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2007年の一言

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2007-12-27

発表の後で残ったもの

今日の柏の岡田研でのセミナーで今年の公式行事は終了.たくさんしゃべった気がする.楽しいミニ研究会だった.e平坦やらm射影やら変分ベイズやら,おおよそ物理に没頭しているとなかなか出くわさない言葉にもやっと馴染んできた感がある.何か役に立ちそうならば勉強してみるという感性は大学院のときに身につけたつもりであったが,それが物理の外側にも至るとは当時は思わなかった.境目を気にしている時代ではないということだろう.それでも,「情報統計力学を真に融合科学として捉えるためには,統計力学のテクニックを外に持っていくだけではなくて,情報・統計科学の知見を統計物理の問題にもってこなくてはいけない」などと言ってしまうのは,あくまでも符号や通信や画像の問題には興味はありませんよーと言っているようなものである.でも,この切口でひと仕事を模索中である.

2007-12-19

研究会と"more is different"

特定領域研究DEX-SMIの成果報告会に参加する.これで今年の研究会は全て終了.自分としては多すぎた感がある.研究会に行くと,次のテーマが見つかるものである.大学院生の頃はそう思って,研究会に出かけたものであった.いまは...今回はそういう収穫はあった.それにしても,もうおなかいっぱいである.ちょっと研究モードに入ることにしよう.

チュートリアル講演のオープニングで田中利さんが,P.W.Andersonの"More is different"の真実について解説されていた.たくさんあることが質をも変えるというこのフレーズはたびたび物性研究で引用されるが,今日の話は全く知らなかった.多くの物性研究者も知らないのではないだろうか?内容はここには書かないことにする.ひょっとしたら田中さんが論文を書かれるかもしれないし...それにしても,研究会の数が多くなって,more is differentなことがあるだろうか?というのが,休憩時間の話題だったりした.

2007-12-10

代打とセミナーと

「つぎ,おまえ代打だ」

「...えーと,まだ靴の紐が...」

「もういい.」

それ以来代打のチャンスは巡ってこなかった.こんな経験を子供のころにしたことはないだろうか?チャンスはいつやってくるか,そして何度やってくるかはわからないものだ.それゆえにいつでも準備を怠ってはいけない.元巨人の中畑がいつでも「絶好調」と言っていたのはチャンスを引きよせるためでもあったらしい.

先週,個人的に今年の冬に最大のイベントがあった.岐阜大での研究会である.それまでにいくつかの研究会やらがあり,来週また特定領域の研究会がある.受けてよかった研究会もあれば受けなかった方がよかった研究会も正直あった.しかし,喉元をすぎればなんとかで,人はよくないことは忘れる習性がある.今日,来年の講演会のお誘いがあったが,反射的に受けることにした.以前のヒットが今回の講演会につながっている.こんな話は逃すともう「次」はないかもしれないからだ.

それよりも,はやくレギュラーをとった方がよいなー.

なんかヨタ話ばかりで,研究の話を書いた方がよい.来週の研究会ではポッツグラスの話をします.3つの話題を提供しますが,それらは完全に独立の研究でした.そもそもポッツモデルなんて特に好きでもなんでもないのだが,これとあれとそれをしてたら,全部ポッツになっていたというお話です.一つは数独の問題.

2007-11-26

研究と囲碁

は似ている.相手は自然である.まず,棋士に棋風があるように研究者にも棋風がある.どれがよいというのではなくて,どれでもそれなりに一局になる.ただし,特徴的な棋風がないとこの業界で生き残れない.我々は機械ではないのだ.勝敗は終局までたどり着いたときの陣地の多さで白黒をつけるが,先番はコミの分だけ余計に陣地をとらないといけない.コミを勝手に設定できるとすると,ある意味で勝敗はあいまいである.科学に完璧に正しい理論というのはありえない.どこかに問題の設定なり,仮定なりが存在する.その"コミ"を考慮して勝敗を決めるわけである.そこは王様を取れば勝ちになる将棋とはちょっと違う.

囲碁の序盤は布石と呼ばれ,棋風がもっとも如実に反映される.そこでの構想がその碁の全体的な雰囲気を作る.最初の腕の見せ所である.定石ばかり打ち続けていると,それはつまらない碁にしかならない.研究も似たりである.その後,中盤の戦いでは手筋と呼ばれるテクニックを随所に展開し,最終的にヨセて終局に至る.手筋を外すと,そこで敗北が決まることが多い.ひどいときには終盤に至る前に中押し負けになる.研究ではこうなることがほとんどである.定石を知らないとすぐに負け碁になるし,よい手筋をもっていないとダメである.めでたく終局に到達すると,論文という棋譜を残すことができる.序盤(布石)・中盤(戦い)・終盤(ヨセ)のどこかがダメだと失敗である.研究者はよい棋譜を残すために日夜苦しんでいる.やはり,しっかりと勝った碁でないとよい棋譜とは言えないだろう.我々は先人の棋譜から多くのことを学ぶように,自分の棋譜も後生の人への知見として残す必要がある.棋譜が残せないものは研究者にはなれない.もっとも囲碁では中押し負けの棋譜も残るわけだが,我々の世界では「中押し負けの棋譜」は世の中に公開されることは無くて,自分の研究ノートの中(と心の中)にだけ残る.

