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2013年の一言

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2013-10-11

Les Houches秋の学校

酒井くんと高邉くんがLesHouchesの秋の学校``Statistical physics, Optimization, Inference and Message-Passing algorithms"に行ってきました。ポスター発表もして、楽しんできたことでしょう。ちょっとうらやましい。

2013-9-28

物理学会行ってきました

徳島大学での日本物理学会に参加してきました。

  • 酒井くん: 詳細釣り合いの破れたMCMCの性能評価
  • 高邉くん: LPの統計力学
  • 高橋くん: 3次元ポッツグラスの動的臨界現象

もう少し詳しい私見レポートはこちらに

2013-9-26

条件緩めても、緩める前の問題の答えが得られるための条件

高邉くんのプレプリントをアップ

2013-4-12

新学期

3月中旬から研究会をはしごし,物理学会があり,合宿があり,慌しく日々過ごして,やすむ間もなく新学期に突入.今学期は書き下ろしの講義が二つあり,さらに大学院生が6名になり,もう慌しく,でも元気にやっています.自分のキャパが問題です.

2013-3-9

最終講義

尊敬している人は誰ですか?

この素朴な質問は答える人の人間のレベルが問われるよい問いである.子供の頃「ビートたけし」と答える人が多くて問題視されたのが我々世代である. 身近な人である両親は答えやすい解であるし,自分もその答えが第1感である.一方,アインシュタインとかランダウとか偉人までいってしまうとなんだか雲の上の存在過ぎて,何を意味しているのかよくわからない気もする.その中間あたりにも尊敬する人はいるわけで...

私が招待もされない最終講義に出向くのは,この中間の...しかし科学者として猛烈に 尊敬する実在の人物への,私なりの最大限の敬意を表することが目的なのである.今年は物性研の上田先生と,今日,青学の久保健先生の最終講義に参加した.どちらの先生も,協同研究をしたわけでもなく,また指導されたわけでもなく,こちらから勝手にお慕いしただけの「間柄」である.まったくもってして,私の勝手な個人的感情のままに押しかけているわけで,迷惑千万なのであろうが,押しかけているこちらとしては,まあそんなことはお構いなしに,これまでの個人的な思いにふけらせてもらっているわけである.これって,ストーカー??

水曜日の上田先生の最終講義では物性研の大講義室が満杯であふれる人が集った.人望の大きさがうかがえる素晴らしい最終講義であった.だいたい私などのよくわからない人も来てしまうわけだから,あふれるわけである.今日の久保先生の最終講義も満杯であった.多くは青学の卒業生であったようである.筑波大時代の久保先生しかしらない私にとっては,全く知らない久保先生の側面を知る機会であった.講義の後で,最終レポートの提出があり,私の思い出を書き綴ったが,それはまあどうでもよいことである.お弟子さんたちには脈々とそのエキスは伝承されることであろうとは思うけど,なんというか科学をする文化はもっと太く継承されていくものだと改めて思う一日であった.自分も若い人に尊敬される人間にならねばと強く思う一日であった.

別に,個人的に尊敬されたいわけではないのであって,こういうなんとも言えない文化の継承を担う人間にはなりたいと思うわけである.退官を迎える大先輩でなくても,近々にも尊敬する先輩はいるわけで,若い人にもそう思われる存在でありたいと思うのである.「精一杯がんばります」とはあるプロの囲碁棋士のブログの締めくくりの言葉である.最近なんとなくその心境がわかる気がする.私も精一杯がんばります...と思っていたら,「そんなんじゃだめだ!」と,今日,ある先生からお叱りを受けた.気合の入れ方はそんなあいまいじゃなくて,「何月何日までに論文を一本書く」でしょと.ああ,帰りの電車でこんな駄文書いてなくて,原稿に赤をいれなくては...

 


2013-2-14

卒研発表会

D論,M論発表会に続いて,今日は卒研発表会.期末試験も終わったので,これで今年度の学務関係はおおかた終了.記憶が薄れる前にレポートしておこう[1]

年度末の忙しない時期ではあるが,今年は意を決して朝一番から卒研発表会に出席.最後の発表までしっかり聞かせてもらう.基礎科学科の卒研発表会は,毎年よい雰囲気である.卒業した先輩がちらほらいて,三年生も聞きにきていて,教員もそれなりにいるので,何となく盛り上がる.最初から最後までいたのは私と前田先生とある院生くらいかな.いつもならば佐々さんがいて,バシバシ突っ込みを入れるのだけど.その光景がみられないのは残念である.その代わりといってはなんだけど,私が思うままに突っ込みをいれた.金子さんなどは教育的な質問をするのだけど,私のツッコミはまったく思うがままである.ところで,自分の卒研発表のことは今でも覚えている.個人的に大ファンであったU先生が発表の途中で退席されてショックで,司会のU先生(別の先生)から,「その計算は大型計算機でやったんですか?どのくらい時間がかかったの?」などと話を聞いていなくもできる質問がやってきました.それならボロボロに論破された方がよかったなーと思ったのであった.まあそれも素朴系質問だったのですが,やはり内容に触れてほしい.そこは気をつかっているつもり.

