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日本物理学会2012@横浜国立大学

日本物理学会 秋季大会@横浜国立大学

横浜の学会は...以前に一度あったように記憶しているが,横国ではなかった.初めての横国.駅からのアクセスが少々不便ではあるが,大学というのはこういうものでしょう.筑波大出身の私が物申すことはできません.さて,最近特に記憶力の時定数が短くて,とにかくメモしないと頭の中に残らない.研究メモもNixnote(evernoteのクローン)にとることにしている.それを眺めながら,記憶が消えないうちにこのレポートを書くことにする.

1日目

午前中は情報統計力学

今回はM1の高邊くんと酒井くんが学会デビュー.どちらも立派な発表でした.自分の学会デビューは忘れられないものでした.それは北大でした.直前までドタバタしていて,発表は午後すぐでしたが,お昼ご飯は喉を通らなかったことを今でも覚えています.発表自体はGriffiths相に関するものでしたがどんなトークをしたのかは全く覚えていません.伊藤さんに「そんな小さな系でレアなGriffiths相の特徴は出てくるものでしょうか?」と質問されたことはよく覚えていて,それ以来なんというかすりこみ効果のような感じで伊藤さんに会うたびに緊張します.さて,そんなことはさておき,彼らの発表では伝わりにくかったことを宣伝しておくことにします.高邊くんはhyper edge上のvertex coverの問題を調べていて,これはgroup testingの簡単な場合に相当します.今回の結果は大きく二つあって,レプリカ法による解析と刈り込みアルゴリズムによる最小被覆数の評価です.レプリカ法はまあレプリカ法なのですが,刈り込みアルゴリズムの方は何をやっていたのか分かりにくかったかもしれません.刈り込みの手続きを少数自由度の反復方程式で陽に書き下しています.その漸近的振る舞いに分岐構造が出てきて,分岐の結果刈り込み不可能領域がO(N)になることがわかります.いわゆるジャイアントコンポーネントの出現ですが,これがレプリカ法によるRSの不安定条件のところで現れます.うまくできています.

午後は情報統計力学半分と磁性のポスターセッション

午後には酒井くんのトークがありました.酒井くんは詳細つりあいの破れたマルコフ連鎖の元でのIsing模型のダイナミクスを調べています.Suwa-Todoなどに刺激された研究ですが,とにかく解ける問題で考えてどこに旨味があるのかを探ろうとするプロジェクトです.特に複素固有値の出現条件やそれがよいのかわるいのかがよくわかっていないので,そこが知りたいところです.それでいろいろ酒井くんが調べているうちに,詳細つりあいを破って解けるダイナミクスを見つけたのが今回の発表です.Glauberの研究があるので,一次元Isingならばいろいろと解析的にできるだろうと思ったのですが,なかなかそうではなくて,Glauber解は詳細つりあいを使って非常にうまく解けていることがわかります.ちょっと破るとなかなか解けない.それで今回解ける遷移確率からわかったことは,詳細つりあいの破り方をパラメータ化することができていて,詳細つりあい点が一番遅いことが示されました.一般的に言えるかどうかはまったくわかりません.今後の展開はいろんな方向にあり得て,しばらく楽しめそうです.

えーと情報統計力学はいろいろと気になる話題がありました.片岡さん@東北大の話は面白かったです.後半は磁性のポスターセッションに行きましたが,この判断はよかった.谷口研の学生さんの発表で最近の動向を教えてもらう.スピングラスの臨界指数を実験で調べているのはほとんどここくらい.その話を結構熱心に聞いていたら,となりに田畑さんが来て、いろいろと最近の研究の話を聞かせてもらう.なかなか刺激的.どうして自分がこの話に反応するのか実はあんまりよくわからないけど,反応が発散気味.帰ったら研究を進めることを約束して別れる.

学会毎に恒例になりつつある師匠との交流会.楽しいひとときを過ごしました.

2日目

午前中ポスターセッション+スピングラス関係

午前中のスピングラス関係のセッションが始まる前にポスターセッションを見に行こうとする.ただ,ポスターセッションなどちょっと見始めると,すぐには立ち去れないもので,セッションに遅刻する.ポスターでは二つしか聞いていないのだけど,それなりに勉強になる.特に,フラストレーション系の田村さん@(今どこだっけ)にはいろいろと教えてもらう.懐かしい人と立ち話もさらに遅くなった原因だけど.さて,セッションでは...島田さんと鈴木さんの話を聞き損なうが,鈴木さんは後で休憩中にしっかりと内容を教えてもらった.というわけで,黒岩くんのトークから参戦.彼の今回の話は前回の話をしっかりとブラッシュアップしたものだということが,講演の後からわかった.今日はやや元気がなさそうに見えたのは,いつものガラスのセッションではなくて緊張していたからか...その後は,中村さんの3次元ハイゼンベルグスピングラスの話.これはディープすぎて,よくわからなかったのだけど,お昼ご飯のときにみっちり聞いてポイントは理解する.大関さんの話はスパッとしていて面白かった.特に平面ランダムグラフはちょっと気になって,今考えているテーマにも関係している.次の学会までに何か発展できればよいのだが...それで,関さん@西森研の量子アニーリング.なんかコメントしたのだけど,話ながら,これって前の学会でのコメントと同じだなーと脳内で一人ツッコミ.もうぼけちゃったんじゃないのか?と思われたかも知れない.否定できませんね.ただ、まあp体がちゃんと見つかるというのは非常に自明でないことであって,相図を見ただけではなっとくできませんね.どこかに穴がないだろうか?本当は表面のセッションで聞きたい話があったのだけど,そちらにはいけなかった.残念.

