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2009年の一言

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2009-12-8

えんぴつ

最近の若い者のえんぴつの持ち方がすごいことになっていることをご存知だろうか.テレビに出てくる芸能人(これはどうでもよいかもしれない)しかり,コンビニの店員(これも?)しかり,そして徐々に大学生もである.すごい持ち方になっている.そして,うちの子供たちもあやしい.今日,研究室のセミナーを長時間やったのだが,その際に久しぶりに美しい持ち手に遭遇した.それで気がついたのだが,長時間にわたって少々激しい計算をやろうと思ったときに,あの汚い持ち方ではとてもやり切れないのだよ.自然に美しい標準型にならざるをえないのではないかな.若い者よ,計算いっぱいやろう!

2009-11-27

日本IBM科学賞いただきました.

この度,IBM科学賞をいただくことになりました.IBM社と選考委員会と推薦くださった先生方に感謝いたします.この日に授賞式がありました.受賞の一報からしばらく時間があり,WEBにも何かしら書くべきだとは思っていながら,気の利いた言葉も見つからず,今日まで至っております.今回の受賞に際して,多くの人からお祝いの言葉を頂きました.みなさんに感謝いたします.これまで同様に研究と教育に頑張っていきたいと思います.それから、もう駒場にも8年目を迎えて,物性研よりも長くなって,筑波と同じになってきました.そろそろ飛び出した方がよいかなと.

2009-10-2

前回の一言からほぼ半年.新入生が入っているのに一言もコメントが無いのはいかがなものかと方々から指摘を受け、一方で脳天気に駄文を披露すると,宿題が山積している自分に糾弾のメールが来るのではないかと恐れおののいて半年が過ぎました.おそらく、現時点で宿題の積分量が最大値だろうと思われるので、作文の練習を兼ねて駄文を書くことをお許しください、関係各位.


変わるものと変わらないもの

数か月前(もうそんなになってしまった)NHKのSONGSに矢沢永吉氏が出ていた.彼を知ったのは大学時代に友人[1]に「成りあがり」を借りたことだった.私の趣味には合わなかった.一緒に借りた藤原正彦の「若き数学者のアメリカ」の方を楽しく読ませてもらった.それからXX年.この年になって彼の魅力を理解できるようになってきた(と思う).歌手としてもそうだが、人間として格好がよい.そんな還暦を迎える彼がその番組でファンから「成りあがり」以来トップでいるための秘訣は何か?というような質問を受けたときの返答がこれだった(私の記憶が正しければ).

(いろいろ)変わってますけど、絶対変わらないものもある.それは真面目さじゃないかな.

彼をよく知るファンなら想像された答えだったかもしれない.それほどよく知らない私でもなんとなく期待した答えだった気もするが、改めて耳に入ったときには少々感動、というよりも衝撃に近いものを感じた.私の同僚には同じ答えを出せる人が何人もいる(と思う).自分も還暦のときに、そんなふうに若者に答えたいものだ.

ちょっとミーハーな内容だけど、今日は基礎科学科のガイダンスがあり,先週は学会があり,そんなときに若い者と話すと、なんとなく自分は真面目にやっているかいって上の方から声が聞こえてくる感じがする.ので、今日はこんな話題になった.

  • [1]日本人で数少なく私をファーストネームで呼ぶ男である

2009-4-10

やったー!!

なかなか公表するタイミングの逃していましたが、

中島哲也くんが総合文化研究科一高記念賞を受賞

しました.それから,坂田さんと金子さんとの仕事がPRLに掲載です.私の仕事もひっそりとArXivに上げました.春の物理学会のことは何もここには書いていないのですが、共同研究をしていた東北大の佐々木志剛さんが物理学会の若手奨励賞を受賞しました.春ですねー。

春の物理学会は立教大学でありました。綺麗なキャンパスでした。今回は発表がなかったので、なんとも気合が入りませんでした.いけませんね。ただ、学会期間中はほとんどとある模型のことで頭がいっぱいになっていました。離散変数の統計力学模型です.モンテカルロ法のプログラムを組んでみようと思って、いろいろ考えていると、やはり各要素がイジングスピンの問題なので、いわゆるマルチスピン・コーディング(MSC)という技法が使えるはずです。というわけで、頭のなかが0と1とビット演算な日々が続いていたわけです。第一感的には「もっとも簡単なMSCの問題」のように思えたのですが,それは大きな勘違いであって、結局コア部分の手数が史上最長になってしまいました.4次元hyper cubeのスピングラスよりも手数が多いとは。。。SIMD時代の現代でこんなプログラムを書くのは私か佐々木くんぐらいでしょう.どうやら、なんか相転移が見えそうです.

ところで,研究室のメンバーが増えました.

2009-4-6

研究室の雰囲気

今年は例年よりも早く大学院の説明会(その1)が来週の土曜日に計画されている.何事も早めにすることはよいことだと教育されてきたが、さすがに忙しない感じがする.研究室紹介で最近学生さんからたびたび聞かれる:

研究室の雰囲気はどうですか?

そうですね.気になるところですね.

まあ、すごくよいわけではなくて,すごく悪いわけでもない.