さて,生体機能分科からはじまった.みなさん立派な発表なのだけど,いくつか気になったものをあげることにする.新井研の二人の学生さんの話はすごかった.アラニンスキャンの変異体解析をするのだけど,もう変異体を作りまくっているのです.その中から活性の高い変異体を探して,バイオエネルギー源にしよう計画というもの.どのくらい大変なことなのかがわからないのだけど,とにかく網羅的にやっていて,あと数十個で終了のところまでやってきていた.「うちの院生にもそのくらい変異体解析してほしい...」などと,講演者でなくて,聴衆に向かって質問されていた先生が印象的.こういう研究は泥臭くてスマートではないのだけど,個人的には好きなんでしょうね.琴線に触れた感じでした.組み合わせ変異の影響も重要かもしれないといっていて,そうすると「組み合わせの数は膨大だから,こんな調子では続けられないでしょう」という当然のつっこみがあり,半分賛成だけど,そう思っている人には絶対にできない研究だよなと思う.「まだできていない変異体に活性が10倍のものがあるかもしれない?」と聞くと,うれしそうに「そうです!」と答えてくれた.やってみなくちゃわからないのです.それとは別に,鉄?を抱え込む部位は進化的にも安定していて,そこは変異してはよくないらしく,その周辺を叩くのがよいというのは直感的にもわかりやすくて,実験結果もそれを示唆している.ならば,MD計算して立体構造を抑えておきたい気がする.こんなに巨大だと計算できないかもしれないけど,そちらの知見が得られれば変異させるべき部位もわかるかもしれない.理論が望まれるところだと思う.アラニンスキャンMD版とか.前処理として,変異体の効果はreweighting法で調べて,失敗するところがきっと立体構造変わっているはずだから,そこを個別にまじめにMDするのはどうだろうか.

続いて,数理分科がお昼前後にある.SATの力学系の話や分子の断熱遷移が量子カオスっぽい話やDNAの部品の回転プロセスの解析やダイマー問題の厳密解やら.午後には感染モデルの解析など.それぞれに面白く,ツッコミどころもあり,勉強になる.その後は物性分科に続く.うちで卒研した二人の発表もある.小柳くんは「クイーン問題のクイーンはどこに居やすいのか?」の問いに答えようとして,高橋昂くんは「空間的に方向性のある相互作用系が織りなす秩序の様子」を明らかにしようとしてきた.まずまずの発表であった.二人ともそれぞれにがんばったのだけど,それは10分の発表では全部は出し切れない.他の皆もそうなんだと思う.それをどのように見せるかというのも大事なんだけど,本当に大事なのはどんだけ真剣に取り組んだのかなのだから,発表は別ものなんだとは思う.全体を通じて一番よかったのは前田研の学生さん.超伝導の表面インピーダンス測定用の共振器の作成で,ありがちなテーマな気がしたけど,なんかもう自分で作った感満載で,院生から「同軸ケーブルはその周波数帯域ではもたないと思うんだけど...」などと何を突っ込まれているのか実験家にしかわからないけど,楽しそうに「ぎりぎりもっています」などと答えていた.その質問はよくわからなかったのだけど,きっと聞かずにはいられなかったんだろうね.いい先輩です.こういう雰囲気がいいのです.これを我々は守っていかなくてはいけなかったんです.そう思いました.最後は分子分科の発表.数理分科に入って内田研であなぼこあいている分子を作る卒研をするのも基礎科のよいところ.吸着公式にばっちしあっています...となっていると完璧だったんだけど.少なくとも第二サイトに吸着しはじめるときに引力が有効に働いているだろうことは,公式からずれることで認識できたと思う.