いずれにしても,好きでないとうまくはならない.好きなだけではうまくはならない.うまくてもつまらない棋譜ばかりではダメ.いろいろと難しい...なぜこんな駄文を書いているかというと,あちこち八方塞がっていて,明後日の研究会の発表資料を作るのも嫌になっているからである.たまにはオセロでもして,白黒はっきりつけて気分をよくした方がいいかもしれない.

2007-11-9

もう一山

...研究会が一つ終了する.Bonanzaの保木さんの話を聞けたのは一つの収穫だった.

2007-11-1

物性研短期研究会

レアイベントの話をしてくる.聴衆の半分は第一原理計算な人なので,そちらの方に聞いてもらうようにしないといけない.と気づくのは会場に行ってからだった.どうも,迫力不足だったかもしれない.でも,こうした地道な研究が10年後に彼らの足元に影響を与えることがあるかもしれない...と密かに期待しながら,元気よく話をする.今日のテンションはどう考えても,学部の講義用だったかもしれない.悪い印象をあたえていなければよいが...個人的にはボチボチだったか.

2007-10-24

冬学期のあれこれ.

既に学部の講義は始まっている.今年は久々に電磁気で,しかもBコース.それとは別に今週から毎週どこかに出張やら研究会にいくことになる.最初の関門である京大出張がさっき終了した.ダブルヘッダーの講演でそれなりに頭が飽和していて,何もオチが浮かばない.とりあえず,生きている証として.

京大での講義で話したのだが,「プログラムを高速にチューニングするのは,よい論文をかくためである.」.これは正しい?!

2007-10-1

あなたのお気に入りの数独の熱容量計ります

というようなサイトを作ったら受けるかな?先週の日本物理学会のレポートをざーと書きました(ここ).学会で数独の話をしたのですが,そこでとある数独フリークから超難問サイトを教えてもらいました.秘密にすることないですよね.ルモンド紙のWEBサイトです.そこのTrès difficileは難しい.なにせ,比熱を計算すると,それはもうすごいことになっています.私の持っている本のexpartなんかとは比較にならないです.やはり,比熱で判断してもいいのではないでしょうか?

2007-9-22

学会のレビューセッションに行こう!

学会のレポートは後ほど書くことにして,明日は学会中日の総合講演が午前中にある.今年はいつもの総合講演とは趣が違うようで,分野毎のレビューセッションがある.これは出てみるべきではないか!?最終日の私の発表のポスター今晩作ってしまって,レビューセッションに出てみるつもりである(少なくとも今の気分では).

2007-9-19

IW-SMI2007終了

この数日は緊張して疲れました.参戦記はまた書くことにして,外人部隊のパワーに押されてばかりではいけないと痛感.同じような仕事をしていてもダメなんだが,それくらいは足腰でやってしまう強さも必要です.とりあえず,数独の論文は書くことにしよう.外人にもちょっと話してしまったし.

論文がもう一本掲載可になりました.

2007-8-24

メッセージは何か?

私の作文の師匠から,このWEBページにはメッセージが無いとおしかりを受ける.「それほど多くもないが少なくないアクセス数があり,おそらく若い学生も見にくるのだろうから,もっと魅力的でなくてはいけない」というのがその趣旨であった.確かに納得.この年になってもまだ作文の指導を受けるとは...メッセージねー.あまり色濃く主張しても仕方がないし,近況を紹介していく中で特色が伝わればよいと思っています.

論文が一本掲載可になりました.

2007-7-31

日本物理学会誌7月号

今年は毎月やってくる物理学会誌へのコメントを書いて,会誌の応援をしようと心に決めていたがはやもう7月.まだ一度も書いていなかった.そして7月も終ろうとしていて,このままだと書かずに一年終りそうなので,思い切って書いてみる.全てにコメントすることはあきらめる(能力的に無理).少しでも多くの人が物理学会誌に興味を向ければよい.といっても私は物理学会誌の回し者ではなーい.

「実験技術」スピン偏極STM

通常会誌の冒頭記事は総説・解説であることが多いが,今月は「実験技術」から始まる.確かページに制限があったのではと思ったが,この記事はたっぷりと書かれていて,内容も解説記事相当である.だいぶ前にSTMのスピン版の話は聞いたことがあったが,その最近の進展がまとめられている.歴史的発展の経緯がまとめられているのは分野外の研究者には興味のあるところである.まさに見てきた"ような"話なのであるから面白くないはずはない.

