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熱力学2008最後のおさらい

試験終了!!

試験勉強も含めて,試験ご苦労さまでした.試験中にはいくつか質問がありましたが,基本的に大きなトラブルもなく終了できました.

試験問題の傾向

今年は傾向は変わるかもしれないと言っていましたが,「あまりかわっていなくてよかった」との感想を頂く程だったので,変わっていなかったのかもしれません.ただ,個人的には今まであまり講義や配った練習問題で見たことのない問題は出したことがなかったので,その意味では傾向は変わったと言えると思います.

大問1

ここでは実験結果として,2つの性質がわかっている気体についての熱力学的性質を議論しています.一つは状態方程式に関する性質,もう一つは内部エネルギー(熱容量)に関する性質です.あれ?これは理想気体と思った人もいたと思いますが,この二つの条件だけからは,理想気体とは断定できません.ただし,熱力学の法則から実はこれは理想気体と非常に近いことがバレてしまうというのがこの問題でした.

  • 性質1は,温度を一定にすると,PVは一定になるということ.これはボイルの法則だっけ?もうちょっとがんばって実験すれば,PVの温度依存性まで分かってしまいそうだけど,現段階ではそれは知らないとする.
  • 性質2は内部エネルギーは体積に依存せずに温度だけきまっていることがわかっていうr.

1-1

定積熱容量を内部エネルギーを用いて一般的に表します.熱容量とは結局どういう量なのかを問にしていますが,まあ点上げ問題です.

1-2

熱容量が体積に依存しないことを示します.ほぼ自明です.

1-3

今度は一般に定圧熱容量の表式を問にしています.

1-4

定積熱容量との差の部分を性質2に従って計算してみます.そうすると,Vによらないことがわかります.

1-5

等温条件ではこの気体の内部エネルギーは変化しない(性質2).第一法則より,仕事を求めれば,熱量がわかる.温度一定では-PdVのPがVで表せるから積分してみる.熱は放出することがわかる.

1-6

断熱変化で外に仕事をすれば内部エネルギーは減る.一般に内部エネルギーは温度の単調増加関数なので,温度は減る.他にもいろいろな考え方で温度が下がることは説明出来る.

1-7

二本の断熱曲線は決して交わらない.もし交わると開いた方を等温曲線で結ぶと一つのサイクルができる.これは等温曲線上で熱をもらい,外に仕事をするサイクルができることになる.熱を完全に仕事に変換するサイクルである.これはKelvinの原理に反する.

1-8

よく見ると,あるいはよく見なくてもこれはCarnotサイクルである.Carnotサイクルの性質は作業物質によらずに,換算熱一定である.交わらない断熱曲線をどこにとっても移動する熱量の比は一定である.具体的に計算してもこの性質は示すことが出来る.むしろ具体的に計算する方がわかった気がするだろう.実はこれができないと10を答えるのが難しい.断熱曲線の条件からいろいろ計算すると,Qin/Qout=f(T1)/f(T2)となって,温度だけで決まることが示せる.

1-9

Carnotサイクルはもっとも効率がよいから,それ以外のサイクルは効率が落ちるというのは適切ではない.どの条件で最適化が理解出来ていないからだ.この問では,高温の熱源からもらう熱は共通で,外にする仕事はちょうどサイクルで囲まれた面積なので,新しいサイクルの方が面積が小さいので,効率は小さいと言える.

1-10

Carnotサイクルの効率は普遍的に1-T2/T1である.ふと,1-8の答えをみると,f(T)がTに比例していないといけないことが分かる.あるいは,エネルギー方程式と状態方程式の性質からf(T)はTに比例することがわかる.つまり,性質1と2と熱力学第二法則の知見から,この気体が理想気体であることがわかるわけである.もっとも,温度が計れて,熱力学的温度が分かっていることを仮定しているので,第二法則はどこかしらに埋め込まれてはいる.

大問2

ここは過去問と似ていますが,ヒントとして小問に細かく別けてみました.講義で扱った内容をできるだけ広く聞くためにこのような問題を作りました.

2-1

van der Waals気体のnモルの状態方程式を求めます.示量変数は何かを聞いています.これはレポート問題でした.これができていないということは,レポートを出していないということか,出したけど...

2-2

Clausiusの不等式を聞いています.換算熱と準静的過程を考えてエントロピーを別々に計算して,その差があることで,不等式になっていることを示します.これで不可逆であることを示したことになっています.エントロピーが増えるといつでも不可逆というわけでは無いですね.

2-3

熱力学関数について聞いています.これもほとんどレポート問題でした.