再来年には新しい統合自然科学科の卒研発表がはじまる.そこでもこんな雰囲気を作っていけたらよいと思う.きっと歴史が必要でしょうね.まったく関係ないが,プレゼン発表でのLaTeX beamer率が結構高かった.20パーセント弱.p○t全盛期になかなか健闘している.そのうちの二人はうちの卒研生.プレゼンソフトを買うお金がなかっただけなんです.もう一人は来年院生として来る学生.もう一人は高塚研で+impressiveだった.結局,私の周辺だけなのかもしれない..もうM○オフィス使って当然!と思っている人が多すぎてうんざりしているところだったので,その意味でもよい発表会だったぞ.

  • [1]まったくどうでもよいですが,今回の一言で量的に昨年を越えています.質的にもよくなるようにがんばります.

2013-1-29

ひねり方が大事

押川研の熊野君のプレプリントがあがる.

2013-1-25

かりこみ条件

高邊くん論文がプレプリントサーバーにアップされる.

ちょっとボサボサの庭木があったので,剪定しようと考えた.ぱっと見て伸びている枝を見つけると,また伸びてくると面倒なので,その付け根の一歩先まで刈りとることにする.そうすると近くにまた伸びている枝を見つけて...ちょっと説明に無理があるなぁ.

ランダムグラフ上の制約充足問題をグラフの端っこの方から制約を決めながら解いていくことを考える.解けた部分は消していく一連の手続きを続けた結果,全てのグラフを消し去ることができると正確な充足解が見つかる.ランダムグラフの次数を増やしていくと,この手続きではかりこみ切れない状況に陥る.具体的にhypergraph上のVertex cover問題について,このかりこみ可能な境目の次数を熱力学極限で正確に評価したのが高邊くんの研究である.その値はレプリカ法というまったく別の解析で現れるレプリカ対称性の破れが起こる条件とぴったり一致することを見つけた.レプリカ対称性の破れとかりこみアルゴリズムの限界が一致するいう不思議な現象です.

2013-1-23

かきまぜるスプーン

酒井くん論文がプレプリントサーバーにアップされる.

コーヒーにクリームを入れてしばらく待つと,クリームは溶け込んだ平衡状態になる.このとき,何もせずにじーと待っていると,拡散の結果として平衡状態になるが,明らかにスプーンでかき混ぜた方がさっさと溶ける.物理系の平衡状態を素早く作りたいときに,どんなスプーンを使えばよいだろうか?スプーンをさしたまま残しておくとそれは元の物理系とは異なるので,できればかき混ぜるスプーンはいつの間にか消えてくれるか,見えな方がよい...

例えば,物理系のモンテカルロ・シミュレーションを行うときには,さっさと平衡状態が作りたいわけである.うまくかき混ぜてくれるスプーンはどこにあるだろう?酒井くんの研究を柔らかく言えばこんな感じだろうか.詳細つりあい条件を満たした拡散過程ではなく,がちゃがちゃかき混ぜて,それでいて望みの平衡状態を作りたいわけである.酒井くんが見つけたのは,一次元動的イジングモデルの解析から,詳細つりあい条件を破るけど「ねじれ詳細釣り合い条件」を満たすある遷移確率を用いると,動的臨界指数zが1になることがわかった.詳細つりあい条件を満たしているときはz=2なので,これは拡散現象であって,z=1になったということは弾頭的?緩和になっている.局所状態更新する遷移確率でこれが出てくるのでちょっと不思議.それから詳細つりあい条件からのずれをパラメータ化すると,どうやら詳細つりあい条件を満たす点が一番遅くなっていることが解析的にわかった,少なくとも調べた範囲では.

きっかけはSuwa-Todoの仕事であって,「なぜirreversibleにすると緩和時間は短くなるなるのかをかんがえてみよう」というのが課題である.そもそもPeskunの定理も成り立たないので,よい遷移確率を決めるための指導原理がないわけである.ここは落ち着いて解ける模型で加速する具合をみてみようなどと思ったのがことのはじまり.まったく飛び道具を使わずに示しているので,堅実な仕事だと思う(自分で言うか?).記憶が正しければSTATPHYS24の会議の休憩中に藤堂さんからSuwa-TodoがPRLに採択されたことを教えていただいた.あれから3年たったか.

2013-1-1

新年

あけましておめでとうございます.駒場に来て10年が過ぎました.若くて優秀な学生さんに囲まれて,日々楽しく研究しています.どうも最近は完全にクロックでは学生さんにかなわなくて,読み筋だけで対応している感じですが,今年はやはりクロック勝負に持ち込んで...玉砕してみたいものです.

2013年元旦

福島孝治

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最終更新時間:2013年01月02日 15時26分08秒