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熱力学2010おさらい10

熱力学 第10回おさらい

今日のおしながき

  • 熱力学関数
    • 完全な熱力学関数
    • 自由エネルギー

今日のまとめと反省

前回,状態量としてのエントロピーを導入した.それまでにも沢山の状態量が登場したが,熱力学状態を指定するのにどれを用いるのがよいだろうか?どれを用いてもよさそうだが。。。何かある状態量を別の状態量の関数として求めるときに,どの組を用いるのが自然であるのかは,熱力学の構造から決まっている.この自然な組で表されたとき,完全な熱力学関数と呼ぶ.今回の講義では完全な熱力学関数の定義を説明した.まず,最初に出てくる完全な熱力学関数は,SとVの関数として表した内部エネルギーである.そこから,状態方程式と熱容量がわかることを示した.つまり,完全な熱力学関数を得ることと,それらを知ることは同じくらいに情報をもっているわけである.一方で,完全でない熱力学関数の例として,U(T,V)をあげて,ここからでは状態方程式はわからないことを示す.

もちろん,他にも完全な熱力学関数は沢山あって,二つの状態量を決めれば,一つ完全な熱力学関数が存在する.そのうち,T,Vに対するものをHelmholtzの自由エネルギーとよび,変わった呼び方をする.この由来は次の講義のときに議論することにして,その自由エネルギーから,Maxwell関係式と呼ばれる自明でない関係式を導く.これを覚える必要があるのかどうかよくわからない.自分は学生のときには覚えることは全く嫌いだった.とにかく,導出方法には飛び道具はないわけで,そっちを覚えておく方が便利だと思う.この自由エネルギーとMaxwell関係式を用いると,エネルギー方程式と呼ばれる関係式も導ける.

あとは,Gibbsの自由エネルギーやエンタルピーも同じような感じで導ける.講義ではそこまで紹介して終了する.

今日の宿題

  • S(U,V)が完全な熱力学関数であることを示せ.
  • G(P,V)が完全な熱力学関数であることを示せ.
  • G(P,V)から導かれるMaxwell関係式を示せ.

配布するファイル

  • なし

今日の質問

T=\left(\frac{\partial U}{\partial S}\right)_Vはどこから?

Uの微分形式を二つの方法で求めています.一つは算数として,もう一つは熱力学の法則を使っています.これらを比べると,例えば上の式はでてきます.

微分が含まないっていうけど、微分の式が。。。

微分の式が書いてあるけど,そこは完全な熱力学関数を知っていると計算できるところなので,計算することで微分はなくなります.

微分を含んでいるけど、それって状態方程式を知っていればわかることでは?

そうですが,ここでは完全な熱力学関数から,状態方程式が導けるかを議論しています.ただ,大事なことですが,状態方程式を知っていると,熱力学関数への情報が一部分はわかります.もう一つは熱容量からです.

同じ熱力学関数でも,こっちはエントロピー,あっちは自由エネルギー?何が自由なエネルギー? 

これは,次の講義で説明します.特に,自由さ加減はまったく今回は出てきていないので,次回にゆっくり説明します.

Helmholtzの自由エネルギーから内部エネルギーを求めるところで,Fはどこにいった?

よく見ると,微分される関数はF/Tになっていて,積の微分から二つの項が出てきて,その内の一つはFになります.

今日の投票用紙の裏より(月曜)

U(S,V)は完全なのに,U(T,V)が不完全なのは何故ですか?いつ情報が増えたのですか?

U(T,V)からU(S,V)に変形したわけではないので、増えた感はないかもしれません.数学的にはS(T,V)の情報が加えられています.

d'Wの'はいつ外れるのですか?

準静的過程を導入したときです.だから,条件付きです.

F(T,V)=U-TSだとSも変数じゃなんですか?

それはそうなのですが,Uの性質からSを消去できます.講義で捕捉します.

先生のlectureの方がS先生のよりeasy to understandです♪

それはそうではないと思います.本を読むよりも,話を聞く方が一般にはわかりやすいです.だから,講義という形態が残っているのだと思います.

「熱力死という言葉を聞いたことがあるのですが,これは熱力学の範疇でしょうか?

熱的死?

そうですね.私はそれほど詳しくはありません.時代とともに考え方も変わってきてるのだと思います.熱力学は第一法則のエネルギー保存則と第二法則のエントロピー増大則からなりますが、それらが認識された比較的初期のころには,エントロピー増大則にともなう滅亡のシナリオが考えられました.第二法則によれば,温度差を利用して仕事を取り出す限界を示しています.逆に言えば,温度差がなければ仕事を取り出すことはできません.一般に不可逆過程では熱源から仕事を取り出せば,余計に熱を捨てることになり,その分温度差がなくなる方向に変化します.挙句の果てには,すべての温度が均一になってしまって,どこからもエネルギーを取り出すことができなくなると考えられたのが熱的死だと思います.エネルギーが枯渇して,地球が死にゆくのが滅亡の一つのシナリオですが,もう一つがこのエントロピーが最大になって仕事を取り出せなくなる滅亡です.

朝から元気ですねー.

普段はそうでもないです.仕事ですので,テンション三割増しです.

今日の雑談(水曜)

  • 今日の投票数は, 79でした.

今日の雑談(月曜)

  • 今日の投票数は, 60でした.先週よりも盛り返したのは,今日がレポートの閉めきりだったからかな.
  • 今日のアンケート
エントロピー増大則はわかったか?
曜日NoYes
6214
    • といったわけで,惨敗です.月曜日も数えるのが面倒くさい状況ですが,Noの方が多数派です.

今回のWEB投票

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最終更新時間:2010年06月30日 09時59分23秒