第5回

今日のおしながき
  1. 運動方程式を解く
    1. 粘性抵抗がある落下運動:非斉次方程式の例
    2. 慣性抵抗のある落下運動:求積方の例
    3. ばねの振動:虚数解の例
今日のまとめ:

先週の講義の後で,何人かの学生さんに指摘された間違いを補足しておく.そのためにプリントを配るが,このプリントのおかげでちょっとだけ大変なことになった(下へ).間違えは気付いたその場で指摘して欲しい旨を冒頭にいったが,今日はいい感じであいの手をいれてくれる学生がいた.しかも,あちこちからである.本当は残り10分ではみんなであーだこーだ議論したいところである.

微分方程式を解く準備ができたので,実際に力学の問題としてやってみた.最初の例題は,粘性抵抗のある落下問題である.速度に比例する抵抗力を導入して,運動方程式を立てて,その微分方程式を解く.これは速度に関する微分方程式とすれば一階の微分方程式と思えるので,求積法で解くことが出来る.講義では,そうではなくて,特性方程式を用いて解く.初期条件を適当に置いて,積分定数を決めておく.ここで終われば完全に数学の練習問題となってしまうが,でてきた答えをもう少しじっくり眺めることにする.一つは,十分時間の長い極限として,速度がある定数になることがわかる.これは終端速度と呼ばれているものである.これは高校の時にも出てきたかな.終端速度を求めるだけならば,微分方程式を解くまでもなく,力の釣合でわかる.ここで最初の方のの講義で話した,力学のもつ意味について考えてみる.運動方程式を解くということは,今の場合に既知に抵抗力を導入した後の運動の予測を与える一方で,この抵抗力の中にある未知の定数(抵抗係数)を観測から決定する方法を与えている.その未知の係数を知ることが一つの知恵として,他の現象の説明を可能にしたりするわけである(これに関係した謎の話しは下へ).例題として,霧雨の終端速度を見積もってみる.結構遅くて,止まっているような速度である.これを実験で調べるのは難しいかも.

次に慣性抵抗のある場合を調べてみようと思う.これは非線型方程式の例題(というよりも,変数分離の例題か)である.簡単に解は求められる.この問題はプリントを配って誤魔化すことにした.是非,よく読んでみて,ミスを見付けて欲しい.

今日の最後は,バネの振動の問題を扱った.これは特性方程式が虚数根をもつ例題である.数学の問題だと思って,一連の手続きで解を求めてみる.初期条件の設定は省略して,みなさんの宿題としておく.ただし,高校の時に出てきた振動の公式は導いておく.一度は振動の様子をグラフに書いてみて,振幅や位相の意味を考えてみて欲しい.

さてここで20分を残すことになった.ある意味で予定通りだったが,ちょっと中途半端だった.レポート問題を10分くらいかけて説明する.そうするとちょうど十分前になったので,終了することにした.本当はもう少し先のイントロをやりたかったんだが,みなさん,脱出の準備をはじめちゃったしなー...弱い...次回は仕事やらエネルギーやらから説明をする.

今日の配布物:

先週の講義で板書ミスがあった部分の周辺についての補足ノートと2回目のレポート問題(PDF:123KB)を配る.

