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今日の一言/2007-7-31

日本物理学会誌7月号

今年は毎月やってくる物理学会誌へのコメントを書いて,会誌の応援をしようと心に決めていたがはやもう7月.まだ一度も書いていなかった.そして7月も終ろうとしていて,このままだと書かずに一年終りそうなので,思い切って書いてみる.全てにコメントすることはあきらめる(能力的に無理).少しでも多くの人が物理学会誌に興味を向ければよい.といっても私は物理学会誌の回し者ではなーい.

「実験技術」スピン偏極STM

通常会誌の冒頭記事は総説・解説であることが多いが,今月は「実験技術」から始まる.確かページに制限があったのではと思ったが,この記事はたっぷりと書かれていて,内容も解説記事相当である.だいぶ前にSTMのスピン版の話は聞いたことがあったが,その最近の進展がまとめられている.歴史的発展の経緯がまとめられているのは分野外の研究者には興味のあるところである.まさに見てきた"ような"話なのであるから面白くないはずはない.

「最近の研究から」暗黒物質

今月は「最近の研究から」が多く,解説記事はない.その中の最初は向山さんの暗黒物質はなくてもいいかもという研究.今まさにLHC実験が始まろうとしているこの時期に,ある意味で面白いタイミングである.暗黒物質が何なのかという話はよく聞く話だが,こういう路線もあるのかと勉強になる.もっともよしあしは全く判断出来ない.

「最近の研究から」量子最速曲線

量子計算の話には触手が延びないのだけど,これは面白かった.ハミルトニアンに対する制限の感覚がないのでピーンとこないとこもあるのだが,こういうのは古典系の遷移経路決定問題みたいなのにも使えるかもしれない.

「話題」SLE

香取さんによるSLEの解説.分野が近いからかもしれないが,それだけではなくて文章がうまくて,すーと読める記事.うーん,話題でなくて,もっと長い解説記事を読みたい気がする.CFTとの対応関係はザザーと行ってしまう.それにしても最後の一言がよい.私なんかとは学問を見ているスケールが違う.

「話題」捏造問題

NHKのディレクターである村松氏による記事.物理学会誌には非常にめずらしいタイプの記事かと思う.前半は担当されて捏造問題番組の製作を通じたこの問題のレビューがまとめられている.「あるある」と同列な問題なんですよね.その番組を見たこともあったので,淡々とまとめられたよい記事という感想だったが,最後のセクションで一気にボルテージがあがる.「科学がなめられている」とさまざま角度から指摘されていて,水伝問題も一蹴している.

春季大会シンポジウム報告

学会のシンポの報告を領域ごとに短くまとめられているのだが,これいるのかな?プログラムみればだれが話したかはわかるわけだから,ここに載せる必要はないし,数行の感想では雰囲気はわからない.これならばちょっとまとめて各領域ごとに小特集から,せめて話題程度にまとまったものがよい.


今月はここまで.今月号は当たり号だと思います.来月号のレビューは書けるだろうか?

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最終更新時間:2007年07月31日 21時24分43秒