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物理学B木曜2006おさらい13

第13回おさらい(木曜)

今日のおしながき

  • 7質点系から剛体へ
    • 7-1 質点系の重心運動
    • 7-2 角運動量

今日のまとめと反省

前回質点系の重心の運動方程式を出したところまでだったので,今日はその意味について考えてみた.おもに二つの見方があるように思える.一つはこれまで質点の運動を考えて来たのだが,そう考えてよい理由がこの式に見て取れる.もちろん,大きさのある物体の全ては説明出来ないが,重心だけならば質点でもいいというわけである.これは大事な点である.まったく根拠無しに質点を考えているわけではないのだから.もう一つは複雑な質点達の運動に惑わされてしまうが,まずとっかかりとして重心に注目せよというメッセージである.ここで「心の目」を使って実演してみる.確かに重心を見るとただの?放物運動に見える.重心以外はくるくる複雑に回っているにも係わらずである.

ここで質点系の全運動量の性質をみておく.これは先の重心の運動方程式と同じことなのだが,後に話す角運動量と比較するために,その時間微分の性質を見ておく.ここから,外力の合力がゼロになると運動量が保存することがわかる.たとえば,花火を考えてみようというわけである.

次に角運動量という量を考えてみる.これは運動が回転の要素をもっているかどうかを定量的に表している量である.実はここまで角運動量をまったく説明してこなかったので,まずは質点の角運動量の定義から始める.回っている感じがわかるだろうか.この角運動量の時間微分の性質も調べておくと,運動量の時間微分が運動方程式であるように,角運動量の運動方程式とも見える微分方程式が導ける.ここで力と位置ベクトルが平行ならば,つまり力が中心力ならば角運動量は保存することが導ける.中心力の例は例えば万有引力とかクーロン力とかである.この保存則はケプラーの第二法則を説明してくれる.

次に質点系の全角運動量を調べてみる.これはそれぞれの質点の角運動量の総和である.いくらか計算すると,全角運動量の運動方程式が出てくる.これは質点の角運動量での関係の一般化になっている.最後に,運動量が重心だけで書けたので,角運動量はどうかを考えてみる.まず位置ベクトルを重心ベクトルとそこからのずれベクトルの和で表して,ほいほいと計算すると,全角運動量は重心の角運動量と,重心の回りの角運動量に別けられることがわかる.後者はもはや世界の中心には依存しない量であり,質点系の特性を表している.それぞれに運動方程式は書くことが出来て,特別な場合として,重力中の質点系の場合,重心回りの角運動量は保存していることを示す.これがネコが落ちるときに,ひねって落ちてくることの理由であり,「心の目」の運動の全容を明らかにしてくれる.つまり,「心の目」は重心は放物運動していて,重心回りの角運動量は初期値(手のスナップ)で決まる値を保存して,くるくる回っているというわけである.最後に,ファインマンの教科書にも出てきている車輪の実験をして,アイススケートのスピンの話しをざざーとして終了.時間がなくて,駆け足になってしまった.もっと余裕をもってじっくりとはなしたかったなー.

今日の宿題

  • ハート型の花火が運動量保存則を破っていないことを説明せよ.
  • 重心からの位置ベクトル×質量の和がゼロであることを示せ.\sum_i m_i\mathbf{r}_i'=0
    • 上の式はIEでは見えないかも知れません.今日のコメントに「IEにもやさしくしてください」とありました.ごめんなさい.私はMSは好きではないので...WindowsでもFirefoxとか使えますよ!!

今日の出し物

「心の目」と車輪実験道具たち.

今日の「心の目」実験は今までで一番うまくいった気がする.

今日の質問

上の宿題にも書いた式がどうしてゼロになるのか?

算数的には重心の定義の式に代入してみると,これがゼロになることが示せる.物理的には,重心からのずれベクトルに質量を掛けて和をとるとゼロにならないといけない.重心の位置をつまむとちょうどつりあうのが重心なので,この和がずれていると,つりあわなくて,そこは重心でないことになってしまう.

角運動量の時間微分で,\frac{d\mathbf{r} }{dt}\times\mathbf{p}=\mathbf{0}はどうして?

位置ベクトルを時間で微分すると,速度ベクトルであり,それは質量を掛けると運動量ベクトルになるのだから,速度ベクトルは運動量ベクトルと平行である.そうするとベクトル積はゼロですね.

竹コプターを高速に回転させるために...

講義が終わってから,どうすればスピンは速くできるかといろいろと考えを聞いてみる.なかなか簡単ではない.でてきたアイデアはことごとくつぶれて(つぶして?)しまう.現実に何が起きるかは,他の要素も考えないと,「勝手読み」になってしまいます.でも,アイデアが出てこないことには話しにならないので,こういう議論は面白いものです.

授業評価アンケートの裏より

今日は最終回だったので,投票用紙は回しませんでした.その代わりに「授業評価アンケート」をお願いして,その裏に自由にコメントを書いてもらいました.御協力ありがとうございました.本当はすぐにアンケートは回収して,回収箱に返すのですが,後から情報はやってくるので,裏面を見させてもらいました.

ありがとうございました.

毎回そうですが,この感謝の言葉はありがたいです.

また受けたいと思う授業でした.ありがとうございました.

おおきに.自分はあまり講義を受けて,感謝の気持ちに至ったことはありませんでした.でも,今思えばよい講義を受けたなーと思い返すことはあります.その時に感謝すべきでした.

力学の過去問はどこにありますか?できればHPにうつしてください.

