熱力学2011おさらい2
熱力学第2回おさらい
今日のおしながき
- 温度と状態方程式
- 温度
- 熱容量
- 熱平衡
- 状態量と状態方程式
今日のまとめと反省
まずは,熱い寒いが熱力学の最初だろうということで,温度の話からする(この問題の続きはしたの方で再び).定量化された温度はまずは経験温度として導入することにする.客観的に定量化できるという事実だけがここでは大事で,適当な物質の特性をみることで温度を「測る」ことができるとしよう.後で,熱力学の法則から普遍的な温度概念の確立につながることは,ここで予言しておく.
温度が決まれば,熱容量が測れる.これも物質の特性であり,熱力学として重量な量となる.適当な物質を持ってきたときに,熱容量の値を予言することは熱力学にはできない.あくまでも実験的に測る量であり,他の知見から知っている量である.ただし,熱容量のもっているべき性質について一般的な制限を与えることはある.
次に,熱力学の守備範囲をあきらかにするために熱平衡について説明し,熱力学第〇法則を説明する.また,温度の経験則から,熱容量が負になれない話をする.それから,熱力学状態を指定するための変数としての状態量を導入する.この講義ではちょいちょい力学との対比をする.それで、状態方程式に入る.ここでタイムアップ.
今日の宿題
- 熱容量が負にならないことを,温度の性質から示せ.
配布するファイル
なし
今日の質問
今日は講義の後にたくさん質問を受けました.しまった,ちゃんと10分前には終わるべきだった。。。
インプットとは?
例えば,熱容量とか状態方程式は熱力学のインプットであると説明したので,それはどういうことか?という質問だった.例えば,力学だと運動方程式を解けば運動は記述できるが,その運動方程式というか具体的にはどんな力が働いているのかは事前に知っておく必要がある.一方で,その力は運動の法則にはかかれていることではなくて,だれかが教えてくれないとこまるものである.熱力学におえる,熱容量と状態方程式はそれに相当する.ある物質の熱容量は実験などから知るのであって,熱力学をこねくりまわしてもでてくるものではない.
Λ倍するときの物質量はどうなっている?
密度が一定である系を合体させると…と思ったのだが,黒板に書いた情婦だけだと、最初の密度一定な物質をもってきた,空っぽの箱と合体させたらどうなるかとも読めるということだと思います.同じ熱力学状態の物質を二つ合体させたときに,その状態量がどのように変化するかで,分類したい.
本当に状態量は二つだけでよいの?
例えば,理想気体のときには,PVが決まれば温度Tは決まるよねっといったら,nはどうする?ということだった.二つだけじゃ決まらないじゃないか!ということだった.まず,箱の中にはいった気体を考えると,状況設定として物質量は決まってしまって変化しないですね.これは最初に知ればよいことなので,状態変化に関係して指定する必要があるわけではないです.
経験則はそのうちきちんと正当化されるのか?気体の状態量が二つであることは経験則として説明しないといけないのか?
これはなかなか奥が深い指摘であった.下にもあるように,経験則の受け止めかたが難しくて,この点が「わかりにくい」学問であったり,「あいまいな」学問のように思われる原因なのでしょう.実際に,自分も熱力学を最初に勉強した時にはまったく理解できなかったし,これはいらないのではないかとさえ思った.統計力学があればそれでよいのではということです.これは明らかな間違い.それで,本題に戻ると,経験則は経験則であって,すべてが正当化されるわけではないです.経験則にも偉さがあるので,そこを理解する必要があるように思います.ただ,まだ熱力学は始まったばかりで,素朴なレベルでの経験則は飲み込むのがよいと思います.その上で,いくつかについては熱力学の法則として整備され,その他のものは法則から説明されることになります.こういう理論の考え方は少し変わっていて,面白いと思います.本当によく考えないと混乱します.「飲み込め」といったけど,簡単に飲み込む必要はありません.ただ,経験則だからつまらないと思ってほしくないです.その先にある面白さまでちょっと待ってください.このように質問されて,議論していくことが大切な気がします.