「最近の研究から」暗黒物質

今月は「最近の研究から」が多く,解説記事はない.その中の最初は向山さんの暗黒物質はなくてもいいかもという研究.今まさにLHC実験が始まろうとしているこの時期に,ある意味で面白いタイミングである.暗黒物質が何なのかという話はよく聞く話だが,こういう路線もあるのかと勉強になる.もっともよしあしは全く判断出来ない.

「最近の研究から」量子最速曲線

量子計算の話には触手が延びないのだけど,これは面白かった.ハミルトニアンに対する制限の感覚がないのでピーンとこないとこもあるのだが,こういうのは古典系の遷移経路決定問題みたいなのにも使えるかもしれない.

「話題」SLE

香取さんによるSLEの解説.分野が近いからかもしれないが,それだけではなくて文章がうまくて,すーと読める記事.うーん,話題でなくて,もっと長い解説記事を読みたい気がする.CFTとの対応関係はザザーと行ってしまう.それにしても最後の一言がよい.私なんかとは学問を見ているスケールが違う.

「話題」捏造問題

NHKのディレクターである村松氏による記事.物理学会誌には非常にめずらしいタイプの記事かと思う.前半は担当されて捏造問題番組の製作を通じたこの問題のレビューがまとめられている.「あるある」と同列な問題なんですよね.その番組を見たこともあったので,淡々とまとめられたよい記事という感想だったが,最後のセクションで一気にボルテージがあがる.「科学がなめられている」とさまざま角度から指摘されていて,水伝問題も一蹴している.

春季大会シンポジウム報告

学会のシンポの報告を領域ごとに短くまとめられているのだが,これいるのかな?プログラムみればだれが話したかはわかるわけだから,ここに載せる必要はないし,数行の感想では雰囲気はわからない.これならばちょっとまとめて各領域ごとに小特集から,せめて話題程度にまとまったものがよい.


今月はここまで.今月号は当たり号だと思います.来月号のレビューは書けるだろうか?

2007-7-2

修士過程の中間発表

駒場の大学院(総合文化研究科)では,M2のこの時期に修論に向けての中間発表がある.ちよーと早い気もするが,区切りとしてはいいかもしれない.仕事の早い学生さんは,学振の申請後なので論文を既に書いていたりする時期ではある.先週と今週で福島研のM2の中間発表は終わった.もう一週前の発表会は用事があって出られなかったが,それ以外は全て聞かせてもらった.もちろん,よかった学生もいれば,どーかなーという学生もいる.それは自分でよくわかることであろうし,問題は中間発表ではなくて,2月の本番のときにどうなっているかである.審査員の教官は中間発表のことはよく覚えているもので,本番では中間発表後の変化率に反応するものであるのである.

2007-6-1

基礎科学科 学科公開

先週の日曜日に,先学期基礎科の統計熱力学を担当した学生さんからメールがやってきて,学科公開での出し物の相談を受けることになった.お題は「ニューラルネットワーク」で,すでにプログラムを作って遊んでいるようで,後はレプリカ解析が知りたいようだった.「うーん,一週間ではなー」と思っていたが,参考書を教えただけでしっかり勉強してきよった.それにして,同じお題でも切り込み方や気になるところが各学生さんで全然ちがうのは面白かった.それが個性という奴ですね.今日の発表や聴衆とのやりとりも堂々としたものだったよ.推測するに,今までの講義を聞いたりするだけの勉強とはちがう感覚とアドレナリンを感じたのではないだろうか?イベントとは無関係にそんなことができればよりよいでしょうね.

2007-5-12

シンポとパーティーと...

完全に一月経ってしまった.封印していたわけではないが,今日は「一言」書いてもよい気がする.多くのことが縮退した一日でした.

午後から駒場の大学院の入試説明会があったのだが,幹事をしている計算物理のシンポと完全にぶつかってしまって,そちらの雑務を佐々さんにお願いして,シンポに出向く.このシンポジウムは高山先生の退職を記念して,先生が代表であった計算物理の重点領域研究から15年経って,現在の情勢を議論する場として企画した.4名の講演者(常行先生,今田先生,岡部先生,土井先生)の方々は当時の重点領域の研究に関係されていた方々にお願いした.私は主催者側であって,今日シンポジウムの講演者にはもちろんのこと,シンポに参加下さった方に感謝したい気持ちで一杯です.もっとも,こんなところで言っても仕方がないことかもしれません.