2-4

熱力学的変化の方向を聞いています.Clausiusの不等式と,問題の設定を決めればヘルムホルツの自由エネルギーは減る方向であることが示せます.結局,よく考えると,ここで聞いているのは本質的には自由エネルギーの定義だけだったかな...あとClausiusの不等式,あるいは断熱でのエントロピー増大でもよい.とにかく第二法則の情報です.

問題量

それぞれの問題は実はそんなに難しい問題ではありません.よーく知識を整理して,ちょっと計算をすれば,ほいほい答えは出てきます.ただし,全部で問題が20問もあるのは流石に多すぎです.1問に5分もかけると全問解く前にタイムアップです.これはタフです.これだけ問題があると,0点を取るのは難しいですが,100点をとるのは難しいです.山をはって勉強していたとすると,外れる確率は低いですが,50点をとるのは難しい.そんな問題でした.でも,東大生の頭がフルスロットで動くところを見てみたいなーなどと思い,最終的にこの問題で試験をすることにしました.

試験結果

非常に成績はよかったです.問題が多かったので,それなりに分布しましたが,多くの学生さんはよくできていました.点数分布を示した方がよいかなー.さすが東大生といったところでしょうか.問題が簡単だったかな.

問題3

最後に感想を書いてもらいました.時間がなくてかけない学生さんがおおかったかと思います.また,試験での感想なので,悪いことはあまり書きにくいという条件なので,話半分で読んだ方がよいと認識しています.採点を円滑に進めるため?には役立っています.以下に半分くらいの人をタイプしてみました.もうちょっと時間がとれないので,残り半分は載せられないかな.一面感想文だった学生さんもいたのですが,それはここには書かないことにします.どどーと打ち込んだのでタイポはお許し下さい.

ミクロとマクロの世界は,私が想像した程度よりもはるかにかけ離れていることに気づきました.

私は大学1年のときには到達していなかった感覚です.よいことです.ともすればミクロな方向に目を向けがちですが,こうしたマクロな視点も大事です.そして,その間にはすごく離れたスケールがあるということです.

よかった点:質問にていねいに対応して下さったことです.悪かった点:もう少し数学的に議論を厳密にしてくださるとよいと思いました.

講義の後によくおしゃべりしていたのを覚えています.楽しい一時でした.数学的か.そうですね.数学が好きな人には耐えられないルーズさだったことでしょう.熱力学は数学的にもきちんと書くことができるので,もっと先を勉強してみてください.

結局,数式をひとつひとつなぞってみないと最後は何もわからないものだと痛感した.こまかい用語を忘れがちなので,ときどき復習しておくべきだった.

復習は大切です.流石に九九はわすれないですが,ちょっと離れるとどんどん言葉を忘れます.人の名前も.もう年か.

熱力学って,ほとんどミクロな過程をおかずに話をするんだというのがおどろきだった.もっと分子運動論みたいなものかと...

大事な認識です.ここに気づくと熱力学のすごさがわかります.私は大学生のときにはちっともわかっていなかったなー.

定期的にレポート提出があったことで,他の教科と比べてもよく勉強できたので良かったです.熱力学を勉強して,日常生活であたりまえに見えていたものが違って見えるようになり,日常生活が楽しくなったし,熱力学が楽しいと思えました.先生ありがとうございました.

少なくとも私は大学生のときはちょっとも面白くなかったので,それが伝染らなくてよかったです.私はきっと担当の先生の雰囲気が伝染っちゃったんですね.人のせいにしてはいけません.きちんと勉強すれば熱力学のすごさにはすぐに気づくことはできたはず.

それから,講義の後に「ありがとう」と言われるのがとてもうれしく思えてきています.段々としとってきているのかな.自分も講義を受けて本当に楽しくて感謝の気持ちがいっぱいだった講義が数個ありましたが,ありがとうなんて言わなかったです.大変後悔しています.

講義の形式やスタンスはとても良かったと思います.

ありがとう.スタンスを褒められるのはうれしい.もちろん否定的な人もいるのだとは思います.自分が学生だったら,こういう講義はうれしいと思うだろうなーと思いながら講義してます.

講義はシンプルでわかりやすさを追求したものだった.しかし,少しシンプルすぎて説明不十分と思われるところもあった.

おそらくポイントは二つあって,内容が簡単すぎたということと,ちょっと難しいところも簡単にしか説明しなかったということでしょう.講義の全体としての時間配分等修正すべきところはまだまだあります.

熱力学は変数がたくさんでてきたり,サイクルとか最初はよくわかりませんでしたが,テスト勉強するために必死でノートを見返したら,変数どうしのつながりとかがわかってきて少しだけ熱力学についてわかりました.

