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熱力学2009木曜おさらい9

熱力学木曜第9回おさらい

今日のおしながき

  • 3 熱力学第二法則
    • 3-7 Clausiusの不等式
    • 3-8 エントロピー

今日のまとめと反省 

Carnotサイクルの特別な性質として,換算熱がサイクルの前後で保存されていることに注目をして,一般のサイクルのときの換算熱の出入りを調べてみる.一般化のためにまず熱源が二つ以上の場合を取り扱いたい.そのために、素朴には複数の熱源に接した等温過程を複数考えて、その間を断熱過程でつないだサイクルを考える.ここに出入りする換算熱を考えるために,それぞれの温度の熱源と熱のやりとりをうまく消すために外側に共通の温度の熱源と熱の収支をとることにする.やや複雑なサイクルを組むのだが,やりたいことは明確である。注目するサイクルへの換算熱を親玉熱源からでる熱で表現しておいて、全景の仕事をまとめておく.ここで,ありうる換算熱のケースを調べてみる.まずそれが0の場合は,全仕事もゼロになっていて,すべてが元に戻っている.これは注目するサイクルもふくめて全てが可逆過程になっていて、熱源が2つの場合のCarnotサイクルのある意味で一般化になっている.ただし、熱源が一つではどうにもならない.そのことはレポート問題で考察してもらうことにする.さて,換算熱が正の場合は,Kelvinの原理に反していて、負の場合は典型的な不可逆過程あることが示される.これが一般のサイクルのもつ性質であり,Clausiusの不等式と呼ばれる関係である.あれこれ議論してきた第二法則がはじめて定量的に表現されたといってもよい.ここから熱源の数が無限大の極限をとって、連続変化版の式を導いておく.これはClausiusの不等式の積分形である.

このClausiusの不等式を眺めながら,可逆過程の場合の等式をじーとみると,力学とのアナロジーがすぐにみえてくる.熱力学状態AからBへの可逆過程を考えると、いくつかの経路を考えると、換算熱が状態遷移に関して経路に依存しないことがわかる.これは,力学での保存場の性質とおなじである.そこで,保存場の性質から,ポテンシャルエネルギーを決めたのと同じように,位置のエネルギーすなわち、状態量を一つ決めることができる.それがエントロピーである.おおおお.と言う感じであると一方,力学をみれば、ひどく当たり前の感じもする.状態遷移を可逆過程に限定していることが熱力学の特徴である.このせいであろうか,Clausiusの不等式からエントロピーに至るのに10年を要している.もっとも、Newtonの第二法則からエネルギー概念まで100年かかっているのに比べると、すすんでいるといえようか。

可逆過程でない場合は。。。というのは素朴な疑問である.そこをもう少し考察して不可逆の場合の換算熱はエントロピー変化よりも小さいことがすぐにわかる。さらに、この式から断熱過程の場合のエントロピー増大即が示される。ここでタイムアップ。次回はいくつかの例を示すことにする.

今日の宿題

  • 練習問題を.
  • レポート問題だしました.

配布するファイル

  • レポート1の解答例と第三回レポート問題:Report-3.pdf(102)

今日の質問

今日のエントロピーは全然乱雑な感じがしないんだけど。。。

それがこの講義で示したかったことの一つです.熱力学的なエントロピーから乱雑さの指標としてのエントロピーを感じることは難しい.ただし、いくつかの例を見ると、それが感じられることもある.ミクロとの状態量との関係をみると、また少し乱雑な感じがするかもしれないが、それは統計力学の講義で明確にみられるだろう。もっといくなら、complexityとの関係を見るべきであるが,それは熱力学のエントロピーとの関係を一般的に論じることは難しい.

今日の投票用紙の裏より

あれこれ

今日の雑談

  • 今日の投票数は, 95でした.とうとう100も切ってしまって,もう敗北宣言を出すしかないです.困ったなー.最近勝利宣言をした記憶がないなー.

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  • 左列の結婚の話について:俺は2次元に嫁が(ry - 通りすがりの廃人 (2009年06月19日 08時44分23秒)
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最終更新時間:2009年06月19日 22時53分53秒