物理学B金曜2006おさらい10

前回力からポテンシャルを登場させたので，その逆にポテンシャルから力を導いておいた．さらにポテンシャルを見たときにどっちに力が働くかを絵で描けることを幾つかの例を示しながら説明した．ポテンシャルを見ながら，エネルギー保存則を考えて，運動がどんな感じになるかも大体わかるというわけである．もちろん，運動方程式を解かないと分らないこともあるが，雰囲気だけはこれで十分である．この雰囲気は実は大事なのではないかと思う．ばねの問題でじっくりやったが，同じ事はLJポテンシャルでもできるわけで，絵で描いたように運動が頭の中に浮かべば合格である．

次に，例えばすっとびボールやカチカチボールを考えたときに，どうしてもぶつかるという現象を避けてはとおれない．そこで衝突現象について少し考えてみることにした．まず動機付けとして，すっとびボールの理由がエネルギー保存則ではないことをサクっと説明する．簡単なデモ実験でもわかる．ピンポン玉だけにエネルギーが集まるのが都合が良すぎるわけである．戦隊ヒーローものまで登場させた例えばやりすぎだったかな．しかし，そんなことが衝突という過程でできるかどうかが大事なところである．ここではもっとも簡単な直線上の運動だけを考える．衝突の際の撃力についてはわからないことの方が多くて，例えばその撃力の性質から運動方程式を解くと言うのは難しい．

ここではまず撃力も第三法則にしたがっているとして，その帰結である運動量保存則をひとつの拠り所とする．知らない変数がふたつあるので，もう一つの条件は跳ね返りのルールである．後者はニュートンによって見付けられた経験則である．衝突の前後でその相対速度の比は一定であるというわけである．この比は衝突する2つの物質に依存し，跳ね返り係数と呼ばれている．このルールを使うと，直線衝突のときは完全に衝突後の速度が決まる．この場合に具体的に衝突前後の運動エネルギーの差を見てみると，跳ね返り係数に依存する．このことから跳ね返り係数の値に制限がつく．この跳ね返り係数を使ってすっとびボールを考えてみたい．しかし，実はそれでもそんなに簡単ではない．簡単な状況にするために一つの仮定が必要になる．そこを説明してタイムアップ．来週は本当に解明編である．

今日の宿題

ばねのポテンシャルを見ながら，運動を考える．自然長からaだけ伸ばしたところで， 初速度vを与えたとしよう．どうなる?
いろいろノートの補間を．
衝突後の速度 $v_1',v_2'$ を求めよ．

配布したファイル

練習問題の解答例：Answer-cm-v5.pdf(904)

今日の質問

なんか聞かれたことがあったけど，忘れてしまった．

返却レポートに自分の分がありません．

見付かりました．袋に提出されていたのが，そのままになっていました．来週返します．

レポートの採点基準??

実際の質問は，成績にどのように反映されるかということのようでした．最初にもいったとおり，これは成績には大して影響はありません．あくまでペースメークのために出しています．自分でできるひとは出さなくてもいいです．出さないと悪いことが起きると思って出す人は，そんなことはないですから，遠慮なく出さないで下さい．採点する時間と紙がもったいないです．

でも，試験前にこちょこちょと勉強するくらいなら，レポートは出して，自分でペースを作っておくことを強く推めます．