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熱力学2008おさらい6

第6回おさらい

今日のおしながき

  • 2 熱力学第一法則
    • 2-3 第一法則の応用
    • 2-4 第一法則と理想気体
  • 3 熱力学第二法則

今日のまとめと反省

今回は第一法則を使って,わかることを考えてみる.特に,今までおおらかにしか定義していなかった熱容量をきちんと熱力学的に考えてみる.まず,熱力学第一法則で決まる状態量としての内部エネルギーの全微分と仕事の表式から,熱量の変化分の式をかいておく.ここで,熱力学変数としてTとVを考える.なぜTとVなのかは大事な話なわけである.特に後半で熱力学関数を考えるときに,どの変数を考えるかは決定的に重要である.ここでは我々のコントロールしやすい量として勝手に選んでいることに注意したい.ここで体積一定の条件での単位温度あげるために必要な熱量として定積熱容量を定義する.このように熱容量は一定にする状態量に依存して定義される.同様に圧力一定の条件での定圧熱容量の式も書き下しておく.一般に温度一定の条件であるとか,熱の出入りのない断熱過程の説明をしておいて,それぞれの過程で第一法則からわかることを説明する.例えば,断熱過程での断熱曲線の満たすべき微分方程式は第一法則から導かれる.ただし,完全に解ける形で得られることはなく,状態方程式と定積熱容量の情報が必要である.これが熱力学の典型的な理論構造である.講義ではTとVを変数としたが,お望みならばTとPを変数としてもよい.宿題はそこを出した.

次に,理想気体の話をまとめておく.理想気体の前提としてふたつの仮定を説明するところからはじめる.一つは理想気体の内部エネルギーがTのみに依存する.これは理想気体の真空断熱膨張の際に温度が変わらないことから導かれる性質である.もう一つは,理想気体の定積熱容量が温度に依存しない定数であることで,これらが満たされ,状態方程式PV=RTである気体を理想気体とよぶ.Cvが温度によらないことは分子運動論や統計力学からもっともらしく説明される.これらの性質から,内部エネルギーの表式を決めて,定積熱容量と定圧熱容量の差が気体定数であることを導く.これはマイヤーの関係式と呼ばれる.さらに断熱曲線も求めておく.

最後に次回の導入をしておく.これまで出てきた熱力学の法則の意味をまとめて,第二法則の目標を提示しておく.さらに不可逆過程の話をしておしまい.

今日の宿題

  • TとPを変数として,定圧比熱の表式を導け.もちろん,今日と同じ式になるはずである.
  • 真空断熱膨張の際に温度が変わらないことと内部エネルギーがTのみであることの関係を説明せよ.

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今日の質問

今日はたっぷりつき合って,部屋に戻ると3時過ぎてました.

理想気体は何が仮定なのか?

理想気体は内部エネルギーが体積によらなくて,熱容量が温度に依存しないことを仮定とした.前者は真空への断熱膨張の際に温度が変わらないことと等価である.ゆっくり考えてみると,真空への断熱膨張は真空との境目の壁を引き抜くか,穴をあけることが必要であるが,そのためには仕事は必要ない(とする).断熱過程であるから,熱のやりとりはない.第一法則より,この過程の前後での内部エネルギーの変化はないことがわかる.もっとも,内部エネルギーは変わらないが温度は変わることは可能であるが,「仮定」によると温度は変わらないとするので,結果として,内部エネルギーは体積に依存しないことがわかる.これが,上の宿題の答えである.熱容量の問題は下に少しコメントする.

断熱曲線を求めるときの,微分方程式の解き方.

裏で力学をやっていて,変数分離でこうやってこうやって,ほらって解くことをここでやっていたけど,ルールがよくわからないということだった.両辺を積分するときの積分範囲がわからなかったようで,そこは右辺と左辺は連動しているわけで...と説明する.

断熱曲線と状態方程式,矛盾してない?

ちょっと混乱したんだけど,おちついて状況をまとめると,混乱は解消する.

d'W=-PdV

これがどこまで正しいかという質問だったかな.

P一定とか,V一定とかで仕事はどうなる?

流体の仕事は-PdVとしたので,何が一定かで仕事は異なる.Vが一定だと仕事はない.

Cvは温度によらないことは,統計力学とか分子運動論とか原子論をしってるじゃないか!

理想気体の熱容量は温度に依らないことを仮定したんだけど,その根拠は統計力学や分子運動論から示唆されるというようなことをいったら,上のコメント.最初の話と違うじゃないかということだ.大事な指摘だし,最初の私が語ったことをよく覚えていてくれてうれしくなった.ミクロを見ないのが熱力学だと言っておいて,ミクロをみたら反則だろうというわけだ.確かに,希薄気体の実験が根拠になっていて,ミクロな理論とは整合を取れているというべきだったと思う.統計力学でも,希薄な状況で気体分子間に相互作用がないモデルを考えると熱容量は温度によらないことが出てくる.すでに理想気体の性質をいれて,ある理論でそれが導出できたというのは,整合が取れているということだけだろう.

今日の投票用紙の裏より

なんかごちゃごちゃかいてあるけど,どれもねーって感じ.

黒板の上げ下げのスピードが速すぎ.

がんばってついてきてください.

VとUの書き方,ごちゃる.

そうですね.まあ,ノートを作るときにしっかり考えながらやると勉強になるのではないでしょうか?

レポートはやめて.

6月はレポートが多いそうですね.がんばってください.勉強嫌いですって学生さんもいたのですが,大学は勉強するところです.きっと好きな勉強もあるのだろうから,そっちをがんばれば.

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最終更新時間:2008年06月17日 08時49分54秒