配るプリント(練習問題の続き: note-sm2006-p3.pdf(578)), (解答例の続き:note-ans-sm2006-v3.pdf(1314))
今日の質問
<ij>の意味
ijが最近接であるという条件です.和の下につけたときには,最近接で継れたijについてのみ和をとることを意味しています.ただ,まだ格子を定義していなかったので,説明だけが浮いてしまっていました.
自己無撞着方程式って,どういう意味?
撞着とは矛盾しているいう意味だそうです.なので,自分自身で矛盾していないことを表している方程式です. 英語で言えば,self-consisntent equationです.やっていることを思い浮かべると意味は合点がいきますね.
今日の投票用紙の裏より
お正月には勉強がんばります!あと一週間すれば...
本当はお正月はのんびりすごしたいところですね.でも,おそらく,あれこれしなければいけない勉強がたまっていることでしょう.やりたいところから,ですね.「もういーくつねると,」などと,元旦を楽しみにしていたのが,懐かしい.今では,そんなにさっさと来ないでほしいと願うばかりです.
JとΣをよく見まちがえます.
活字で書くと,とても似ていないんだけど,似ちゃっていますかね.
声がアレなときは無理せずマイクを.(そっちのほうが聞き取り易い)
お聞き苦しくて申し訳ありませんでした.講義の始まる前は,「ちょっと調子悪いかなー」程度でしたが,終わりの方は確かにハスキーボイス全開でした.いやー,もうしわけない.
よいお年を.
そうでした.その一言を言うのを忘れていました.よいお年を.
今日の雑談
- 今日の投票数は, 47でした.へるところまで減っちゃいました.来年の講義の予定が決まりつつあるのですが,どうやら来年はこの講義はもたなくなりそうです.これまで二年間担当したのですが,「クビ」なのかもしれません.ががーん.とにかく,今シリーズでしばらく統計力学はお休みになりそうです.
- 今日のアンケート
講義のWEBページを見てる?
見てない | 見てる |
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21 | 19 |
- でした.半々ですね.このアンケートも見てくれるように注意を喚起するのが目的でした.さーて,アクセス数増えるかなー?
[このページのアクセス数:180]
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最終更新時間:2006年12月21日 13時43分28秒