第13回のおさらい

今日のおしながき
  1. 質点系の物理
    1. 質点系の運動方程式と重心の運動
    2. 重心の運動量とその保存則
    3. 重心の運動エネルギー
今日のまとめと反省

プリントの修正部分の説明やら,大質問大会の日程変更の話を最初の15分でする.あー,いよいよ最終回だと思っている暇はなくて,最終回に一話まとめておきたと思っていた.最後にアンケートのための時間もとらなくてはならない.

まずは,先週の問題設定の状況で,今日は運動方程式を書き下すことからはじめる.この沢山(3N個)の運動方程式から何を見るかと言うのが問題であるが,両辺を全文足してみるとヒントが得られる.左辺は,質点系の全質量で割って掛けてすれば,重心の加速度に全質量が集まった加速度になり,右辺は作用反作用に注意すれば内力はすべてキャンセルし,外力の和だけがのこる.これはつまり,重心に全質量と全外力を集めた運動方程式になる.これが今まで質点系を考えてきた理由になっている.まずは重心の運動をみてみよということである.後はそれ以外と考えることができるが,そのデモとして,「心の目」を出した.あんな感じでどうだっただろうか?重心以外は複雑そうにみえるが,重心の運動は単純な放物運動である.しかも,複雑そうに見えた運動も,重心の回りの運動とみれば何かできそうである.

次に,質点系の運動量を考えてみる.ここでも期待されるのは,質点の運動量のような性質が重心の運動量として見えることだが,確かにそれは確認できる.外力が無かったり,あるいは外力の合力がゼロのときには重心の運動量は保存していることがわかる.ここで,以前のバスケ問題を考えてみる.解答例にはシュートを打つことで反作用力が働くことを指摘してくれた学生がかなりいた.それと上に上昇する力がつり合うことが「静止に見える」理由としていてが,一度地面からジャンプすれば上向きの力は存在しない.背中にジェット積んでいれば話は別だが...さて,それでその反作用力はどの程度か考えよう.それには今の運動量保存を考えてみる.本当は重力の効果は小さいが,簡単のためにそこを全く考慮しない状況を考えてみた.それは水平方向にシュート(これはパスか)を放った場合である.そのときに選手が受ける速度を求めてみる.これが大したことがないということはすぐにわかる.そこまではたどり着きたいこと路.

最後に,運動エネルギーを重心運動と相対運動に分離してみせる.具体的に2体系で考えると,相対運動は相対座標と換算質量を使って書くことができる.相対運動っぽい感じがわかるだろうか?講義の内容はここまで.アンケートをお願いして,3分前に終了.

今週の配り物:
練習4の部分解答です.以下の三点の修正があります. 赤字が入っています.
  1. page 49: 4.1-5の解答で,途中で式変形ミス.そのまま数値を代入しているので,最後の結果も違う.
  2. page 50: 式(52)の最後の式の第一項の係数がちがう.こういうのは次元チェックすれば気づくはずですねー.
  3. page 51: 全体にいろいろ間違い.でも間違いの間違いが正解だったりして...でも,こんないい加減では困ります.
今週の小道具:
「心の目(改)」:まずまずのできかな?昨年やったときはうまくいかなかったが,おそらくその時にすぐに改良していたんでしょうね.すっかり忘れてたが,今回はそこそこいい感じであった.
今週の宿題:
  1. 最後の式変形.相対運動の運動エネルギーを確かめよ.
今日の質問:
今日は終盤ドタバタしたこともあってか,質問があまりなかった.部屋に帰ってからいくつか.
バスケの話で,式はわかったんだけど,結局どういうこと?

運動量保存の式から,人間のシュート後の速度の式を出しました.それはシュート前の速度+ずれの形で書くことができるが,その「ずれ」がどのくらいの大きさかを考えてみようということ.

最後の式は何を求めたのか?

最後には2原子分子模型の相対運動エネルギーだけをもう少し式変形してみたのだが,その前に重心運動と相対運動に分離できることを一般的に出したので,その具体例としてあげたのでした.振動や回転の様子が見やすいかとと思って...

このツブツブは何?

あいたた.これは質点が沢山あることを表したつもりでした.絵が下手というか,説明が悪かったです.

過去問について

数人の学生から過去問が見たいとのことだったので,ここにアップしておくことにします.傾向は年々変わっているし,そもそも過去二年はAクラスだったので,あまり参考にならないと思います.

今日の雑談:
number
一限頭からでる価値のある講義でした...眠いけど頑張る.(絵付き)

そう言ってもらえてうれしい限りです.一番最初の講義に設定したとおり,話を聞きに来る以外にこの講義に出てくるメリットは何もありません.でも,4割近い人は価値を見出せなかったということです.

授業方法,説明のしかたよかった.

まだまだ反省点はいろいろあります.

先生の熱意は感じるんだけど,初めて物理に接する私にとってはついていくのが大変だった.(ついていけなかった)

熱意なんかはどうでもよいことだと,わかってるつもりなんだけどね.

