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力学B2007おさらい10

力学B第10回おさらい

今日のおしながき

  • 衝突現象 
    • かちかちボールの最後
    • すっとびボールのわけ
  • 慣性力について

今日のまとめと反省

前回,予告してしまったので,今日はカチカチボールの最後の状態の説明をする.基本は前回にお話した衝突の際のはねかえりと運動量保存則です.まず,はねかえり係数から出てくる一般的なことがらを説明しておく.力学的エネルギーの保存とはねかえり係数の関係や重心の運動エネルギーの性質についてまとめた.

さて,かちかちボールだが,問題を簡単にして2球衝突の問題を考える.一回衝突後の速度をはねかえり係数を使って,書き表してみて,何が起きるかを考えてみる.さらにもう一回衝突させてみる.そうするとルールが見えてくる.はねかえり系数が1でないときには,2つの球の衝突後の速度がどんどん近付いていることがわかる.最後には2つはいっしょになって振れるわけである.「最初は一人で頑張っていても,最後はみんないっしょだよの法則」である.もしも,最初からこの衝突の重心の位置をみる「目」を持っていたとすると,それは最初からずーと同じように振動している.これは衝突に関して重心の運動量は保存されていることからも分かる.結局失われるのは相対運動の部分である.

次に,すっとびボールのわけだが,以前に見せていた「ピンポン球+テニスボール」よりもパワフルな本物の?すっとびボールが手に入ったので,それを見せてみる.この理由を考える.まずエネルギー保存則説を考える.これが間違いであるのは判例を示してみればよい.いくつか方法はあるが,ピン球とテニスボールをひっくりかえしてみるのが一つの手である.上側のボールにエネルギーが集まるならば,テニスボールも最初の位置よりも少し上にすっとぶはずだが,決してそうはならない.片方の位置エネルギーをもう一方に衝突を使って勝手に変換できるかという問題である.ここでは衝突で起こることをゆっくり考えてみる.実はここでも難しい問題があるが,ある簡単化をして,跳ね上がる条件を導いてみる.その条件はボール間のはねかえり係数とボールの質量で表される.上側のボールの質量が大きいときにはその条件に当てはまらないことが分かる.やっていることは簡単な計算なので,黒板でやっているとばかばかしい気もするが,それでもここまで示して,やっとデンジロウと違う領域にいけるわけですね.

最後に,慣性力の導入をして終了する.次回は遠心力とコリオリ力のお話.

今日の宿題

  • 直線上で衝突する質点の衝突後の速度を求めよ.
  • 衝突前後の運動エネルギーの変化を求めよ.

配布するファイル

今日の質問

mgh=\frac{1}{2}mv^2の式は使った?

すっとびボールでボールが地面にぶつかるときの速度を表す式だけど,結局この式は使わなかった.これはエネルギー保存則の式であることを理解して,地面での速度が分かれば,どのくらいの高さから落ちてきたか,あるいは逆にどのくらいの高さまで飛ぶかがわかればよいです.

最下点で衝突するのは本当か?

カチカチボールで衝突はいつでも最下点で起きるかという疑問.これはもっともな疑問.今日の説明ではこれは仮定すると宣言して,議論を進めた.講義では振り子の運動方程式の話はしなかったが,振り子の振動の周期は振り子の長さだけで決まり振幅は関係ない...と中学校の時に習う?のだけど,本当はそうではないことは運動方程式を解けば分かる.振幅が小さいときには,周期は長さだけで決まる.その条件のときには,衝突後に同時に振れだした球は「同じ周期」で戻ってくるので,次の衝突は最下点で起きる.

どうしてエネルギー保存説は否定されるの?

すっとびボールのところ.いろいろと否定することは出来るけど,もっとも大事なところは,エネルギーの受渡しを衝突現象に押しつけてはいけないということです.全て上側のボールにエネルギーは受け渡すと考えるのは人間の勝手です.衝突でそれが可能かどうかはちゃんと吟味してみないといけません.それをしないで,勝手にエネルギーさんに移動してもらう発想がよくありません.日曜の戦隊モノでは,ちょっと強い悪者がでてきて,5人(くらい,ゲキレンジャーは3人)が太刀打出来なくなったときに,「そうだ全てのエネルギーをレッドに集めるんだ!」といって,レッドが一人でパワフルになってしまうようなものです.どうやってエネルギーを移動するのかが問題です.熱力学を学ぶときも考えさせられます.

ガリレイ変換??

最初にガリレオ変換って黒板にかいてしまったんですね.実は自分のノートにもそう書かれていて,おかしいなーと思っていたら,ちゃんと学生さんにも突っ込まれました.ガリレイ変換です.

真ん中の球は理想的には動かないけど,本当は動くんですよね...

講義の後で,カチカチボールで遊んでいた学生が,「理想的には真ん中の球は動かないはずなのに,現実では揺れるんだよね」とぶつぶつ.「いやー,だから今日の講義で説明したように,最後はみんないっしょになるの法則で...」と説明しようとしたら,「私はこの講義の学生ではないので...」との事だった.次の講義の学生さんだったわけです.いやー残念だったね.ちゃんとみんなで振動することがわかる講義だったんだけどねー.

今日の投票用紙の裏より

質問大会ありがとうございます.

いやいや,これは講義が終わった後に私が趣味でやっていることでして...

今日の雑談

  • 今日の投票数は, 52でした.今日は講義の最初に回したので投票数がへっているような気がする.気のせいだろうか?もうちょっといたぞ..と自分をなぐさめる.「沢尻エリカ」さんがいらっしゃいました.なんだか救われた気がするのは,気のせいでしょう.
  • 全体として,雑談のような講義だった気もする.講義の前に「調和振動子って何ですか?」と聞かれた.総合の量子論で出てきたらしい.それはバネのことです...そんな会話の後での今回の講義はさぞかしギャップがあったことでしょう(>自分).すごく簡単な話しかしていなくても,分かった感が伝わるのも一回の講義かな.どうでしょうか.
  • 鹿児島先生が総合科目「自然現象とモデル」でカチカチボールを取り扱いました.その時に,五個球の真ん中の3つを接着剤でくっつけるとどうなるかを考察してレポート問題にされています.どうなるでしょうね?
    • 答えの動画はここ.55MBもあるので,暇な人だけにして下さい.ちなみに,このカチカチボールは講義で見せたモノです.それから動画の後半にあるちいさなカチカチボールは私のモノです.
    • 最終的に「みんないっしょの法則」はこれでも成り立つ.よく運動を見てみると,面白い周期運動をします.これも少し考えれば分かるはずですね.

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最終更新時間:2007年06月27日 14時04分31秒