熱力学2007おさらい7
熱力学第7回おさらい
今日のおしながき
- 熱力学第二法則
- Carnotサイクル
- Kelvinの原理
- できること出来ないことリスト
今日のまとめと反省
前回はClausiusの原理の話をしたが,今回はまず第二法則で基本的な役割をするCarnotサイクルについて説明することからはじめる.後で,Carnotサイクルの普遍的な性質を求めるので,作業物質として何が入っているかは問わないことにする.2つの熱源に接している可逆なサイクルであることが大事なところである.また具体的な過程も問わないことにするが,それではイメージができないかもしれないので,ピストンを動かして適当なサイクルについて図を書いておく.このCarnotサイクルのする仕事が正である.講義で示したのは逆Carnotサイクルが負の仕事をすることだけ示しておいた.順方向は宿題にすることにした.逆の方はClausiusの原理から示される.
さて次にKelvinの原理(トムソン)を説明する.これは1つの熱源から熱をもらって,それを等価な仕事に完全に変換することはできないと言う,これまた不能の法則になっている.一つの熱源であるところが特徴的だが,これはClausiusの原理と等価である.あっちからこっち,こっちからあっちが示される.講義では片方は示しておいた(両方やったけ?).これは第二種永久機関がないことを宣言する法則だが,直接そこだけに言及したのがOstwaldの原理と呼ばれているものである.これはKelvinの原理以上にはなにも言っていないが,歴史的には意味があるのだろう.
ここまでに「不能の法則」を説明しながら,陰にできることやできないことを使ってきたが,ここで一通りまとめ直すことで,何ができて何ができないかを抑えておこうとした.これは第一法則と第二法則の違いを認識するにも大事なことだと思う.できることの一番としてあげたのは,仕事ー熱完全変換機関である.これはKelvinの原理が否定しているサイクルの逆過程なのだが,ある意味で第一法則からみた第二法則の特徴を表しているように思う.第一法則では熱と仕事と等価性を唄っていて,Kelvinの原理を見ると熱と仕事はちがうといわれているようで,ちょっと混乱するのだが,変換の方向が大事というわけである.という具合に,不完全熱機関だとか,不完全熱ポンプだとかを説明する.頭の中を整理するにはよかったのかなーと思う(自分では).
今日の宿題
- Carnotサイクルが正の仕事をすることを示せ.
配布するファイル
- 練習問題の解答例:Answers-NR-v1ext.pdf(722)
- 今日講義で配ったものに2ページ足しています.間違いがあったら教えてください.
- さらに2ページ追加(レポートの解答例)
今日の質問
Carnotサイクルでないサイクルってあるのですか?
可逆でないサイクルは全てそうです.次回に例とその性質を議論します.
原理って,くつがえることないの?研究者は原理の検証はしないの?
熱力学の場合は,耐えて耐えぬいた前世紀の歴史があります.そもそも原理と呼ぶときには研究者は慎重になっているし,検証に耐えたものにしか原理とは名付けないのだと思います.でも,本当にくつがえらないか?と言われると,完璧に否定は出来ないです,科学という意味で.
解答例品切れ
私の部屋の前に置いておきます.WEBにも貼りつけておきます.来週持っていきます.
化学反応の吸熱反応とか使って,永久機関作れそう.
できたら事件です.まず,化学反応を使ってしまったら,後でそれを戻しておかないと行けませんね.それが難儀です.
今日の投票用紙の裏より
あんまり意味のないコメントしかないので抜粋.
実験あきらめないでやってください!
あれっ?言ってましたっけ.あのあと部屋で火つけまくりましたよ.それはおいておいて,なかなか面白い実験は思い付かないのですよね.スターリングエンジンをちょっと借りてきて見せられるかもしれません.タイミングが問題か?
最近暑くなってきましたね.
はあ.そうですね.暑いのは辛いですが,起きるには楽ですね.
先生はいつも何時からいるんですか?
今日は特別早めに教室に入りました.15分前くらいだったかな.理由は「足」.故障したのでどのくらい早く歩けるか不安だったので,いつもより早めに教室にいきました.講義で少し話しましたが,けっこうひどい肉離れをやってしまって,歩くのも気が重いほどです.でも,直るものですね.生物の再生機能は不思議です.
4が見えない
ああ,またそうでした.できれば,講義中に指摘してくれればありがたい.
今日の雑談
- 今日の投票数は, 76でした.レポートの回収日だったので,人数が増えました.うーん,そういうこと?
- そういうことでしょうね.
- 今日のアンケート
配った練習問題解いてみた?
- 解いてない学生が多くて,「といた」方向にテールが延びています.思ったよりも,といている学生さんが多かったです.
- みなさん,レポートご苦労さまでした.練習問題の他のところを見ていると,自然に答えられるところもあったと思いますが...赤をいれてかえしたいですが,なかなか時間がとれないです.解答例は上に貼りつけてあります.紙は次回の講義で配ります.
今回のWEB投票
- 今日の講義の出来は?
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ダメ | 176票 - 投票 |
今回の一行コメント
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最終更新時間:2007年06月13日 21時25分25秒