講義楽しかったです.ありがとうございました.

おおきに.それが目的の半分以上だったので...

濃いめの味付けだった.

はははー.濃かったですか.

試験が9月でよかった.7月でなくて本当によかった.

そうですかね.夏休みを満喫するには7月集中でもいいのでは...

式の後のコメントが時々何処に対して付いているのかわからないことがありました.それをもう少し改善してほしいです.

よい指摘ありがとうございます.時々自分でも何しゃべっているのかわからないこともありましたから...用意周到に,冷静に,ですね.

私にとって物理自体が数学だと思える.そうすると嫌でも物理が大切に思えた.本気ムズかしくてダルいけど,こういう考え方は大切だと思う.ビバ物理.もうお腹一杯.

数学じゃないところで大事なところがあるはずで,そこが物理以外の専攻に行く学生さんにとって大事なところだと思います.

物理おもしろいと感じました.価値がありますね.

そうですね.やっぱり,それまでは全く価値がないと思っていたんでしょうか.それがショックです.なんとなく,国文学もそれなりに価値がありまっせって言われている感じ?!

Aクラスを追い越せたのかが甚だギモンです.

これもよい指摘です.ここは最終回の講義で十分にお話したかったところです.いずれゆっくりここで説明します.

今日は出席をとらなかったようですが(それとももう回ったのかな?)

おそらく,講義の後でも言ってくれた学生さんでしょうか.最後の投票用紙に何を書こうか考えて来てくれていたとか...すまん...

間違っても自民族を最低などと卑下しないで誇りを持ってください.

最後のところですね.「卑下すること」と「誇りを持たない」ことは同じではないですね.私は誇りを持っていますよ.今日指摘したところも半分は日本らしくて好きなところなんですけどね.日本の文化に深く関係するところだと思っています.最近のノーベル賞からウルトラマンまでここでは語りつくせないので,止めておきます.

(2005.07.11)自虐的になるのはよくないということが一人歩きして,おそらく日本人の総意ではない発言がたびたび起こる.どうだろうか.たった一人の「福島の講義はえらく素晴しい」というコメントを真に受けて,「おれの講義はすごい」と宣っているようなもんだ.統計学をもう少し学んで欲しい.

レポートが難しい.

難しかったですね.ご苦労さまでした.レポートの反省はまたあとでします.

興味を持ちましたし,面白かったのですが,後半やや理解しがたく,自分の勉強不足を感じました.先生の期待してくれているレベルに自分は至っていないなと思う.

私が高いレベルを期待していることがわかりましたか?実に高いレベルを期待しています.でも,私が期待しているのは,すごい微分方程式がスラスラとけるとかそんな類では当然ありません.Aクラス問題とも関係しています.もっと講義を通じて,明確にするべきでした.

もっとまじめにでればよかった...2限にして下さい.あとテストは,レポートくらい難しいのは出さないで下さい.

一限と二限の差は何なんでしょうか?まじめさの違いでしょうか?結局,講義にでようとする動機付けがその何らかに勝らなかったということですね.テストはレポートなんかよりも簡単にしますよ.

先生は仏様のような人でした.講義,面白かったです.

逆査定でも「仏」扱いでした.いい線いっているのでしょうか,「逆査定」.

先生のように熱心な授業をなさる先生はとてもすばらしいと思います.

ありがとう.給料もらっているので,当然ですけど...

数学の重要性を感じた.東大も入試ではやく理科3科目にしたらよいと思う.

まず,その数学は大して高度な数学ではありませんので,その程度ならばマスターしておくのは悪くないでしょう.それから,東大「も」の「も」にひっかりました.他にもそんなところはあるんでしょうか?個人的には入試で高い負荷をかけるのではなくて,入学してから教養学部として理系の多くの部分を必修で学ばせる東大の体性はとてもよいと思っています.

講義全体についての反省:
  1. 講義について:

    今回の組み方は初めてだったので,練り具合としてはいまひとつの感じでした.ゴールの設定として剛体のさわりのところまでいきたかったが,現実的には難しかったです.必要以上にレベルを落とすことはせずに,かつかっ飛ばさないようにしながら,できるだけ多くのメッセージを詰め込もうというのが当初の予定でした.ただ,みなさんの初期位置に対する認識は甘かったかも知れません.実際にはかっ飛ばしたような感じになってしまっていたでしょうか.

    技術的な問題として,90分の使い方は改めて困惑をしました.今シリーズは中ごろから,一つの話題が必ず2つの講義にまたがるようになっていました.これは話している方としては気持ちが悪く,うまくまとめたかったです.聞く方はどうなんでしょうか.たびたび「仕事は区切りのよいところで止めない方がよい」と言われることがあります.昼ごはんで仕事から離れるときには中途半端なところで止めると,昼食後に仕事が早く立ち上がることができるというわけです.講義はどうですかね.復習に時間を費すのだとすれば,少し無駄のような感じがします.