今日の宿題:
  1. 講義では粘性抵抗だけを考慮した場合の霧雨の終端速度が極めて遅いことを見た.同じ議論を人間について考えるとどの程度かな?また,末端速度に至るのに必要な時間はどの程度か?(指数関数では関数がe-1になる時間が一つの特徴的な時間だと考えられる.)
  2. 慣性抵抗の問題に関するプリントにミスがないか確認せよ.
  3. バネ振動について
    1. 適当な初期条件を設定し,具体的に未定定数C1,C2を決定せよ.
    2. そのときの位置,速度を時間の関数としてプロットしてみよう.
今日の質問とコメント
(粘性抵抗)-kvのマイナスに理由は?...やっぱわからん.
運動方程式を立てるときに,ザワザワしていた理由はこのマイナスが原因でした.終わってからも,やっぱ,わからんよという話になりました.どこかから助け船が跳んで来たので,思わずそれに乗ってしまったけど,一度力の釣合の絵を書いてみればよかったですね.これは座標系の取り方とは関係ありません.速度vに対していつでも反対方向に抵抗力が働くのがこの抵抗の性質です.例に+にしてみて何が起きるかを考えてみるのもおもしろいかもしれません.
一方で,慣性抵抗の場合は前の係数が問題です.二乗されてしまうので,速度がどっち方向かという情報が無くなったしまうので,座標系をどっちにとるのか,今落ちているのか,登っているのかで符号が違います.
(バネ振動にて)C1,C2からA,Φに変数変換したからくりがわからん.
特性方程式から微分方程式の解を求めたが,2つの虚数根を用いて一般解を求めてみた.ここで初期条件を設定して,それで終なわけだが,ここから,高校の時の振動の公式を導いてみたいと思うと,一度式の変形が必要となる.これはオイラーの公式と三角関数の関係を使えば良く,あっち(A,Φ)からこっち(C1,C2),こっちからあっちへと示すことができる.さて,解くべき微分方程式を数学の問題と思えば,C1,C2にはなんの条件もないわけだが,変形したAcos(ωt+Φ)にでてくるAには強い制約条件をつけていることがわかる.つまり,C1,C2からA,Φへの変形はちょっとキツイ変形になっている.これはどういうことだろうか.ちょっと考えてみると,すぐに答えがわかる.というか,本当の質問の意味はこういうことだっただろうか.
特解の見付け方
やっぱ,こんな説明じゃわからんぞー.ということでした.
講義で説明した2つ例では,定数だけだったので,その仕組はよくわからなかったかもしれません.簡単な例として,(定数以上の)多項式の場合に係数を順々に決めていくことを説明しました.これは,プリントにも例を一つ載せてあります.これをみながらもう一度復習をしてみて下さい.
位相Φの意味
振動の基準からのズレと思っていいでしょう.振動数と振幅が同じでも,位相がずれるとむちゃくちゃになります.仲間うちで遊んでいても,趣味が同じなのに,どうもタイミングの合わない奴がいますよね.それ,位相が合わない奴と言います.
一度,振動の様子をプロットしてみるといいと思います.特に初期条件をいろいろ変えてみて,「位相」がちがう振動がどうなっているのかを見ると分かった気になる?!
TeXの開発環境は?
以前にも,プリントは何でつくっているのか.このグラフは何で書いているのかと聞かれたことがあり,今日は開発環境ときました.一度答えておくことにすると,プリントは全てTeXと呼ばれている(フリー)ソフトで書かれています.HTMLのようにタグを入れながら書くことで,数式等の入った文章が綺麗に作成できます.その点においては,M〇社のオフィ〇関連のソフトとは比較になりません.ただ,ワープロソフトをつかっているという感覚ではないので,面倒かも知れません.業界標準なので,身に着けておいて悪くはないかなーと思います.書籍部にも解説書がいろいろあると思います.グラフは,ほとんどgnuplotを使っています.フットワークがいいので,すごくこったことをしたいと思わなければこれで十分です.
それから,私は基本的にWindozなるものを使いません.理由はいろいろありますが...なので,派手は開発環境はないですよね.せいぜい,emacs+YaTeX位です.それから,このページもyahtmlを使って?,書いています.つまり,ほとんど完全に手でタグを入れたりしているわけです.なので,派手は事は出来ません.
レポートの一番の問題の意味が不明
飽和人数とはどういうことか..今の人数に比例して,飽和人数との人数差に比例して..そんな条件が満たされるのか?というのが質問の意図.
人数の増減が,2つの変数に比例していると考えればよい.xをを出席 人数として,
dx/dt = k x (x-A)
が解くべき方程式.k,Aはある定数です.ちょっと文章だけで説明しようとして,意味がわかりづらくなってしまった.
上のような説明をしたら,それって「ボイルーシャルルの法則みたい」といわれた.なるほど,ボイルとシャルルの法則を合体させればいいわけだ.全然関係ないですが,気持ちはよくわかります.
今日のコメントより
一限は眠い
こればっかりは仕方がない...がんばって,としかいいようがない.
自分が子供っぽいと言われてショックだ!
この「子供」っぽいというのは私の上のコメントに掛けています.君にではないですよ.気にしないで下さい.ポイントは後半で,叱咤激励しているわけですよ.
今日の雑談と反省:

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