もうちょっと勉強すれば,熱力学のすごさがわかるはず.

試験:誤字が多い.講義:わかりやすいが寒い.練習問題はありがたいが答えがたまに間違っていたりした.学んだこと:高校では,温度など個々の点のみを扱っていたが,エントロピー増大といった新しい概念が実はサイクルを考えるときにわかった.

あれっ.どこでしたか.こういうことはできれば早く指摘してほしいです.そうする義務はないといえばないのだが,講義は受身ではなくて,能動的にするともっとよいものになると思います.例えば,何かしらの反応を示してくれればこちらもそれに反応したくなります.答えまちがってるじゃんと言われればより気を付けて解答作るし,簡単じゃんと言われればもう少し練った問題を作ろうとするわけです.それはみなさんにとってもメリットです,絶対に.

試験

ここで絶筆か.

講義は正直とてもわかり易かったです.プリントも補足してくれて,入学前はとても苦手だった熱力学でもなんとかやってこれました.しいていうなら板書をもう少し細かく書いてくれると助かります.学んだことは,熱力学は他の理系教科に比べてとても実生活に近い学問だということです.例えば,熱の移動方向の仕組がクーラーや冷蔵庫等のそのままの原理だったり等実用性と興味を感じることができました.また,微分等の計算能力も格段に上がったのではと思います.ありがとうございました.

大して計算していないので,計算能力があがったと思うのは一生懸命勉強したからでしょうね.それから,板書を詳しくというのはよくある要望ですが,きっとこれ以上はしないと思います.そもそもノートをとるということは,黒板を写すことではありませんね.

今までは物理の一部でしかなかった熱力学をここまで広げて学べたのはいい機会だったと思う.ただ試験にCarnotサイクル,Clausiusの原理がでなかったのはちょっと残念.

一番はCarnotサイクルです.

練習問題の解答がわかりにくかった(間違いなども多かった).試験中にあまり話さないでもらいたかった.

ちょっとしゃべりすぎましたか.これでも黙っていた方なんですが...わかりにくいところは指摘してくれれば補足しますよ.間違いも.

大変役に立つ面白い授業でした.そしてどうか単位下さい.

テストの点次第です.

内容はとてもおもしろい分野でした.ただ,一部のテーマがわからなくなって,不十分な理解のままにしてしまったのがとても残念でした.もっとその辺りを時間をかけて勉強したかったです.

それはそっちの問題ですね.こっちにももう少し時間をかけるべきところがあったように思います.

この講義を通して高校の時になんとなくあいまいに解いていた熱力学がかなり面白くおもえてきました.テストの1の後半難しいです.正直焦りました.せめて理想気体であると明示してくれればすべて厳密に解けるのに(涙)

理想気体と言わないところがミソですね.第二法則でそれが決まるというようにみえるのは面白いじゃないですか.

とりあえず試験に関して,WEBに傾向が変わるかもみたいなことが書かれていたが,本当に変わっててビビりました.特に1の後半はやったことがない問題なのでよくわかりません.せっかく勉強した相転移も出てない...講義に関しては最初はペースがゆっくりだったが,後半はペースもあがって,内容も興味深かったので刺激的でした.せっかくなので冬学期にでも本を買ってもう少し勉強してみようとおもいます.受業では熱力学はマクロにみる学問だといっていたが,これはこれで面白かったです.ミクロだけではないんですね,物理は.最初の受業でやった物理学の諸分野の位置づけみたいなものも参考になりました.熱力学に限らず物理学は少数の原理から様々なことが導かれることが改めて実感された.

すみません.相転移の問題はありませんでした.是非,勉強を続けられることを期待しています.ミクロを見ることも当然大切です.学問的に大切です.それは量子力学や統計力学を学ぶとすぐにわかります.一方で,マクロの視点も大切だということを熱力学は教えてくれています.果して,生物学にマクロな何かはあるでしょうか?もちろん,生態系や動物行動学等の本当に対象がマクロなものはあるでしょうが,そうではなくて,分子生物学の上?にあるようなマクロな何かです.シュレディンガーの「生命とは何か」とか読んでみると刺激になると思います.

全体的に特に不満はなかったいい講義だったと思う.マクロからの視点もいまだに大事であることを学んだ.

いまだに大事であるかことを主張できたかどうかはわかりません.熱力学は100年前に出来た体系ですから,それを講義しただけです.ただ,今になっても色褪せてはいないですね.それでも「いまだに大事」かどうかよくわかりません.上にも書きましたが,大事な気はするのですけどね.

書く時間がなくて申し訳...

ああああ,絶筆.

問1で時間を使いすぎてパニクった...