    打倒Aクラスを目標にかざしながら,それが実現できたのか甚だ疑問であるとの指摘を受けました.これについては,コメントしておく必要があるでしょう.むしろ,講義の最終回の時にしっかりと説明しておくべきでした.さて,打倒Aコースという標語の意味は何だったでしょうか?最初の講義で説明したとおり,それは難しい物理の公式を知っているとか,こ難しい練習問題がAクラスの学生並に解けるとかそんなことではけっしてありません.考えてみれば,生活の中(学問の中)で不思議に思うことは,練習問題のような簡単な状況ではありません.そんな問題にぶつかったときに,どう答えに向かって行くか,それから,その得られた答えはどのように正しいと納得できるかが大事なことです.この思考過程は養わないとできないことで,物理学を学ぶことを通じて獲得できると私は頑なに信じています.そして,そのためには高校の物理はほとんど必要ないと思われます(私見です) .むしろ,高校の物理の余計な公式を覚えていないことで,(物理に対する苦手感とか嫌悪感の弱点をさしおいても)Bクラスの方が有利なのではとすら考えています.どうだったでしょうか?冬学期に行う学生実験において,その実力が試されると思います.

  2. 実験について:

    今シリーズも少し卓上実験を試みました.大したことはできませんでしたが,それなりに息抜きにはなったでしょうか?本当ならば,それらの実験のカラクリをくまなく説明してみたいところですが,そのようにはなりませんでした.カラクリを説明できないならば,見せない方がよいという考えもあるかと思いますが,実はカラクリに迫るにはもう一息のところまで来ている実験が多かったので,むしろ,学生のみなさんに最後のところを考えてもらいたいと思っています.答えは教えてもらうよりも,見つける方が断然面白いです.それから,見つけた答えの検証を考えることは実はとっても大事なことです.

  3. レポートについて:

    毎年悩むのがこのレポート.今回は三回出したが,これもどうだったかな.ちょっと難しい問題を出しましたが,講義で説明した内容の練習問題の範囲でした.誰かのコメントにもありましたが,これはただ解いてポンというだけでなくて,友人とあーでもないこーでもないと議論する機会にしたいという意図もありました.受験勉強を共同でやることはなかったと思いますが,これからはそうではないと思います.議論を通じて,自分の思考が明確になることはとても多いですし,個々の特性(得手不得手)を認識することもあります.この手の計算はあいつにまかせればよいとか,こういう発想は自分が得意だとか,この検証実験のアイデアはあの子が得意とかあるもんです.

    (2005.8.17追記)遅くなりましたが,やっと3回目レポートの回答案を部屋の前に置いておきます.取りにきてください.あるいは,ここからPDFファイルを持っていって下さい.最近たびたび学生さんから催促されたり,部屋の前に気配を感じていました.おそくなって本当にすまん.

    (2005.8.18追記)大変お待たせしました.レポート返却準備が整いました.私のオフィスの前の封筒に解答例といっしょに置いておきますので,大学の来たときに持っていって下さい.

  4. プリントについて:

    今回一番時間を費したのが,このプリント.練習問題を出して欲しいという要望は毎年あるので,それに答えたいということと.ある程度日常的にみなさんに負荷を掛けておきたいという考えがありました.これまでで最高の枚数を配布しました.ミスも沢山あって,幸いなことに学生さんから沢山指摘してもらって,かなり修正は出来て来ていると思います.もう少し問題集のように構成した方がよかったかなと思います.それから,解答を作ることに追われて,そのコメントがあっさりとしすぎてしまった感じがします.もっと,ドロドロとしたコメントをネチネチと書きたいと思っているのですがね...

  5. 投票用紙について:

    今回もほぼ毎回投票用紙を回しました.出席者数を把握するのが1つの目的で,もう1つは学生さんの声を拾いあげること.最近,講義の内容に反応するコメントが少ないように思える.ちゃんと講義の後とかに質問に来てくれる学生がいるので,その方がよいのだが,見えない声ってのもあるんだろうけど,そっちは見えなかった.これを回すことで,講義中の質問が減っているのだとすればちょっと淋しい.

  6. WEBページについて:

    上のコメントを返すのが目的のようになってしまっています.今年は初のコースだったので,それなりにここに書くのも意義があったように思いますが,みなさんにとって意義があったかどうかはよくわかりません.このページは後数年したら,絶対に飽きる気がしますが,そのときにも続けていく理由を今の私は持っていません.

  7. BBSについて:

    今学期の初の試みは掲示板の設置であった.カウンタが正しく機能しているとして,現在277なので,それほどアクセスがあったというわけではなかったし,書き込み数もそれほど多くはなかったので,さて,これはどうでしょうか.次にもう一度くらい試してみようかな.

    やっぱり,ブログにして,コメントを書いてもらうようにしたらいいのだろうか.どうがんばっても,真鍋かをりのようなところまではいかないだろうし...


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