主催者の一人としては適切で無いかもしれませんが,参加者としてこのシンポジウムをどう感じたか,あるいはどう飲み込むかということに関してはいろいろと考えることがあります.こんなところに書いてよいことかどうかは悩みます.また,その後の高山先生の退職記念パーティでも,都先生の力強いトークには考えるところが多々ありました.なんだか,大げさかもしれませんが,ページが一枚確実にめくられたような一日でした.

2007-4-13

講義開始

今学期は一限ばかりで,今日その第一回目がありました.また妙にテンションのあがる日々が続きそうです.

2007-3-30

いや,その前に...

今学期が終わりました.この三月で駒場を去る学生さんがわざわざ挨拶に来てくれました.いずれも福島研ではなく,お隣?の研究室の出身者ばかりです.それぞれの進路で活躍されることをお祈りしております.桜まだ残っていました.そして,キャンパスのソメイヨシノが美しいです.

2007-3-26

新学期が始まりそうです...

先週,日本物理学会が鹿児島でありました.学会レポートはボチボチ書いていますが,もうものすごーく昔のような気がします.明日からまた出張で,そうこうしているうちに新学期が始まります.まだ,準備が整っていません.窓から見えるきれいなすだれ桜?は帰ってくる頃には散ってるんだろうな.

2007-3-7

高橋先生,高山先生最終講義

両先生の最終講義を拝聴しに柏に出かける.高橋先生の最終講義にもいろいろと考えさせるおことはあったが,やはり私のボスである高山先生の話について書いておきたい.久しぶりに会えた後輩たちの顔を見て,時の止まっている感覚を味わえたのは今日のよかったことの一つであった.高山先生の最終講義はまさにスピングラスの最終講義であった.しかし,それは誤解を恐れずに言えば,前半の研究紹介を除けば感銘を受けるものでは全くなかった.まさに,私が大学院生,助手時代に日常に流れている風景がそこにあったからである.改めて,私が研究者としてやってきている(つまり日常で偉そうにのたまわっていることの)ほとんど全てがここにあることを再認識させられたわけである.もっと好きなことをやれときこえてくるようだった.

2007-3-6

太田先生・植田先生最終講義

両先生の最終講義が駒場であった.植田先生はこれまで続けてこられたLiクラスターの構造の研究の話をされた.噂には聞いていたが,まさに最後に講義を聞くことが出来て,大変良かった.ちょっと大げさに言えば,しびれた.Li19の話は圧巻である.

「完璧に分かった」

我耳をうたがったが確かにそうおっしゃった.虚勢をはってそういうことはあっても,こころの底からそんな風に思ったことは今まで一度もないし,これからもないような気がする.驚いたし,うらやましいと思った.確かに,だれもできないような精密測定をして,そこからありうる可能性はこれしかない!というわけである.私が数値計算に対して抱いている気持ちと通じるものがあると思った.

太田先生の話もたのしく聞かせてもらった.私は青本以来の太田ファンである.突然打ち切りになった物理学者列伝はまだ計画が3年分くらいあるらしい.そのリストを見せてもらったが,一名を除いてお墓参りを済ませているとのこと.すごい.また研究の話では,太田先生の研究の歴史の中にすくなからず学生さんとの共同研究が現れていて,一つの流れを作っているのは印象的だった.これは普通の事なんだろうが,一方で太田先生が一人でやられている研究はそれらとは微妙に雰囲気がちがうわけで,いろいろと考えてまう.私はまだそのカードは切っていないんだが,いつか切るときが来るんだろうかと. 

2007-2-15

卒研発表会

今年度初めて卒研の指導をする機会があったが,今日その発表会が終了した.結構多くの発表を聞かせてもらって,適当にツッコミをいれてきた.指導教官は全く表に出てこない学生主導のよい感じの発表会だったように思った.3年生や2年生も見にきていたが,よい見本でした.うちの学生さんもがんばりました.ただし,うちの卒研はオプションとして卒業論文を書いてもらうことにしているので,まだ春休みは来ないかな.

先週の修論発表から昨日まで間隙をついて出張にいってきました.そのうちにレポートを書くかな.それから昨日プレプリントの情報を追加

2007-2-7

修論発表会

今日一日修論発表会でした.みなさんがんばっていたと思います.どうも最近はよい意味で偉そうにしている学生がいないように思っていましたが,今回の発表会はなかなかのものでした.半年前の中間発表の時とは,みなさんすっかり雰囲気が違う感じでした.そうでないと,ツッコミ入れられないですしね.しっかし,私の質問は味の無い素朴系なものばっかりだなーと反省[1]

  • [1]もちろん,素朴が悪いのではなくて,味がないのがまずいのである.

2007-1-4

新年の御挨拶

ここを訪れてくださる皆さん,あけましておめでとうございます.本年もどうぞよろしくお願いいたします.

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最終更新時間:2007年12月17日 07時40分03秒