この上のページにあります.

IEにも優しくしてください.

上にも書きましたが,IEねー.IEでなくてもいいんじゃない.

教科書(参考書)は指定してくれたほうが嬉しい.演習問題は後々の方まで作ってほしかった.

そうですね.夏休みに練習問題作ったら,この上あたりにアップしておきます.

黒板にかきながら説明されると全くついていけないのでそれだけはやめてほしいです.

できるだけ,止めようとはしているのですが,そうでなかったということですね.すまん.

いろんな実験が見れておもしろかったです.力学は生活に意外と関係しているなと実感しました.

それはよかったです.おもしろいことが何よりです.

物理選択の人がノート見て言うには,やっている所がとびとびで分りにくいらしいです.

私も十数年前は物理選択の学生であって,今はとりあえずプロの物理学者ですが,そうでしょうか.その物理選択の学生がよく物理をわかっていないだけではないでしょうか.と突っ込んでおきます.よその学生はどうでもよいとして,君はどう思いますか?分りにくかったですか?それが問題です.

話は面白いと思います.

「は」が気になるなー.

さっぱり分らないデス...

そうですね.こんな学生もいるわけです.他にもコメントの無い多くの学生も同感するのかもしれませんね.

早口すぎてききとれなかったことが多々ありました.

あああ.そうですね.自分は早口なんですね.反省.

黒板のすごい下の方まで書かれると前の人のあまたで見れません.

今シリーズ,初めてこのコメントを受けました.今まで完全に意識していませんでした.気をつけるようにします.

福島先生の様に多くの先生がWEBを活用されると学習に大きく役立つと考えられます.

そうかなー.どうかなー.もう少しインタラクティブになればいいかもしれませんが,役立つかどうかは懐疑的です.まだ私は古いタイプの人間なのか,WEBの未来にそれほど期待しているわけではありません.便利になったことは多かったけど,こういうのに役立つとはあまり思えない.シケ対を消滅することぐらいはできるかもしれないけど.

面白かったです.物理は苦手なのでわからない所もありましたが,興味をもててよかったです.

ないよりもそのなんかわからない壁を打ち破ることが私の講義に課されたことだったかと思います.私も物理はどっちかというと苦手です.ぱっと問題が解けるとは思えません.でもね,きっとみなさんの1万倍くらい興味を持っていると思います.真剣に面白いと思っています.それが全てなんだと思います.面白いと思えばつまらん計算もやる気がするというものです.だって,面白いんだから.

物理なんて大っ嫌いです...

その意味で,大嫌いのままだというのは残念です.好嫌いは生理的なところもありますから,どうしても嫌いなのだとするとそれはしかたがないかもしれません.食わず嫌いだけはなくしたいですが,食っても嫌いな奴はどうしようもありません.私もひとっつも面白くない学問ありますしね.

この授業のシケ対です.がんばりたいとおもいます.不可を出さないようにお願いします.私のせいにされる可能性があるので...

それは私にお願いすることではなくて,学生のみなさんにお願いした方がいいのではないでしょうか.

ごくろうーさまでした.

そちらもね.

最後の授業がはやかった.おもちゃが面白かった.ホームページがよかった.

自分でもそう思います.走りすぎでした.

さいごの授業の板書,書くのは早すぎです.他はわかりやすかったです.所々わからなかったけど.

ううん.確かに.

Rattle back の種明かしは...

おおお.それ話す時間がなかったね.種明かしは結構難しいのですが,幾つかの見方は紹介すべきでした.まず,今日の講義が終わった後で,高校生とは違う疑問が浮かびます.そうです,こいつは重心回りの角運動量が保存していないように見えるわけです.ちょっと形が対象ではなくて,トルクが発生しているのだと思うかも知れませんが,そうだとすると,止まっていても回りだしてもいいはずです.それからもちろんコリオリ力ではありません.ううう,不思議が増えたというわけですね.まず観察してわかることは,回転がすぐに逆回転に移行しているわけではないということです.名前のとおり,いちどガタガタ運動になっています.つまり,最初の回転エネルギーを一度振動エネルギーに変換して,それを逆回転エネルギーに変換しています.当然そのあいだに摩擦が重要でエネルギーは減って行っています.さて,それぞれの過程はどうやってでてきているのか,それに答えられればいいわけですが,それはちっとここで説明するのは難しい.実物が見たくなったら,部屋に遊びに来て下さい.

今日の雑談

  • 今日の投票数は, 62でした.最終回の人数は授業評価アンケートの枚数を勘定することにしました.アンケートの依頼袋を見ると,履修人数は77名でしたので,80.5%の出席率でした.ギリギリです.ギリギリですが,目標の80%を越えています.目標達成です!!やったー!!2限だしね...なんか目標設定が低い???.これでアンケートの満足度が4を越えていたらさらによいなー.
  • 今週の金曜日に最終回をやります.興味のある人は是非やってきて下さい.そもそも最後の講義はやらなくてもいいような気もします.お互いのために休講にする方がよいかもしれません.どうして???おそらく,どうして私がそんなことをやるのかといった話しもすると思います.
  • 今日の車輪実験はあまりうまく行かなかったなー.もっと油さしておけばよかった.それに,もう少し講義内容も進むと思ったけど,それも甘かった.そもそも量的に無理筋でした.10回を越えたあたりから,油断したのか,少しずつ借金が貯まって来たような感じでした.ちょっと残念.

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最終更新時間:2006年07月13日 22時09分46秒