今日の投票用紙の裏より
ねむいです.うとうとしてすみません.
原因の半分はこちらにありますね.
経験則が多くて,あいまいな学問に思えてしまう.
これは上でも少し議論.確かに自分もそう思っていたなーと.
月1はつらいx2
私も.
月1はねむい
月1でなくても眠いのでは.
実は文科II類です(笑)
おお.それはそれは.ぜひごゆっくりと楽しんで行ってください.
がいねんのがと書いたとこを私は見のがさない
ありゃりゃ。 みられていたか。。。
「何か」という言葉を説明の中でなるべく使わないように意識して,さらに「AはB」という簡潔な説明が「Aというよりは…でもよくて,むしろ〜でBである」というような挿入の多い英文みたいな説明なっているのでそれをやめればもっと分かりやすくなる.
これは初めての指摘.しかも自覚症状がない.まずいね.でも,「AはB」というようにクリアに言えるものばかりではないのではないかと。。。言い訳か>自分.
出席の用紙ごとに順路を書いて欲しい.
うーん,一言説明すればすみますね.
物理で眠くならなかったのは初めて.
それはよかった.こちらとしては,精一杯睡眠光線だしているのだが,きかなかったか.
漢字の弱さは理系教員の共通の問題かと
うーん.
そんなことはない!
そうなんだよね.ただ単に国語がよわい.これははずかしいこと.
ねむい
それはこまる.
先生,生徒視点で説明してくださるのでわかりやすい
生徒視点かどうかはわからないけど,わかりやすく思ってもらえるのはよいことです.
第〇法則やらないと思ってた
どうして?
90分も集中しにくい
そうですね.でも,その集中力,年齢とともに単調減少しますから,今のうちに堪能しておくべし.
先生,今日さわやか
いつもですよ.うそ.
来週から本気だす
えー,今からじゃないの.
説明がていねいできいててたのしい.
よかった.たのしいまできたら最高です.
今日の雑談
- 今日の投票数は, 94でした.今日はちゃんと三列分の投票用紙をまわしたので,それなりの数が得られた.ほぼ全員ですね.よかったです.この調子で来週も迎えられたらいいのだけど,それは今日の出来によるのかな.
- 今日のアンケート
熱力学はおもしろそう?
No | ??? | Yes | |
---|---|---|---|
2 | 7 | 12 | |
22 | 6 | 14 | |
1 | 30 | 17 | |
25 | 43 | 43 | 合計 |
- うーん,この段階でNoが一番多いわけではないのでよしとするか.最終回までに右の方にシフトするようにしたい.
- ところで,上の続き.問題集の章の仕切りのところに,お言葉みたいなのを引用してみた.その一つはアインシュタインの有名な言葉.といっても,これを知ったのは大学3年か4年で、熱力学を最初に学んだときには知らなかった.それを知っていたら,真面目に勉強したかというとそれはわからないのだけど,そんな風に思わせるってなんなんだろうとは思ったと思う.もう一つは,高林の熱学史の中の最初の方からの引用.温度概念に関係するところで,人間は熱い寒いを感じるわけだけど,それが温度概念の形成に有利であったはずだということです.その一方で,もしそんな感性なんかなくても、温度概念に行き着いたはずだと力強く述べられている.どうしてかというと,人間はエントロピーというなんだか見えなくて肌に感じないものを見付けたからだというわけです.私が書くと陳腐だけど、原文を見るとその語調から味わいもあって、ジーンとくる.
今回のWEB投票
- 今日の講義の出来は?
項目 | 得票数 |
---|---|
よい | 84票 - 投票 |
ふつう | 96票 - 投票 |
ダメ | 94票 - 投票 |
今回の一行コメント
- 睡眠光線なんて出さないでください。困ります>< - aquabits (2011年05月03日 20時59分43秒)
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最終更新時間:2011年05月04日 20時37分34秒