実はきちんと示すといろいろと難しいかもしれません.断熱曲線を形式的にもとめることはできますが,それは落ち着いてやらないと時間がかかります.

WEBでは「傾向が変わるかも」と仰っていた試験ですが,あまり変わった感がなくて良かったです.

そうならよかったです.前半はちょっと見たことのない問題にしました.私はどの試験でも基本的に見たことのない問題は出さないようにしていました.講義の試験は,選抜試験ではなくて,資格試験のようなものなので,ある程度の基準を満たしているかどうかを見たいわけです.でもね,出す方も解く方もちょっとくらい悩むのは楽しいことかと思います.

マクロな見方の力がわかってきました.

よいことです.

自習用のプリントを整理していると,どれが問題でどれが解答かわかりにくかったので,各プリントに「解答其の1」等の表題をつけた方がありがたいです.用事で大質問大会にいけなかったのが残念です

問題集は今後,問題と解答を合体させることにします.

良かった点:授業中に先生からあふれ出るエネルギーから自分もやる気をだして勉強できたこと 悪かった点:ほとんどありませんが,あえて言うなら黒板の字をもう少しきれいに書いてほしかったです.学んだこと:昔,生きていた人が周囲にあるものに大きな関心を抱き,長い年月をかけて研究して,しかもそれが何世紀か続いてやっと今の物理学・熱力学の理論が生まれたのだということ.

この程度でやる気を出してくれるならが,お易い御用です.黒板の字は永遠の課題です.年々上達するものかと思っているのですが,どうやら講義毎に振動したりもするような気がしてきました.

受業では演習問題がとても役に立った.熱力学を学んでものを巨視的に見ることの重要さが分かった.

こういう感想が多くて,うれしい限りです.少なくとも私が学生のころはこんな感想は抱かなかったです.すぐ後に学ぶであろうミクロな統計力学の方がかっこよくて偉いと思っていました.ここ数年の熱力学リバイバルブームが関係しているかもしれませんし,駒場というところが特殊なのかもしれません.私も駒場の先生方から強く影響を受けています.そもそも学生のころにはちっとも熱力学分かっていなかったんですからね.

勉強をテスト前にどっとするのではなく,普段からコツコツとやっていればこれほど辛い思いはしなかったと思いました.先生の講義は,聞いていて最も興味をそそられました.自分たちに対して身近にかんじられる先生です.冬学期もお願いします.高校よりも専門的で深い内容ができたので,物理好きの僕にとっては楽しみながら,エントロピー,ファンデルワールス気体などについて学ぶことができました.

高校よりも専門的なのは当然ですね.そうでなければ大学の価値はありません.物理好きなのか.是非,がんばってください.最近は物理が好きな学生が少ないような話をよく聞くのですが,ちょっと勉強してみると,好きにならないはずがないですよね.と思います.それから,冬学期はお願いされません.教務の都合で必須講義は同じ教官から複数回習わないように工夫されています.私の冬学期担当は電磁気ですが,Bコースを担当します.きっと,他にももっとパワフルですごい先生がいます.そんな先生に出会えることをお祈りしております.

時間切れ.ごめんなさい.とても良い講義でした.

ありがとう.

少ない法則からこれだけのことが分かるというのが熱力学のすごさの一つだと思いました.

物理は一般にそうなんです.そこに惹かれるものです.

身の回りの現象は許されることと許されないことがあって,それに従って起こっていることがわかりました.熱力学は正直あまりやりたくないなあーと勝手に苦手意識をもって始めたのですが,授業中にただ必死にノートをとるだけで終わらないで,今聞いている話を自分が理解できているかどうか,考えながら聞ける受業だったので,頭ごなしに「熱力なんてきらいだっっ」と思わずに済みました.そのわりにテストがこんな出来で申し訳ないのですが...でも授業がイヤだと思ったことは一度もないです.本当です.私を熱力嫌いにしない講義をして下さってありがとうございました.

よかった.涙出てきます.自分できちんと飲み込もうとする姿勢はよいことです.なんでもそうなんです.耳から目から入ってきた情報を鵜呑みにすることはいけません.よくかんで飲み込んでください.そうすると,自分はどんな味が好きなのかがよくわかります.

熱力学への印象が講義を通じてとてもかわりました.もちろんいい方向です.

よいことです.

本当に基本的な原則を定めるだけでこれほどまでの理論を展開できることに驚いた.特に,Maxwellの関係式の見事な対称性には感動した.

わしはまだその美しさは分かっていないかな.

まだここまでで,半分くらい.今回はこの辺りで勘弁しておいてやろう.いや,すみません.お許し下さい.


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最終更新時間:2008年09月30日 21時44分31秒