いつもこのように答えることにしている.私はWEBページで柔らかい感じや「雰囲気」のよさそうなことを演出しているが、サークルに入るわけではないので,雰囲気などというものは研究室の選択要因には本来ならないのではないかと思う.もちろん、雰囲気がものすごく悪いのは問題だけど、その最低ラインは守られているように思う.院生がどう思っているかが大事なので、是非うちの院生に聞いてみてください.ただうちはプロジェクト指向の研究室と異なり研究室全体で同じ方向を向いているわけではない.同じような方向は向いているけど、個人がそれなりにがんばらないと何も見えません.統計物理の分野では多かれ少なかれそんな感じがあると思う.これはある意味ではしんどいことだと思いますよ.幸いこれまで接してきた学生さんたちは,かなりのハードワーカーばかりでした.一生懸命研究に取り組まない。。あるいは取り組めない学生さんはうちには来ない方がよいと思います.

柔らかい雰囲気で学生さんをつろうとするのはよくないような気がするなー.今日の一言ページももうちょっと研究色を前面に出した方がよいのかなー.

2009-2-5

自分のルール

一月以上もWEBをいじらないことが普通になってしまった。忙しなくしてはいけないのだけど、そうなってもこれだけは守りたいと思っているルールがある。それは、「人の話をきく」こと.けっして人の言うことを聞くということではなくて、自分の体が空いていればできるだけセミナーには出るようにするということ.これをなくすると、耳と目とそして頭が急速に悪くなるような気がしている。適度な緊張感のもとで、瞬時に反応する能力は鍛えておかないとすぐに衰えてしまいそうだ。聞かなくてもできるような質問をしてしまうようになるとおしまい?!.もちろん、普段の議論で大丈夫な気もするが、あまりに専門が近いと、体のどこが反応してしゃべっているのかわからないこともある。ちょっと違う分野のセミナーくらいがちょうどよいかな。ところで、昨日と今日と二日にわたって、Cグループ(駒場の物性理論グループ)の修論発表会があった。今年はいつもの年よりも発表する学生の数は大目だったが,全てに出席した.教育的配慮。。。なんてことはないのだ。素朴に学生さんの修論発表を楽しんで聞いていただけ.私の観測が正しければ、私の他にもう一人だけCグループ全ての修論発表を聞いた人がいた.あっ、でも彼(うちの学生さんです)はM2で発表者でもあるので、彼自身の発表は聞いていないわけで、実質私だけなんだな(なんでライバル視しとんねん).

  • (捕捉)この文章に対して、作文の師匠から助言があった.ポイントは「おまえのボケ防止の一貫でやっていることは結構だが、それでは学生を魅了することは全くないであろう」ということであった.ちょっと婉曲的すぎたようなので、追記しよう.
  • 要点1:やっぱりなんだかんだ言っても、修士の二年間で学生さんがどんなことやったのかは注目しているところです.面接して合格出したわけだから、どんな状態で卒業するのかは見届ける…義務じゃないなー.そう権利ですね.特に、自分の研究室でなくても、気になるところです.
  • 要点2:若いうちに聞く耳を養っておいた方がよいです.自分の研究が楽しいのは当然ですね.でも,自分のやっている研究だけが面白いと思うようでは困りものです.たこつぼつっついて喜んでいるだけになるのはダメです(自戒もこめて).自分では手がでなくても、これは本当に面白いと思える研究がちょいちょいあるものです.一方で、敷居が下がりすぎて、なんでも面白いと思うようでは、それは何も面白くないと言っているのと同じです.みなさん忙しいのはわかりますが、あまりにもアンテナが狭すぎやしませんか?それから、学生のうちに「あー、いそがしい」なんて思っているようではダメでしょう.自分のこれまでの経験から、せわしなさ度は単調増加関数です.学生のときに持っていた手帳(というかもつ必要もないくらいだったけど)に書かれている量は、もっと大人になるともっと密度高くなるということです.

2009-1-1

新年あけましておめでとうございます

駒場に来てから小さいながらも研究室を構え、昨年は学生がみな研究に励み、論文を書いているのを傍目に楽しく過ごすことができました.私自身はレアイベント探索に関する仕事がでましたが,今後の展開としては一つの岐路に立っているように思います.他にも調べてみたいことが沢山あり、今年も研究に勤しみたいと考えております.不惑にもなり、そろそろビジョンを持って戦略的に研究した方がよいのかもしれません.

さて,昨年は日本人のノーベル賞受賞に湧きました.ノーベル賞と聞いて思い出すのは,物性研の助手のころの理論セミナーで,発表開始10分すぎに「そんなことをしていたら、一生ノーベル賞なんてとれないよ」と偉い先生に絡まれことです.脊髄反射的に「ノーベル賞とるために研究なんてやっていません」と返したが,ノーベル賞でもとれるかもしれない研究を志すべきというコメントだったのでしょう.そのためには,少しは戦略を練るべきなのでしょうかね.

本年もどうぞよろしくお願いいたします。

2009年元旦

福島孝治

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最終更新時間:2009年04月06日 22時51分13秒