ゆらぎシンポ

午後はゆらぎのシンポジウムに出る.斎藤さんの講演からはじまって,小林さんやさがわさんや枝松さんの講演やら,もう楽しい話ばかり.しかも話がうまい.量子制御の話は難しくてよく理解できなかった.領域1の文化なのでしょう.それでも迫力は十分に感じることができた.内海さんも含めて,駒場物性セミナーで講演して頂いた先生方が多くて,我々物性セミナーの講演者選定のセンスを改めて誇りに思ったりしていました[1]

インフォーマルミーティング

何年ぶりかに領域11のインフォーマルミーティングに出る.もちろん,理由があってのことだが,それはおいておいて,ミーティングの進め方がうまくて感心する.司会の西野さんがサクサク進めていて,大学の会議もこうやってサクサクいけばよいのになぁと思う.

3日目

通うのは中々大変な学会である.やはり,泊りがけでどっぷり浸かるのがいろんな意味でよい気がする.今日も坂を登って会場へ向かう.

午前中:スピン系

GPGPUのスピン系への応用で,特にクラスターMCの実装がポイントのようで,簡単そうに言っているけど,とっても私にはできそうにない.どのタイミングでGPGPUに手を出すのかを迷っているうちにみんなもう使っている...佐々木さんや尾関さんの話も面白かった.尾関さんは詳細つりあいの条件を満たしながら,非対角項をできるだけ大きくする方法の話をしていた.これはすでに藤堂さんたちに議論されていたようである.非平衡緩和法への利用のためには詳細つりあいを満たしておくのが緩和関数の性質をよくするためによいように思う.あらためてPeskunの壁を越えることの意義を認識する.渡辺さん@物性研もBinder parameterはダメですよっていう話で,まあそうなんですよね.それでもどうして相関比なんかの方がよい理由はよくわからない.積分しているところがどうこうと言っていて,そこに理由はあると思うのだけど,二次モーメントの相関長も積分しているわけだから,もうちょっと考察が必要になる.熊野さん@物性研はちゃんと自由エネルギー差を計算できていた.お昼ご飯は熊野さんと.

午後はいろいろ

ガラスのセッションでの池田さん@モンペリエの話だけを聞いて,あとはあっちこっちふらふらする.池田さんの話は概要はわかったけど,詳細は論文見ないとわからないなーと思っていたら,駒場でセミナーをするということで楽しみにしておく[2].能川さん@東北大のある意味で変なグラフ上でのBKT転移のスケーリングは丁寧な仕事だと思う.生物物理であわずさんのグループの混み合い効果の話はあわずさんらしい研究だった.

4日目

最終日

ガラスセッション

午前中はガラスのセッションに張り付く.いろいろとコメントしたい講演があったのだけど,専門ではないので遠慮する.たとえば,3次元の計算で数年かかるならば,物性研のスパコン使えばそれなりに短時間でできるように思うのだけど...剛体球で交換法は結構高密度までいけそう...とか.小林さん@生研の実験とその解釈は非常にきれいだった.スケーリングではVogel-Fulcher則を使っていたが,それは本質ではなくて,温度がスケールできることが重要で,むしろそれを満たすスケール温度を見てみたい気がした.

シンポジウムと磁性セッション

午後はランダム行列のシンポジウムだけど,笹本さんのオープニングだけを聞いて,磁性セッションにいく.ここはちょっと人数は少なめだったけど,来て良かった.田畑さんの話は面白かった.いよいよこの系を調べてみようと思うに至る.それから、この学会の一番トークというか一番面白かったのは紙屋さん@ロスアラモスの話.他の話題でも講演されていたが,そちらは聞くチャンスはなかったものの、これだけでも聞けてよかった.講演の後におしゃべりしたかったが,もう誰かに捕まって議論されていたので,帰ってきた.いつまで日本にいるかな?

今回の学会はシンポジウムを聞けたが,その反動として表面セッションにはいけなかった.体は一つしかないので,仕方がないです.

  • [1]えーと,物性セミナーの講演者選定会議は学会の後に世話人があつまって議論しています.ぱーときて講演できるようなものではないので,講演者のみなさんにもなんとなく自慢に思ってほしいです.ちょっと上から目線ですかね.
  • [2]これは好都合と思ったが,それは不確定情報であった.半分あきらめていたら,やはりセミナーをすることになったと,9/24のセミナー開始1時間前にメールと電話がやってきて,セミナー@田中研におもむく.いやー,やはり15分と2時間の差は大きくて,たっぷりと話を聞かせてもらい.うーんと興奮する

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最終更新時間:2012年09月24日 21時52分55秒